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野良のライオンを飼育する方法#5 評価軸×ハッタリ

「何それ。方法とかあんの?」

「ある。そもそも今回のアルバイトは何故クビになったか教えてもらったか?」

「オーダー間違えて隣の卓に付けてた。隣の人が全然関係ない人のお代払うことになっちゃった。」

「まぁ、気にするな。人は間違うものだ。」

「本当だよな!15万払ってくれっつーの!私は払えないけど。」

「前回のバイトは何故クビになったのだ?」

左上を見上げると、電柱があった。随分と明るい。

「その時はカラオケやってたんだよねぇ…私、昔ボカロにハマっててさ。」

コーヒーを一口啜る。

「神戸、中央区、元町。ってきたから「駅前♪」って口ずさみながらジュース渡したらなぜかマイク渡されてさ…一曲歌っちゃったんだよね。。」

「よくあることなのか?」

「初めての経験だったね…。そしたらたまたま支店長が訪問する日だったらしくて、店長と支店長にお客のマイクで熱唱してる私が見つかって…即日クビだったね」

遠い目をしている私に対して、猫は真面目な顔をして私に向かってこういった。

「そうか。これからは「評価軸」と「はったり」を意識するんだ。」

「評価軸とはったりぃ?」

「そうだ。簡単に言えば、自分が評価される対象であることを意識し、出来ているように振る舞うんだ。」

「猫さん、もっとわかりやすく話して。」

「自分を客観視してみることから始めるんだな。上司や店長の視点になってみて、理想の部下を演じてみるんだよ。」

今度は左下の地面を見る。
地面にはガムが踏み潰されて、少し灰色ががっていた。

「なんかそれ、ダサいなぁ。」

「毎月クビになって、落ち込んでいる君の方がダサい。」

グサッときた!この猫、案外ズバズバいうのかもしれない。


「なかなか難しいなーそれ。できるかなぁ。」

「大丈夫だ。3日あればなんとかなるだろう。」

「3日かー。やってみるかなぁ。」

手元のコーヒーから温かそうな湯気がゆらゆらと上がっている。

「よし、では交換条件だ。私を君の家に棲ませるんだ。」

「にゃんと。」

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