隠し調味料は、あなたのもぐもぐ。
「おいしいもの食べるのって、本当おいしいよね」
ご飯を食べてるときほっと息を吐きながら、
そんな当たり前のことを言ってしまう。
こないだの夕食は、
夕方スーパーに行ったら割引されていたブリカマの塩焼きと、
ご飯、お味噌汁、
かぶを塩昆布とごま油で味付けしたやつ。
すごくシンプルで簡単。
煮込み料理とかではないし、子どもが喜びそうな献立でもない。
でも娘は口をもぐもぐさせてる。
まだ口に入ってるだろうに、次の一口を入れようとしてる。
あ、箸からごはんがポロっと落ちた。
無事に(?)テーブルの上に落ちたそれを手で拾って、口に入れる。
もぐもぐ。もぐもぐ。
ブリカマは脂がのってて、塩を振っただけでおいしいし、
ご飯、お味噌汁も当然おいしい。
かぶも葉っぱと白い部分で食感が違くて、おいしい。
はあ、なんておいしいんだろう。
1日の疲れが、ホッと吐いた息と一緒に出ていってくれた気がする。
その代わり、おいしいものが入ってきてくれる。
娘がお味噌汁のお椀を包むように両手で持って、
少しだけ残っていた汁の最後を飲み干す。
わかめか豆腐が残っていたみたいで、
お椀をテーブルに置いてからも口を動かしていた。
私は子どもが食べてる口元が好きだ。
なんか幸せなものを見ているような気持ちになる。
娘は時々「おかあさんがつくったごはんは、おいしいね!」
と少し台詞のように大げさに言ってくれることがある。
今日は特に言われていないけど、
その口元を見ればわかる気がする。
おいしいなと感じてくれている気がする。
この雰囲気に、ほっとする。
ほどよくパリッと焼けた表面と、ほかほかと湯気を出すブリの身の中のところ。
それにちょっとこだわってる塩を使ってから、
おいしいに決まってるんだけど、
ほっと息をつきながら
「おいしいものって、本当おいしい」と思うのは、素材がいいからだけではないと思う。
きっと、こういう気持ちで食べてるとき。
せかせかしたり、イライラしたりじゃなく、
ご飯の味をゆっくり感じながら、
自分の好きな空間、雰囲気、その日の気分にあった献立に心が安らぐと
好みの味付けとか、好きな食材とかそういうのもいいけれど。
どこで、誰と、どんな風に食べるか。
そういう隠し調味料が、食事をもっとおいしくしてくれる。
私にとっての隠し調味料は、娘の「もぐもぐ」。
娘にとっての隠し調味料は、なんだろう。
「お母さんと一緒に食べること」だったら
嬉しいな。
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