自分史的なクリッピング史料

先週は、男子バレーボールの中継に食い入って観てしまった。長い低迷期を漸く乗り越えて、今の代表チームは確かに強いと思わせてくれる。女子も今日からいよいよ最後のオリンピック出場権をかけた戦い。見事にクリアして本番での活躍を期待したい。そして昨夜のサッカーW杯予選も視聴。一方で、水原被告は26億4000万円を大谷選手からだまし取ったということだけど、とても返済できるような金額ではない。判決は10月と聞くけど、収監された、刑期を終えてその後はどうなるのだろうか。TVではTBSの日曜劇場『アンチヒーロー』に魅入っている。冤罪をテーマとした重い題材にヤメ検の弁護士がどのように立ち向かうのか。とても興味深い。でもドラマだからなぁと思いつつ。ちょっと気分転換に昔の記事を再読。

2010年8月10日 日経 生物多様性 動き出す企業1 商機をつかむ

このシリーズは全5回で掲載された記事。今でも生物多様性は一つの思考領域ではあるはずだけど、その第1回目の記事。かつ、14年前の記事だから、その後は大きく伸展しているのだろうか。まず冒頭で「企業が利潤追求と生物の多様性の保全を両立させる道を探り始めた」というリード文で始まる。

チャンスはどこに?後れによるリスクは?ということで動き出した企業の姿を追うというシリーズ。パナソニックは照明器具の売り方を見直すとある。
蛾が好む光の波長をカットした「ムシベール」。元々は虫嫌いの人向けの商品。新しいキャッチフレーズは「人にも虫にも優しい明かり」。キャッチフレーズからその一歩を考えたんだ(当時)。

同社では、2009年秋にグループ横断的なプロジェクトとして、生物多様性保全をどう事業に織り込むかの検討を始めたとある。同社の社員の方のコメントでも「電化製品とは直接繋がらない」と思ったらしい。自分もそう考えるだろうなぁと。そして国際環境NGOに委託した製品評価の結果が転機になったと。それは「ムシベールは生態系かく乱の低減につながる」という評価。明かりに誘われ疲弊して死ぬ虫が減り、虫を餌にする鳥などへの影響も抑制。生態系維持に寄与するという。今の日本のクマ問題にも通じるのか。この評価こそ、生態系維持につながるストーリー。この商品は2003年に発売されたらしいけど、当然その頃には全く思いは及ばない。

それだけではなく、薄型テレビに搭載している竹繊維のスピーカーは「繁殖力が強い竹の利用が他の植物の駆逐を防ぐ」という評価も。竹製品は自分も仕事で結構注目していて、抗菌効果とかもあるみたいで、コロナ禍でその商品が伸長した企業もあった(過去に注目していた企業であるタケックス・ラボ(@大阪)を調べてみたところ)。また特定波長の光でイチゴの病気発生を抑制する照明システムでは「農薬の使用量を減らす効果」があると評価された。どうやら生物多様性によって、好影響のある代替効果を提供していることもあるのかもしれないということ。当時開催間近だったCOP10(掲載時の2ヶ月後)で温暖化ガス削減ばかりでなく、生物多様性保全も企業経営の表舞台に浮上していくだろうとコメントされている。

最後のパラグラフでは、北海道北西部の増毛町の取り組みが掲載。ここは新日鉄が手掛ける海藻群落の再生実験場。カギを握るのは「海の肥料」ということで、鉄鋼の生産過程で生じる副産物のスラグを腐植土と混ぜて袋詰めにし、それを波打ち際に埋めることで、海藻の成長に必要な鉄分を供給するという。(当時)後、2〜3年で効果を確認して、自治体などに本格販売する計画だと。新日鉄のサイトを覗くと、2022年に、「Jブルークレジット®認証を取得 漁業組合と民間企業共同での認証を経たクレジット発行は全国初」というニュースリリースが出ているから順調な取り組みの様子。海藻には二酸化炭素の吸収効果があるのは今では広く知られている。鉄のような人への負担がどちらかといえば大きいのではという印象を払拭するような感じだろうか。確かに人でも貧血気味の人は鉄分のサプリなど飲んでたりするから。

こうした企業の取り組みだけではなく、個人のベースでも、自分たちの身の回りで起こっていること、していること、何でもいいから「これって環境にとってどうなんだろう?」的な思考を思い巡らせることが大事。科学一辺倒の思考ではなく、自然の力との相乗効果や調和、バランスなどを考えてみることこそ大事だと思う。ある意味で、「振り返り」が結構大事な営為であるということかもしれない。当たり前を疑うことから。

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