野良のライオンを飼育する方法#3 ネコにコーヒー
なんか悔しいわ、第一なんで猫が喋るんだか。
冷たい風が吹いた。今日は風のない日だと思っていたが、季節は冬。
流石に一月だということもあって、少し風が吹くと身体の芯から冷えるようだ。
「話を聞いてやる代わりに、温かいコーヒーを一杯くれないか。」
「えーっ!さっきバイトクビになったばかりなのに…お金ないの分かるでしょー!?…まぁいいや。え?なんだっけ?コーヒー?」
「そうだ。温かいやつをな。」
「…ん〜じゃあそこにあるコンビニエイトの100円コーヒーで良い?良いよね?」
「良い。早く飲みたいから、急ぐんだ。」
「…へーへー。ここで待っててよね、すぐ戻ってくる!」
小走りで角を曲がったところのコンビニエイトまで、3分程度かな。
いやーなんでこんな時に猫にお遣い頼まれてるんだ、私は?
まぁいいや。
あれっ、この声ももしやあの猫に届いて…!??
「いらっしゃいませー」
やばっ、キョロキョロしてて私不審者みたいだったか、キモイ奴だと思われたよな絶対。。早くコーヒー買ってあの怪しい猫のところに戻るぞ…さむさむ。
「コーヒー…っと。あ、あの、コーヒーください」
「アイスですか?ホットですか?」
「ホットで」
「サイズはいかがなさいますか」
「えーっと、一番小さいやつで。」
「レギュラーですね」
「はい、それで。」
「100円になります。」
「あっ、あと…」
普通に自分の飲み物も欲しいな。
どれにすっかなー。
あ、
私お金ないんだったー!!!!!!
クソー!バイトさえクビにならなきゃ今頃ホットココアやら午後ティーやら買ったのになぁ!くそー!リプトンにしとくか?リプトンならワンチャンいけるか?
「あ、あー、いや、なんでもないです…」
「100円です。」
…ポチッ、ドゥボボボボ…
もっと品のいい音にはなんないのか、なんだよドゥボボボボって、飲む気失せる音だなー。
あ、砂糖とかクリームとかいるのか?
猫だしな、いらないか?
え?てか猫ってコーヒー飲むのか?飲んで平気なのか?
…ピピピピピピッ
あの猫、わけわかんないもんな。
とりあえず、砂糖もクリームも持っていこう、っと。