若い先生に熱量は足りないのか…
ある生徒指導の事象が生起し、その中心となった生徒に対して、若い学級担任が指導にあたりました。夕方その報告会があり、学年の先生方だけでなく、生徒指導主事、指導養護教諭、そして校長の私も同席しました。
担任の先生からの報告では、生徒からはいろいろ気持ちを聴きだすことはできたけれど、自分の思いは伝えることはできず、中途半端な指導のまま生徒を帰してしまったということでした。担任の先生はこの後の具体的な方策を考えているわけでもないようでした。
あいにく次の日は休日で、学年の先生方からは、休日明けに学年の教職員で指導の続きをしようという話でまとまり、報告会が終わろうとしていました。私も、何となく違和感があったけれど、時間も遅いし、休日明けに持ち越しでもしかたがないか、と思いました。その時、ベテランの指導養護教諭がぽつりと言いました。
「担任の先生は〇〇(生徒名)をどうしたいんですか?話を聴いてあげて〇〇の味方に立ったんじゃないんですか?〇〇のことを本気で考えているんだったら、休み明けまで待っていることができるんですか?今すぐ家に行って、先生が熱量をもって思いを伝えるべきじゃないんですか?」
先生方がはっと気づかされたように動き出しました。このあと、担任の先生は生徒に対してしっかりと思いを伝えることができ、夜更けに再度行われた報告会では、担任の先生の顔つきも先ほどとは少し変わったように見えました。学年の先生方のチームワークも少し強くなったような気がしました。
当然、勤務時間はとっくに超過していました。でも、これが先生の仕事なんだと思いました。私たちベテランは、ともすれば若い先生方に無理をさせないようにと気を遣いすぎることで、彼らの熱量を奪ってしまっていることがあるのかもしれません。ベテランが何でも片づけてしまうことだけが若手に対するフォローなのではなく、しっかり背中を押して体当たりさせることもフォローの一つなのだということを私たちは忘れがちになっているような気がします。