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自分史的なクリッピング史料
年始からいい天気が続いている。でも一部の地域では、大雪の心配もしなければならない様子で、それは雪国ならではの悩みだろうけど、やはり自然相手だけに予測もし難いし万全の対応策もないのだろうと思う。毎年、箱根駅伝をTVで視聴し、繰り上げスタートにますます涙もろくなっている。青学の8回目の総合優勝で幕を閉じた。自分が卒業した大学も毎年予選会には出ているけど、思いがかなったことはなく、はるか以前に出場して以来、全く選手を目にすることはない。たまに学連連合で走ってはいるけど、本当にたまだ。あの心臓破りの坂道など、一般人からは考えられないほどの相当なスピードで駆け抜ける選手たちはどんな能力を持ち合わせているのかと呆気に取られることしばしば。
さて新年を迎えて気持ちも新たにしなければならない。年齢を重ね関心がわくのは、健康、相続、といった分野。一方で、自身の過去を振り返り、こんなビジネスをしてみたかったなぁという思いや、そうかこんな発想なのかなど、新進の経営者の記事なども相当クリッピングしている。
2021年11月29日 日経 Growing up 先輩に聞く(道を開く)
ダメな時が仕事の始まり リネットジャパングループ 黒田武志社長
このGrowing upに登場している経営者・創業者は今では著名人ばかりで、他にも彼ら・彼女らについてはインタビュー記事などを含め沢山出てくる。でもこのコラムの記事を読むのも大好きだった。
黒田社長は、元々はトヨタ自動車の社員で、後、ブックオフコーポレーションに移り、後に起業。当初はオンライン中古書店を設立。そこから家庭に眠る小型家電を宅配便で回収して「都市鉱山」を掘り起こす会社へと進展させたというヒストリーで始まる。黒田社長の頭にはリユース、リサイクルといった業態の枠はないと記されている。
この紹介文の後、インタビューが始まる。若い頃から自ら事業を創出することに夢を抱いていた様子で、ブックオフ・創業者の坂本さんの起業家支援の話を聞きつけ、とにかく坂本さんに会いたいと何度かアプローチしている。そして日本版アマゾン、中古書店の創設を提案したものの一向に返事はなかったとのこと。それでも漸く返事をもらい、店の暖簾分けをしてもらって、四日市店の社長に転身。ところが、上場準備をしているところでネットバブルがはじけて計画は頓挫。2006年に再度上場を試みるも今度はリーマンショック。社員に不安や懸念が広がる中、5度目の挑戦で上場を果たした。
よくある話で上場そのものが目的となってしまい、ある意味で喪失感を味わう経営者もいるのだろうけど、創業10年で、「ビジネスを通じて偉大な作品を創る」という企業理念を掲げたと記されている。そこで着目したのがパソコンや携帯電話に含まれる金属だと。限りある資源の有効活用を促すのに、古本で培った宅配便による回収の強みを生かすことができると踏んだ。そして解体が得意な知的障がい者などの雇用を進めた。家庭には不要なパソコンがなんと3000万台も眠っていると。自分もこれまで9台持っていたパソコンを全てJIMTECで無料回収してもらい、長男のMacBook Airのお下がりを譲り受け、そしてJIMTECで中古のThink Padを購入して今は2台。どちらでも使えるように、バックアップの意味も込めての2台使い。こちらは金属の回収などの目的を持っている訳ではないけど、まだまだ利用できるハードウェアは使い切りたいと思ってのこと。
黒田さんは、そうしてリサイクルの機運を高め、雇用の創出の可能性を証明したいと思っているとのこと。日本では非正規雇用の問題が継続していて、隙間バイトの企業も続々と現れているけど、個人的には本質的な問題解決策ではなく、あくまで対処療法的なものにしか見えない。一方でそうした事業創出のアイディアが枯渇しているのも事実で、もう少し、社会システムとしてもっとよりスマートな仕組みが出てこないかなぁ、などと思いつつ。
この記事の結びは担当記者のコメント。サラリーマン家庭に生まれ、一流企業に就職し、これまでの概念通りに終身雇用をエンジョイする積りだった黒田社長は、自分の内なる思いと対話し、偶然訪れたチャンスを逃さなかったとコメント。同社の理念の背景にはガウディのサクラダファミリアの写真。まさに完成形のゴールなどないという思い。ダーウィンは「唯一生き残るのは、変化できる者である」と言ったとか。そうだ、変化を恐れすぎているという空気を何とかしなきゃならないんだろうなぁと今も思っている。