オルタナ理芽の極地に浸る夜 理芽3rdワンマンライブ「NEUROMANCEⅢ」現地参戦レポ
こんにちは、リョと申します。
神椿後楽園戦線と銘打たれ2024年9月13・14日に続いた2Daysのライブ、そのDay2であり理芽初の有観客ワンマンライブともなった「NEUROMANCEⅢ」の現地レポになります。
執筆中もこの形で残すのが正しいのか悩ましく思うほどには言葉にし難い、あの場あの世界の理芽だけが紡ぎ出せたであろう大変素晴らしいライブでした。
そんな最高の一夜を思い返すための手掛かりになればという思いでの拙筆です。
Day1レポになります。
◎セットリスト
1, NEUROMANCE
2,ピロウトーク
3,クライベイビー
4,胎児は月にキスをしない
5,ファンファーレ
6,ルフラン
7,インナアチャイルド
8,生きているより楽しそう
9,宿木
10,どくどく
11,いたいよ
12,さみしいひと
13,食虫植物
14,ユーエンミー
15,えろいむ
16,法螺話
17,十九月
18,おしえてかみさま
19,フロム天国
20,ピルグリム
21,やさしくしないで
ーアンコールー
22,君が大人になったんだ
23,百年
24,狂えない
まずはオープニングの映像から。
前日のシンギュラとは全く異なる、むしろ神椿や理芽らしい世界観に満たされた映像と音楽からライブは始まります。
Pさんのポストでもありましたが我々観測者サイドもDay1とDay2の理芽チはまた別の空気感を纏ったものになるということは分かっていたのもあり、鮮烈でカオティックな世界観の映像に乗せて会場の空気も高まっているのを感じられてとても良かったです。
〇NEUROMANCE
青のライティングに黒と青の光を纏う外套を照らされながら理芽チが登場します。
一曲目はライブタイトル、そしてアルバムタイトルにもつながるNEUROMANCE。曲調は静かながらも、深く澄む声と盛り上がる曲に合わせて響く楽器やエフェクトのインパクトが良く映える曲からライブは始まります。途中の低音が響く中で深呼吸をするシーンはまさに理芽のライブが始まったのだという実感をこの身に叩きつけてくれました。
理芽チのライブシーンの感想や印象を文字に起こすたびに同じ言葉ばかりが飛び出てしまうのは大変恥ずかしいのですが、それでもやはり彼女の静かな深みからライブを盛り立てる力は素晴らしいですね。
ライブによくある「行くぞ1曲目!ジャーン」のような前置きや空気感の建付けは一切なく、こんなにも揺蕩うようなテンポと音圧の曲で、物理的な面以外の全てからライブを盛り上げる心へのアプローチをしてくる感じは彼女ならではで本当に楽しいです。
〇ピロウトーク
溌溂とした煽りに会場が沸く中続くのはピロウトーク。
ライティングや生きいきと飛び交うバンドサウンドに後押しされて空気が一気に熱を帯びます。
MVの雰囲気から憂いやどこか女性的なしめやかさの印象が強いこの曲ですが、公開当時から時を重ねて力強さやその芯に託す心情の豊かさの変化などからか、とてもかっこいい雰囲気を帯びていて良かった。
というかもうこれ4年くらい前の曲なんですね‥
〇クライベイビー
イントロの歪むギターも三枚あるギターのお陰でより強烈に、入りのがなり交じりの歌声も今の理芽チの歌唱力によってよりスマートかつパワフルになったクライベイビーです。最高。
全体的に音の治安が悪くてめちゃくちゃ楽しかったです。曲の疾走感もあって全編通してかなりあっという間に終わってしまったという印象が強い。
個人的にはこういう入りで盛り上げた熱をそのままのパワーで保ちながら走り抜けるタイプの曲は大好きですし、それを公開当初まだ儚さや妖しさの印象が強かった理芽というシンガーがやってきたという思い出込みでこの曲がこういう変化を帯びて披露されたのは非常に嬉しかった。
〇胎児に月はキスをしない
ランニング中にめちゃくちゃ流れてきて好きになった曲です。
軽快な曲調とクラップが気持ちいい、なのにやるせなさがにじむ歌詞にサビに入って曲に満ちる不穏や棘、反しての浮遊感が癖になる。加えてこの日のゴリゴリにロックに寄ったバンドも曲が元持つ音遣いに引き上げられて一気にその自由な弾け方を見せてきます。
光を浴びながら揺れる長い裾の衣装でしなやかに舞台を歩く理芽チと曲との親和性が凄くて目が離せない一幕でした。
●MC
なんて雰囲気漂わせていたシンガーですが、MCに入れば客席のヤジと会話したりイジったりといつも通りの陽ギャル全開の理芽さん。可愛い。
