開成出身の夫② _ 世界は一握りの人で回っている?
多くの人は、世界は自分の周りの人間のような人たちで構成されていると錯覚する。世界の大半は自分みたいに生きていて、金持ちは一握りで、貧乏人も一握りだと。でもそれはあなたからみたらその人は金持ちでも、金持ちからしたら貧乏人かもしれない。
類は友を呼ぶというのは本当で、夫の友人には都内出身の人しかいない。私には都内それも23区内に持ち家があるような友人は1人もいない。夫に出会ってはじめて、SAPIXという塾を知った。たぶん過去に出会ってはいると思うが、きっと馬が合わなかったのだろう。私は千葉大生時代友人らと隣の隣の駅の王将に行くのに、交通費が勿体無くて、当然のようにママチャリを漕いで行っているような金銭感覚だった。仲間内に疑問に思う人もいなかった。地元では頭がいい子として認識されていただろう優等生が集まるような大学だった。ごく稀に田舎で事業を営んでる御曹司もいたが、すごく稀で、大体の子の親は、地方公務員や、学校の先生や、普通のサラリーマンで、しかも母親は専業主婦だった。友人の3人に1人は奨学金を借りてやりくりしていた。留学中にお嬢様女子大の子と接触したことはあるが、みんな親のブラックカードでたっかーい下着を爆買いしてて、ブランド品を身につけていて、大学は毎日タクシーで通ってるとか言ってて私も含め私の仲間内はそれをネタにしていた。笑 あの女子大の子たちってヤバい人たちだねって。たぶんお嬢様たちから見たら私たちも相当変人だったろうな。
夫に、彼氏になったくらいに、「そういえば都内出身の人、周りにあなたくらいしかいないや。よく価値観合うよね」と言ったら、夫も、「僕も地方出身で仲良い友達1人もいない、出会う機会もそんなになかった」と言ってた。彼氏になってから紹介してもらった夫の友人たちにはいろんな意味で衝撃を受けた。渋谷の松濤に実家がある夫の女友達には、初対面で出身幼稚園を聞かれた笑 意味がわからなくて目が点になったし、今でも意味がわからない。とりあえず、私〇〇県の全然有名でもなんでもない田舎出身なんですが…言ったところで知らないと思うんですが…〇〇幼稚園ですって馬鹿みたいに答えた。私みたいな人種に出会ったことがないお嬢様だったのかな。その子は24歳にして、優しく、見込みのありそうな成績優秀な男を婿として迎えた。結婚式の受付には、アーティストがこの日のために作ったという氷の像があったらしい。笑 私も行ってみたかった。結婚式は、彼女の家の資産を守る、資産管理会社の経費か何かで執り行ったと噂で聞いた。その後子供が産まれ家に遊びに行った。家も巨大だったが、手入れされた広大な芝に、超高そうなワンちゃんがいた。お手伝いさんが超高級菓子やらケーキやらたくさん出してくれた。私は全部食べたかったが、夫の友達たちが手をつけていなかったのでほとんど食べられなかった。😂
他にも高校、大学含め同級生にはここでは書けないような超大手企業の御曹司や、教科書で太字になってるような武士の末裔や、ザッカーバーグさんと友人だというような人などいて、そういうのは大体テレビのニュースを見てて、あ、この人知ってるよ、この女優近所の人だよ、この企業の会長の息子友達だよ、みたいな形で知った。
他にも、夫の実家のご近所さんは夫の両親も含めて名前をググれば簡単に出てくるようなひとばかりだった。私は、「ああ、世界はこういう人たちで回ってたんだ」と思った。
実際、30代を過ぎて夫のかつての同級生たちは、議員になったり、起業家として成功したり、GSなどの投資銀行で昇進したり、メディアに出演したりと成功への道を歩み出している。違う方向性で才能を見出してる人は、バレずに女と5股くらいしている。もちろん、長い付き合いになる本命彼女(文京区出身、桜蔭卒、国立医学部卒の才女)はキープしたまま…仕事の方も順調で、脳外科医として評判が良い。(その後、本命彼女と結婚し、浮気の方は1人か2人に絞っている。)
私にはあまりに別世界で驚くことばかりだったが、私は夫の妻として、特に夫の家族に舐められないよう気丈に振舞ってきた。「それが何か?過去の栄光や家柄を自慢してる人はダサい、大事なのは今でしょ?」と言わんばかりに。私は、あなたを学歴で選んだのではないわ、そんなの全く私には刺さらないわ、というような態度を貫いた。全く刺さらないわけはなかった。お金や地位や権力に全く興味のない人間はいるとしたら、すごく尊敬する。私は彼の持つ経歴や家柄や、すごいとしか言いようがないすごい友人たち、全てを魅力に感じたし羨んだ。
私も、親も、祖父母も祖先もみんな、誰もWikipediaには載ってないし、検索しても誰も出てこない。私の故郷の親族たちみんな、彼らみたいに管理する側の人から指示される労働者なんだなあと権力構造を思い知った。
地方でのんびり生きていれば、こんな思いは味合わなかったのかもしれないなあとたまに思う。