ひとりそたぶ53 虫

53回目の今夜は「」でございます。魚同様着手は難しいけど、思い付けば色々広げられそうな程良いお題。

内容なんですが、食事中の皆様には大変申し訳無いネタとなってしまいました。しかも土用の丑の日の翌日て。食間に見る事を激しくお勧めします

そんでもって久々のトリオネタです。一人だけですが、デフォルトのキャラが漸く出ました。後は個人的に25行ネタでやった事無かったんですが、前半をボケずに丸々前振りで使って後半でぶち壊して回収するネタにしてみました。どうしても前半削れなかったんですよね。なので後半ちょっとだけ広げきれないのが少々悔やまれます。短文のトリオ以上のネタの難しさを改めて感じました。

ではご覧下さい。


レイニースターライト
コント/此処にイールべき者では非ず

マヤ:皆さんこんにちは!「夏宮真夜の食べもの探訪」のコーナー!担当は勿論この私夏宮真夜がお届けします!

   今日は横浜市の椎名駅前にある、江戸時代から代々長きに亘って営業している老舗の鰻屋の「うな月」さんにやって参りました!

   あ~、流石老舗の鰻屋さん!店の外から鰻の良い香りがしてきましたね~!早速お邪魔したいと思います!すいませ~ん!

主人:いらっしゃーい!今日は別嬪さんも来てるからね!いつも以上に張り切っちゃうよ~!

マヤ:いやあ別嬪さんだなんてそんな……///

   早速ご主人にインタビューと行きたい所ですが、その前に其方のお客さんにお話を伺っても宜しいでしょうか?

常連:おう!何でも聞いてくれ!俺はねこの店の大ファンなんだよ~!

   もうね、一回うな月の鰻食ったら他じゃ食えねえよ!此処のは本当に最高に旨いんだわ!

   俺も死んだじいちゃんや親父に良く連れられて来たもんだ。たまに離れて暮らしてる息子や孫も連れてこの味を教えてるんだ。(鰻をがっつきながら)

マヤ:ありがとうございます!流石常連さんですね~!熱意のあるお話を聞いたら余計お腹が空いちゃいましたよ~!

   ではご主人、今日は厨房を拝見させて頂けるとの事で、見せて頂いても宜しいでしょうか!?

主人:普段は絶対に他人に見せないけどね!別嬪さんだから特別だぞう!

   (厨房に案内して)これが代々うな月に江戸時代から伝わる秘伝のタレでい!150年以上毎日継ぎ足し継ぎ足ししてるウチの店の宝物なんでい!

マヤ:やはりうな月さんの味の秘訣は秘伝のタレですか!やばい……ヨダレが垂れてきそうです……。

主人:おっと、秘伝のタレだけには入れないでくれよ~?なにせ江戸時代のモンだからねえ!

マヤ:ハッハッハ!失礼しました!所でうな月さんの秘伝のタレの味つけについてお教えする事は?

主人:いやあそれだけは幾ら別嬪さんでも勘弁!勘弁!さてそろそろ鰻でも裂こうかな……。

 

(その時外から厨房に迷い込んだ蝿が秘伝のタレの中にダイブイン!!)

 

二人:!?

常連:!?(鰻を食う手が止まる)

マヤ:ご主人、まさか秘伝のタレの秘訣と言うのはもしや蝿では……?

主人:ち、違う!!醤油に味醂に砂糖に酒に煮切った梅干しを少々入れてるんでい!

マヤ:案外普通でしたね……。しかも鰻に梅干しって食い合わせが……。

常連:(丼をテーブルに置いてお茶を飲んでる)明日から他の店で食うか。

   ぶっちゃけさっきの発言はちょっとしたリップサービスだったし。そもそも息子は魚嫌いだし、孫も鰻は喜ばないから大概ファミレスだし。

主人:おい~!そんな事言わんでくれ~!!お前結構な頻度で通ってたじゃねえか~!!

   姉ちゃん!!蝿から今の下りまではカットしてくんな!!

マヤ:残念ながら生放送です……。令和の時代に生放送カットのボケを繰り出すとはそこも老舗ならではなのでしょうか……?

主人:チキショー!!!

   さっきの蝿は自分が別嬪さんって言われたからお前と一緒に来ちゃったのか!?

マヤ:そんなワケないでしょ!たまたまですって!!

常連:(吐き気を押さえながら)蝿がたかる厨房の鰻を喜んで食ってるジジイとか……ワシ絶対ネットで晒されるじゃん……。はっず……。家族に顔向けが出来ん……。

主人:……ご先祖様に申し訳がたたねえ!!今日限りで閉店でい!!こんなタレ要らねえや!!こうしてやる!!(鍋を地面に叩き付ける)

 

 
 
(厨房の床に蝿の死体が幾つもタレの上に浮かんでいる)

 

 
主人:NOOOOOOOOOO!!!!!(タレに滑って床の虫の上にダイブし気絶)

常連:NOOOOOOOOOO!!!!!(吐き気を押さえ切れず吐きまくって気絶)

マヤ:えー……とんでもない放送事故の連発でした……。生放送じゃなければと心の底から悔やんでおります……。正直食べる前で良かった~……。

   残念ながらうな月さんともこの番組とも永遠のお別れとなってしまいました……。さよなら~……。  

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