本当に、前日からそうでしたが客席とこんなにコミュニケーションとるライブって神椿どころかVでは割と珍しいですよね。こういうライブが観たかったという空気感がそこにあってとても良かった。
あと芽組はなんか全体的にノリが軽めのあんちゃんみたいな人が多いですね。MCで飛び交う声や開演前の雰囲気がまさしくそれでした。
推しに似るのか、それとも目一杯楽しめる人種がそこに集まった結果理芽チみたいな愉快な者が偏在したのか、どちらにせよ会場の色がはっきりしていて面白かったです。
〇ファンファーレ
メロウに合わせて空気が一気に色を重くする入り、それに合わせて暴れるギターが最高でした。
この曲の入りに反してポップに跳ねるドロップパートとサビ後の進行が本当に好きなんですよね。現地でノッているとああいった音遣いのパートでペンラ突き上げたりステップ刻むのが一番楽しい。列の端の特権を活かして体いっぱいに楽しむことができました。
あとはアウトロの雰囲気の変わりようです。ワクワクや体の熱を静かに体の内に抑えていくかのような感覚は会場だとより一層強く感じることができました。
〇ルフラン
これも絶対現地楽しいやん!とテンションが上がりました。
しんとまっすぐ会場に染みるような理芽チの歌声と、サビでそれが一気にエフェクティヴになる展開は響く低音と要所を心躍るアレンジで魅せてくれるバンドの力もあってえもいわれぬ味がしました。とはいえ根幹にあるのは理芽チの高い音域でも柔らかさを失わない声と自然体で寄り添うかのような歌い方。特にラスサビで遺憾なく発揮されたそれらも圧巻でした。
〇インナアチャイルド / 〇生きているより楽しそう
この日も絶好調な理芽チの歌声をストレートに浴びるパートが多い中、この二曲は特に歌声とバンドのアレンジやソロの見せ場の熱い化学反応がありましたね。
インナアチャイルドは落ち着いた冒頭からかましてくるドラムが、生きているよりは音源通り存在感が際立つギターが最筆頭となりアレンジの妙を作り上げていました。
生きているより楽しそうは初めて聴いた時から歌詞の強烈さにハマった曲でしたが、歪む音と理芽チの歌声を引き立てるかのように脇に上下にと揺れるピアノの音粒も相まってノっていて最高に楽しい一幕となりました。
●MC
MC、というか衣装であそぼのゾーンでした。
女神理芽チ、最高に可愛かったし綺麗だった。
Day1でもデフォルトの衣装が違う方だったので衣装そのままにアクティブな雰囲気を見出すことが多かったのですが、やはりこのノースリーブ&浮世離れした雰囲気でひらめくCounter衣装が一番似合う。
バーチャルにしかできない造形とデザインですし、それが当人の活動の色をこの上なく体現しているというのも最高です。
マーメイド感とも言及していましたが本当に神々しいというか別次元の存在感、概念的なものとも結びつく異様さも備えていてワクワクします。
めちゃくちゃに回ってファンサしてくれたもので会場は3階席まで大盛り上がりでした。
〇宿木
個人的、この日のベストアクトの1つです。
実は私、1枚目のアルバムは比較的聴き込みが浅いほうですが、その中でもこの曲だけピンポイントに聴いたことがありませんでした。
それだけに曲が始まった瞬間深まる空気と一気に満ちたどろりとした重みが衝撃的でした。
なんかもうこの曲全部大好きになりましたよ。曲はスロウながらただの柔らかさやジャズテイストとは違う質感を帯びていて、「細胞に宿るそれ」や「夜の相槌」といった最高の言葉選び、とどめに一段と神々しくも昏くもなるサビと、本当にことばと音楽の魅力を詰めたような曲を初めまして同然の状態で浴びるという贅沢な体験でした。
それを後押ししていたライティング、知りうる限り最も神々しかったミラーボールにも触れなければなりません。
サビになると回りだしたミラーボールですが配信で見る以上に一本一本がくっきりとした光を会場の隅まで放っていました。
三階後方にいた自分から見えた光の矢が会場中に突き刺さる光景、飛んでくる光に少し目が眩んだ後の舞台の暗さ、対照的に壁に刺さる光源の力で舞台から離れるほどぼんやりと明るくなる会場の光景は本当にくっきりと焼き付くほどに印象的なものでした。
そしてそれを背後に理芽チの歌声が響いており、曲調や翻る衣装も相まって本当に神々しい何かに包まれるかのような時間でした。
曲や自分がそれに乗る時間を楽しんでこそのライブですが、その中にこうやって時折現れる会場の空気や流れる時間全てを忘れられない体験にする瞬間はやはり最高ですね。
〇どくどく
どくどくが懐かしい曲‥‥?
