初任者研で語ったこと

 地区の中学校初任者の先生方の研修会が本校で行われたので、会場校の校長として少しお話する機会をいただきました。その時にさせていただいたお話の要約です。

1. 学校での一人称は何ですか?
 採用試験に受かって、みなさんは今年「先生」になれたのでしょうか。みなさんは学校で自分のことをどう呼んでいますか?「先生」ですか?「私」ですか?どちらが正解で、どちらがいいというのではありません。自分のことを「先生」と呼ぶことに違和感を持ち続けてほしいということだけです。そういう心構えでずっと教師を続けてほしいのです。生徒や保護者に、長年かけて本当の先生にしてもらうんだという自覚をもつことが大切だと思っています。

2. 公立学校に勤める意味
 国鉄がJRに変わった時に何が変わったと思いますか。たしかにサービスがとてもよくなりました。でも、サービスの名の元に、一日にたった一人しか利用しないような「赤字路線」は全部廃線にしたというのも事実です。公立学校はそうあってはならないのです。誰一人見捨てない。それが公立学校に勤める意味だと思います。

3. 〇〇畑で教師をしない
 ある校長先生が自慢げに語っているのを聞いたことがあります。「自分はずっと『生徒指導畑の人間』だから学校の立て直しに抜擢されたのだ」と。そんな特別な畑で私たちは仕事をするのではありません。学校の先生はマルチタスクなものです。そしてそのすべての教育活動の根底をつくっているのは「人権感覚」です。生徒指導畑なんていうところだけで仕事をしてきたなら偽物の教師だと思います。

4. 外へ出よ
 平成21年から仕事をしながら2年間夜間大学院に通っていました。先輩の先生から「今さら大学院へ行って何の資格がとれるの?」と聞かれましたがそうではありません。教師に必要なのは「時間と空間」を拡げることです。そのために外へ出なければなりません。資格をとるためではありません。

5. 昔、学校にだけピアノがあった…
 昔学校にはピアノがありました。それだけで学校は地域の宝とされていました。ところが今や、学校だけがICTなどで立ち遅れている傾向が強いです。とくに公立学校は。そのことで学校はよく揶揄されたりします。でも、それがどうした?と言いたいのです。学校には学校でしかできないことがあるのです。

6. 学校は手段か目的か
 学校の目的は「将来よりよく生きる」ことだと思います。学校はそのための手段にすぎないのです。学校が目的だと思ってしまうと、「そこで完結させなくては」と変な校則にこだわってしまったり、命がけでも生徒を登校させようとしてしまうのです。心の中では「そんなんどうでもいいからとにかく学校においで。学校には学校でしかできないことがあるから。」という気持ちを持っておいてほしいものです。

7. 職員室で青臭い話をしよう
 ワークライフバランスを大切にしましょう。短期的な楽しみをいっぱい作りましょう。そして、時々、青臭い教育論をふりかざそうではありませんか。学校教育目標をどう思う?何で先生になったんですか?などなど。そんな職員室をみなさんが作っていってください。すばらしい仕事です。

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