自分史的なクリッピング史料
いわゆる都市型の企業(規模の大小で分類せずに)と地方の元気な企業を比較したりすると、その視点やら制約やら、いろいろなものに気づかされることが多い。もちろん新たな技術とか考え方に通じるものが出てくるかもしれない。今日は地域の頑張っている会社紹介欄から。
2022年10月19日 日経 地域発世界へ シナノ アジアに杖・歩行ポール
杖の利用などは初めて見聞きするものではないかもしれない。でも今後高齢化社会を迎えるにあたって、そのための必需品はなんだろうかと考えるとしたら・・・。目的は必然的な利用(補助具として)、目的的利用(健康増進・維持)など、考え方によってはいくらでも出てきそうだ。山登りにも凝ったことがあるので家にはウォーキングポールが何種類かある。コンパクトに収納できて非常に便利なツールだと思う。
記事の冒頭では、「高齢者の杖や歩行時に姿勢を支える」とあって、確かに身体的な正しさを求めることなんだと思った。長野県佐久市のシナノという会社は同じく高齢化が進む台湾や中国に販路を求めているという。祖業はスキーストック。欧州市場に挑んだものの、その開拓に失敗。消費者の嗜好と合わずに失敗したとあり、高齢化市場をターゲットにしたという紹介がある。
概ねそうしたツールの機能が概念を変えることで違う領域をカバーすることはままある話。持っている価値を重層的に考えていくことで、市場が開けるのかもしれない。
スキーストックの失敗は、玄人的ニーズ、すなわち正確性にこだわる日本のスキーヤー。重心を手元部分に近づけて少ない動きでも振りやすいストックの開発を中心にしてきたようだけど、欧州では純粋にレジャースキーヤーが大半で、同社が追求するきめ細やかな工夫まで求められなかったとある。スキーはまったくといっていいほどやらないので、このテキストのニュアンスが肌感覚では正直わからないけど、「高齢化」と「健康意識」に戦略の視座を置き、東アジア市場をロックオンしたということには納得性がある。
健康市場自体はどこの世界でも連綿と続くターゲット領域だと思うので、これを成功の連続につなげられるかがKEY。握力の弱い高齢者向けのグリップの開発など、日本企業のきめ細やかさが活きてくると思う。でもポールを両手に持つと自ずと左右のバランスやら姿勢の高さが矯正されていく正しさの追求がとても良いと思う。
中国での代理店の開拓や販売手法の確立など、会社としてはトライアンドエラーで成果へと結びつけている様子も書かれていて、リアルを感じるテキストが並ぶ。そういえば、以前仕事で豆乳を中国で扱えないかなども考えたけど、もちろん日本の企業も熟慮を重ねて市場投入していたけど、風味などに頭が行き過ぎていたかなぁとも思ったりして。本当は広い中国の各地域では色々な風味があるのかもしれないし、かなり日常的な飲料(おかゆみたいな存在)といった感覚を感じ取っていた記憶が・・・。
中国の独身の日に合わせたライブコマースなどにも取り組んでいるとして、中国市場への開拓に意気込みも感じられる内容。
企業側の無尽的努力はこうして今後も継続していくだろうけど、エンドユーザー的には健康という領域への関心がやむことはないし、こうしたツール(ギアといった方がかっこいいのか?)足を起点にどんな健康増進が考えられるのか?とすると、ウォーキングシューズやインソールも気になる。いずれにせよすべて必要になるから、「動く」「動かす」という身体的な運動をトータルでどのような装備でカバーしどんな効用を求めるのか、どんなデータが取得できるのかなども気になる。
いたずらにデータドリブンという概念ばかりに目鼻がいってしまうのもよくないし、そうなると結局、そうした日常(行動)が自己満足につながる緩やかな効果でよいのかもしれない。自己のフィーリング(好感度)指数的なものを設定して。健康は奥行きも深いし、たくさんの考えが世の中で研究されている筈。いずれにせよ姿勢を正す(矯正する) ≒ 健康という期待的な公式で満足しても良いと思っている。かなり私見。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?