手を広げリズムに乗る理芽チ、曲に似合いすぎでした。
この衣装にあの会場雰囲気でバトンを渡すにはもってこいの選曲でしたね。
人の心から生まれる妖しさや狂おしさを美しい高音で彩る理芽チ、加えてあの衣装で手を大きく広げる所作とかがものすごく曲を体現していました。曲の雰囲気以上にすごく女の子らしさ・女性らしさを映した世界観があってなんか好きなんですよね。こういうのをビタースイートと呼べばいいんでしょうか。
〇いたいよ
入りの音から雰囲気が違い過ぎて、一瞬何の曲か分からない程でした。
低く割れる音にブレスで絞り出すコーラスが無色・無音の深度を際立てて、サビに向けてワインレッドのような不穏と美しさを咲かせる音源版と比べるとジャジーで軽やかな音がとても気持ちいい。
ギターもがっつり効いていましたがそれもライブに合わせたかのようなほの明るいオシャレさがありました。
ここまでスロウな曲、重めの空気感が続いてきた中でそれを一気に爆発させるようなエネルギーをぶつけてくるこのセトリの妙も、アレンジやライブならではの盛り立て方を活かしながら曲の空気感を会場にチューニングしてくるのも本当に凄かったです。
歌声ではしっかりと締めながらしなやかな動きを基軸に可愛らしいパフォーマンスも織り交ぜる理芽チも良かった。
〇甘美な無法
これを現地と生バンドで拝めるなんて本当にありがたい話ですよ。
私が明確に理芽というアーティストの楽曲とMVにがっつり興味を持つきっかけになった曲なので、大変嬉しかった。
ここまで高く柔らかく撫でるような歌い方が続いた理芽チの声も音域の低下に合わせて不意に芯を帯びます。背後に流れるMVと会場を赤く染めるライティングも相まってすごく雰囲気あるシーンでした。
そしてこの曲の真骨頂、サビに向けて強く細かく刻まれる音と原曲通り音に合わせて疾走感を帯びる映像が興奮を煽り、そしてピアノが添えられる上空の静寂から音がより踊っていきます。
ここのサビ周りの一連の音と歌唱と空気感は本当にぞくぞくしました。
多分過言ですが、曲がふと落ち着く月夜のパートは特にバンドの演奏と理芽チの歌声が綺麗に溶け合っていて、本当にMVの中のような風と温度感すら感じた。
元の曲が音の使い方に遊び心とオシャレさを散りばめているのもあってか、現地は聴く以上に体験としての楽しさとインパクトが強くて非常に良かった。
映像の空気感に合わせたアレンジと歌唱が展開される楽曲はどんどんやっていってほしいですね。
●MC
前日の流れを継いで乾杯です。この日は玄米茶が世界一うまかった。
ミラーボールくらい綺麗な女性(本人談)が可愛く喋ったり照れたりするのはとてもいい光景でした。
宿木がPさんのオキニ曲というのは初めて知った情報&そもそも曲をここで初めてしっかり聞いた身でしたが、妙に納得感があった。
あとは定番のウェーブも楽しかった。この辺は後ろの席のうま味を感じました。
〇さみしいひと / 〇食虫植物
Day1にぶっ放していたのでその出番が気になっていた曲たちがここから出てきます。やはり外せませんね。
前日より多めにきいていた「わっふ~」が助かる。
筆者は同じ演者のライブを連戦したり同セトリのツアー参戦等の経験はありませんでしたが、前日と同じ曲を聴くというのもなかなかオツでした。
衣装も会場の空気感も違うのでまた別の魅力がありましたし、心なしか派手になったアレンジと柔らかくパフォーマンスする理芽チは前日とはまた別物で良かった。
続く食虫植物。こちらもDay1と異なるアレンジです。
…ちょっと自信はないですけど違いますよね?
