辞め新卒が1年ぶりにネイルをした話
会社を辞めて次の日にジェルネイルをしてきた。
爪をきれいに整えてもらい、好きな色やラメ、ホログラムをのせてもらった。
たったこれだけ。
たっっっったこれだけ。
涙が出るほど嬉しかった、ほんとうに。
会社を辞めることよりもネイルができることが嬉しくて、毎日カウントダウンしてた。
お姉さんが爪に色をのせてくれるたび、わくわくして嬉しくて、嬉しすぎて心で泣いて顔はバレないようににやけてた。
ジェルを硬化させる機械に手を突っ込むたびに、失っていた自我のかけらを取り戻していく感覚。
わたしの就職先は小売業界でした。
2017年10月、内定式でルールブックのようなものが配布され、そこには髪色とネイルの色の規定が当然のようにありました。
ゴールドのラメグラデーションを爪の先に施していたわたしは、爪の上にシェルを重ねるのと同じようにほんとうの心の上にうす暗い色をかけて「あと5ヶ月派手に楽しもう」とポジティブに見せかけた気持ちを固めました。
いざ入社し、1ヶ月、3ヶ月、半年が経ち、ずっと「ネイルしたいな」という気持ちは1秒たりとも消えませんでした。
最初はこの前までネイルしていたからだろう、と考えていましたが、半年が過ぎたところでそうではないということを認めざるを得ませんでした。
ペンを持って書類を書く時、引き出しから何かをとる時、いつ何時も手元は目に入ります。
そのたびに、「はあ〜〜...(爪が裸でかわいくね〜〜恥ずかしい〜〜..)」と心の中でため息をついていました。
それもそのはずネイルをしていた頃はなにをしても「わたしの爪ちょ〜〜かわいい、まじで」と落ち込むことがあっても(そもそもあまり落ち込むことはなかったけど)、毎秒毎秒常に、自己肯定していた、今思うと。
美容ライターの長田杏奈さんの「美容は自尊心の筋トレ」という言葉が大好きで、ほんとうに心からそうだなと思っている。
爪がかわいいだけでこんなに自分を肯定できるのだから。たった数千円、数時間でそれが買えるのだから。
純粋に、どうしてジェルネイルが禁止されてたのだろうかと思う。
誰にも迷惑かけないのに。
お葬式で真っピンクの爪で行くのはもちろん違う。
そうじゃないのに、純粋に、なんで?ってずっと思ってた。
もちろんネイルなしで自己肯定感でいっぱいにいられる自分でいられたらそれがいちばん最高だとは思う。
ネイルを禁止されたことでずっと自分の大事な武器を取り上げられたみたいな気分だった。
髪を染めるとか、爪に色を塗るとか、ヒールの高い靴を履くとか、ぜんぶぜんぶわたしにとっては武装だから。
わたし、ますます強くなっちゃうからね、元弊社。
以上!