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自分史的なクリッピング史料

バイデンの撤退と共に民主党は誰を正式に推すのだろうか。ハリス副大統領だろうか。何と言っても、実績が目立たないというところが、ネックに見えるけど、そもそも、副大統領が余りにも目立ったという例がかつてあったのだろうか。今では情報戦はどの領域でもどの日常でも繰り広げられている。そんな時に、高齢のせいかゆっくりと考えてみたいことってなんだろう?とつらつらと思う。個人的には興味の的があまりに多すぎて(欲張りすぎて)絞れていなかったけど、漸くだけど時間が有限であることを理解するに至り、どうにかこの領域だけはもう少し知りたいと思うこともある。

特に、歴史的な視点からは、70年代前半の学生運動や、鎌倉仏教史あるいはそれ以前のもの、心の静謐という点では、生老病死に関わる仏教的論理・倫理やクラシック音楽、コト的な視点ではセルフビルド(家や家具)とか料理(精進料理、カレーや各国伝統料理等)、更には民俗学などにその関心が強くなっている。何か歴史の転換点において世の中の高揚があったのは何となくわかるけど、いざ自分にあてはめると・・・。

2008年2月14日 日経 文化往来 福本和夫の思想再評価へ初の著作集

マルクス主義を日本に紹介した理論家、福本和夫(1894-1983)が14年の獄中生活の後に民俗学の柳田国男に師事し、捕鯨史や「日本ルネッサンス史論」を書いたことはあまりしられていない、というリードで始まる。

福本のそうした業績などは、自分も当時は大学生だったし大学でマル経は必修科目ではあったけど、どちらかと言えば近経が主流科目だったのでマル経は余り関心・興味もわかなかった。大学2年までの必修・履修科目だったにも拘わらず、1年の時に単位を落とし、えらく焦ったことを覚えている。

この記事の掲載当時(今から16年前)、福本の多彩な面を紹介する初の著作集(全10巻)が刊行されると、紹介されている。なかなか全集を読みたいとは思えないのだけど、断片的にその内の一つでもとは思う気持ちはある。実はカール・バルトのキリスト教倫理という新書もシリーズで購入したけど、実際に読んだのはその内の2冊。他は堂々と本棚に鎮座していていつか読まなきゃと思ってはいる。実行できるかどうかは別問題として。

福本の本は2008年2月18日に、第一回配本があり、北斎を風景画の大成者と位置付けた先駆的な研究「葛飾北斎論」(第5巻)。「北斎と近代絵画」、「北斎と写楽」などで構成されるとある。勿論、北斎も写楽も名前くらいは知っているけど、詳細はと言えば自身の興味のなさから、深くは知らない。

福本は1922年から欧州に留学してマルクス主義を学ぶと共に西洋絵画を目にして、浮世絵研究に役立てたという。ここで名古屋造形芸術大学の先生のコメント。「北斎作品を幾何学的に構造分析し、江戸後期と西欧近代芸術を同一の視野で論じる姿勢は、鎖国日本を世界から隔離する慣習への批判だった」とかっこよく指摘されている。

民俗学調査の成果を反映したという「カラクリ技術史 捕鯨史」、「戦中著作集 文化史の研究」、「農林業」などの巻も順次配本する予定とあり、個人的には「農林業」などは読んでみたいなぁと思いつつ(読んではいないけど)。ここでも日本ルネサンス研究所の石見先生が(現在も99歳でご存命の様子)「(一連の著作から)福本が戦後主張した『人間性の回復』の社会理論再構築と日本ルネッサンス研究が直結していることがわかる」と述べられている。なかなか含蓄のあるコメントだと思う。でも、そんな風景を一新するかもしれない過去の偉業にスポットライトを当てることも大事なんだなぁと思う。勿論、この手の話は枚挙にいとまがないということは理解しつつ。

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