アーカイブだと顕著ですが両曲とも会場で聴いてなんとなくでも感触の違いが分かるあたりプロってすごいなと感じるところでした。
この辺の代表曲共の理芽チの歌唱の仕上がり具合と世界観の投影は流石の一言に尽きます。
〇ユーエンミー
後半戦一曲目にデビュー曲を持ってきます。
全編通してですが今回は本当に長く推している人や私のような入り口となった時期が昔の人も楽しめるライブでしたね。
このタイミングで原点の曲を、その当時とは比べ物にならない程に経験値も精神も声も歌い方も成長した彼女が歌うの良いですよね。ベタかつ王道な熱い流れですがそれを神椿、ひいては理芽のように芯が決まった人の舞台で見られるというのがとても良かったと私は感じます。
理芽チのあ行の語尾が艶めいた跳ね方する歌い方が好きなので、2番の歌詞とかは嚙みしめるように聴き入っていました。
転調のところなんかも本当に歌声が強く素敵になったんだなぁと思い知るほどの違いを感じられて凄く良かった。高音の美しさに加えて安定したパワーが出力できるようになった理芽のユーエンミー、最高です。
〇えろいむ
その前に新形態お披露目が挟まってきます。
もう非常にね、
かわいい。美しい。
衣装のデザイン自体は他と比べても割とシンプル寄りですが、個人的には色合いが凄く良いなと思いました。
イメージカラーは髪色と同じく青の彼女ですが、正直衣装の色彩の強さや楽曲のはらむ空気感的に赤色を振りたくなる瞬間やそのままイメージカラーを錯覚しかける瞬間があるんですよね。
歴の浅いオタクの症状だとは思いますがそういった印象もあっただけに、この青が主役になって燃えるような色合いと闊達さを際立てる真っ赤なニーソはパッと見た瞬間から凄く良いなと思いました。
後は何より髪型。後ろ髪もですがショートと言えばいいか姫カット感と言えばいいかの前からサイドにかけての髪の造形と質感が凄く良い。
美しいし可愛いんですよね。今までの衣装や形態に無かった方向性に加え、曲によって纏う空気をがらりと変える彼女にピッタリなところも素敵なスタイルでした。
大人の女性らしさ全開で普通にドキドキできます。
現地で聴くえろいむは音の治安の悪さにノる時間が大変楽しいですね。
3枚揃ったギターがそれぞれ好き放題やってくれるので音から感じる不穏が一層映えます。
頭を振るタイプの音が混じった曲が一番楽しいですよ。
〇法螺話
沁みた。
心なしかこの曲に入ってから会場での理芽チの声の通りが強く、くっきりとしたものに感じるほどにはガラッと空気の変わった感覚がありました。
洋楽らしさと言いますか、およそVの世界の音楽だけでは触れる機会の少ないタイプの静謐な音のあしらい方がそれまでの会場の熱を塗り替えていくかのようでした。
纏う衣装を表すかの如く少女も女性も行き来する歌声の理芽と、嘘を歌う曲との親和性が良すぎました。
〇十九月
不思議な曲ですよね。正直、これを現地に持ってくるかという驚きが先立ちました。
そもそも私の中でこれは曲なのか、もっと別の何かではないかという感覚がかなり強いです。
余りにも世界観が強い、がSFと説明なくわかる世界に普遍的な感性が入りこむ抒情のようなものを理芽チのひんやりと優しい声が刻むところとか、楽曲を好きだと思う時とはまた別物の感覚の好きが芽生えるんですよね。
会場ではとにかく言葉一つひとつを聞きこぼすまいと客席はしんとしていて、でもコーラスに合わせてライトを揺らす光景はみんなが感情をいっぱいにたたえているような温かさがあってとても愛おしかったです。
〇おしえてかみさま
新衣装をひとしきり見せてくれたMCの後にバンド紹介が入ります。
Day1とは紹介順が逆という地味な粋もあって良かった。
何度ライブを経験しても、この瞬間は曲とは違うニヤニヤが止まりません。
本当にかっこいい。
そして途中からその影をのぞかせていたメロディのまま曲に入ります。
前日も感じましたが本当にこの曲はライブ映えします。キャッチーさとシンセのアンバランスな魅力が掛け合わさる心地よい不気味が病みつきになる。
土台に敷かれる気持ちのいいリズムとイケイケなアレンジ、そして高低強弱に至る全ての理芽の歌声の魅力を攫える最高の時間でした。
〇フロム天国 / 〇ピルグリム
振り付けから急に可愛くなった理芽チ、続けざまに歌声もかわいく仄かに不穏にチューニングしてくるので面食らいました。
曲中はずっと可愛い一幕でした。ステージの歩き方から目線の流し方まで一貫してかわいいのに加えて、鼻にかける感じやウィスパーまで多彩に使いこなす歌い口が会場に溶けていくのもとても心地よかったです。
続くピルグリムでまた空気をガラッと変えてきます。
こちらはDay1で披露済みの曲ですが例に漏れずアレンジも、何より理芽チのテンション感が高く柔らかくなっていてまた楽しかった。
何度聴いても安定感と感情の豊かさに舌を巻く歌唱だけでなく、ハイテンションに声を張り上げる理芽チに会場みんなでそろえる指パッチンと楽しいポイントも生まれていてとても良かったです。
〇やさしくしないで
MCも終って名残惜しい空気からラストの曲。
ぴったりでした。
理芽チ、本当に歌いこなせる曲の幅が凄まじいアーティストだなとひしひし感じました。
不穏もかわいいもエモも全部全部、持ちうるパワーの限りで色んな曲を歌った最後にこんな優しい歌声を添えてくるんだからズルいなと思います。
恋模様を寒色に例える歌詞も、やさしさを受け止めない優しさも理芽チの歌声に包まれていて、会場が透明と光でいっぱいになるかのような時間に抱かれながら曲が終わっていく時の感情は忘れられないです。
アンコール
〇きみが大人になったんだ
テンションのたっかいアンコール、理芽チコールに困惑しながらも参加し、戻ってきた彼女のバックに流れている曲に再度戸惑いました。
知らないメロディです。
履修漏れしていたかと焦りましたが新曲でした。
二日間通してぶっちぎりで暴れるギターの音たち、ケロケロしながらも高く澄む理芽チの声、何より確信は無くとも強く曲を支えるコーラスの男声と曲の世界観とが頭の中で結び付いた時の興奮は凄かったです。
遂に出た笹川真央との連名義曲。待ってた。
3連符を軸に始まるノリノリのリズム、そしてメッセージに反して明るさが色濃い言葉選びが溶け合う楽曲の空気感がアンコールの興奮とも合わさって、会場全体が大盛り上がりでした。
周囲の席のお兄さんがたも大興奮だったので負けじと腕・頭を振って楽しむことができました。
〇百年
この前のMCで展開された理芽チの語りについては書けません。
是非アーカイブでも円盤でも、8分以上のあの語りを、初めて観客を前にして自分の言葉をまっすぐ綴ったあの時間は不思議なものでした。
生き方考え方は人による、その人の抱えるものによりますし、こんな頭の悪い書き口しかできない私の言葉で編みなおすのはもったいない語りで、それをあの場あの空気で触れられた感謝やそこで考えたことがこれからの自分に少しでも波をもたらしていればと思うばかりです。
そんな生き方についての話から来ていい曲じゃないですよ。
実に、大変にお恥ずかしい話で、今までずっとこの曲のタイトルは”ひゃくねん”と読んでいました。
貴女”ももとせ”って読むのね。
こんな恥ずかしい思い違いをしていますが筆者はこの曲が大好きで、というかこれ目当てで今回のライブの応募をしたところがあります。
社会人一年目、慣れない土地での仕事と一人暮らし、繁忙期に追われ増える仕事とミス、加えて北陸の雪の寒さと重さ。今思い返すとかなり精神的に参っていた当時の自分はこの曲にかなり救われていたように感じます。
別に励ます訳でも希望や厭世を強烈に歌う訳でもないのに、そっと萎んだ心に温かく手を置かれるかのような優しさに心を軽くしたり時に泣いたり、雪の中を必死に歩いて帰る夜の寒さにこの曲を溶かして噛みしめたり、本当にたくさんの光を貰っていました。
そんな自分がチケットを当ててまず抱いた「百年を現地で聴けるかもしれない」という期待はライブの間もずっと高まっていて、それがこんな形で叶うなんて幸せな話です。
ピアノアレンジから入る静けさの中に丁寧に言葉を紡ぐ理芽チ、このときから雪の夜のようなしんとした空気を纏いだします。
歌声は消えてしまいそうな程に儚く、それでも優しく揺らめいていて、ずっと聴いてきた寄り添うような温かさにあふれていました。
あとはずっと泣きながら聴き入っていました。シンバルの音でも歪む機械音でもなくバンドサウンドがサビに向けて声を伸びやかにする理芽チを支える時間、時にいたずらっぽく笑うような歌声、会場で揺れるペンライト、転調で寄り美しくなる音楽、心がこぼれる歌い方。
全部が止まっているかのようで、でも一瞬で終わっていくからそれをさみしくも思ってしまって、そんな余計な感覚すらも忘れられないほどに美しい時間でした。
〇狂えない
お祭り騒ぎの一日目、感情をめちゃくちゃにされた二日目を経て、うだるような暑さと音楽の熱に焼かれたこれまでを締めくくる夕焼けのような歌でライブは終わりに向かいます。
煮え切らないまま終わることは無く、夏の終わりにしっかりとこの心を朱くあたたかに焼き尽くしてくれました。
RIMの歌声の魅力と音楽に寄り添う力の強さが詰まった曲の筆頭と呼びたい「狂えない」。赤いライトと楽しかったが終わらないで欲しいという寂しさが満ちる会場に響くこの歌は本当に心掴まれました。
歌声でストレートに訴えかけられる落ちサビからの歌唱は特に見事で、曲だけではなく歌声の熱の上がり方に会場も引っ張られていくかのようなパワーがあった。
柔らかな曲の中にあふれんばかりのパワーも感情も寂しさも詰まっている、本当にいい時間でした。
今回のようなライブが叶った事に思うことはDay1のレポでも触れたので今回は無し。
というかそんなものは要らないほどに良いライブでした。
本当に夢のように終わってしまった時間でした。
理芽にしかできないライブというものを見たような気持ちです。
アゲアゲな一曲目から始まって、盛り上がる曲を畳みかけてゲストともコラボなんかしちゃって、ラストに盛り上げてアンコールから感動のMC、大トリに代表曲で大盛り上がりして銀テープを打ち上げて、みんなでジャンプして大団円。なんて。
こんな展開はどこにもない、ふと舞台上に開けた理芽の世界に心を浸しているうちに終わってしまって、それを寂しいと思いながらも笑いと嬉しい心を抱えたままのライブは本当に幸せなものでした。
それを形づくっていたものは沢山あったでしょう。
理芽の才能、積み重ね。
彼女を生み出し共に歩んだ楽曲と製作者たち。
声も姿も歌い方も変え、彼女を一人の女性として変えた5年という時間。
取り巻く環境とその変化。
様々な音楽を愛し吸収していった日々。
そして観測者たち。
これらすべての先に立った自然体で究極に理芽らしい、アーティストでオルタナ可愛くて、その心も成長も全てがぶつかる最高のライブでした。
だからこそ、本当に言葉にすると薄っぺらくて、本当に感じたままに書き連ねてもその一端にすら近づけないものがあの会場にはあったと思います。
集大成と語られてしかるべきものではありましたが、これを成したのは初めて観測者たちに直に届けるライブがこんなに素敵なもので、まだまだ自由に求めるままに歩んでくれるだろうと思わずにはいられない理芽というシンガーです。
これからも自分の音楽、想いに埋もれることなく、ボブカットに揃えた髪から覗く表情のような大人っぽさと無邪気さの二面性を宿し熟していくように、彼女が見せてくれるであろうありのままの音楽を応援していければと願う2日間の締めくくりでした。
次回魔女の一人として幕張に立つのももうすぐです。
これからも理芽の世界を楽しませていただきます。
締めます。
上手くまとまりませんでしたが、あの高揚の自分用の覚書きになればというものにはなったと思います。
ライブを作った全ての人に感謝です。
ありがとうございました!