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離婚もよぎる、真夏の大天井岳 part1
昨年の夏、人生初めてのアルプス登山をした。登山自体はコロナ禍でハマリ、夫と年に2、3回してはいたものの、どれも標高1000〜2000メートル程度の中低山が多く、本格的なアルプス登山は私も夫も初めてだった。
そんなアルプス登山初心者が今回登った山は、北アルプスの大天井岳。
そう、山をやる人ならみなさんご存知、あの大天井岳。なぜ大天井岳を選んだのかというと、山登りの楽しさに気づき始めた3年ほど前に、YouTubeでたまたま見た山登りVlogでの大天井岳の朝焼けが綺麗すぎて、それがどうしても忘れられずずっと私のやりたいことリストのなかにあったのだ。いつか登ってみたいな〜、が今回ようやく実現したのである。
しかし、実は私は極度の心配性。電車の遅延に備えて、外出の際は30分前行動をしたり、晴れ予報でも全身の雨具を常に携帯したり、ひどい時はいつ何が起こってもいいように携帯トイレや嘔吐用のビニール袋を持って遊びにいくほど。こんな非常事態恐れまくり人間と、最低限の持ち物で自然を感じるアクティビティというのは、本来非常に相性が悪い。おまけにプチ潔癖だ。そんな性格が故に3000メートル級の高山は避けていたのだが、それでも自然を追い求めてしまうのが人間の性なのか。ついに昨夏、大天井岳登山へと向かった。
さて今回の私たちの山行は、1日目に中房温泉登山口からスタートし、合戦小屋、燕山荘を経由して大天井岳直下の山小屋、大天荘まで登りそこでテント泊。2日目はそのまま来た道をピストンで下山するという1泊2日の計画。
そのため前夜から登山口の駐車場で車中泊して行く予定だった。が、時はお盆真っ最中の8月11日。昨年のお盆はほぼ晴れ予報だったのもあり、登山口最寄りの駐車場は24時時点でもう満車。少し下に降りた有明山神社の駐車場に停めて、朝5時の始発バスで登山口まで移動することになった。
ここで心配性女の不安ボルテージが若干上がる。でも初心者&非健脚な我々は、コースタイムにかなり余裕を持った行程にしてたので、まあ1時間くらいスタートが遅れるくらいだし大して変わらんか。と思っていた。
翌朝、朝5時に来るはずのバスが来ない。その後何本か臨時便のバスが来るも、すでに満員で有明山神社のバス停からは誰も乗れない状況。時はすでに7時近く、このまま待ってバスで登山口まで行けたとして、テント場まではコースタイムでも約6時間。体力のない我々のペースでは、ギリ日没までにたどりつけるか?といったところ。前に並んでいた健脚ニキ達ですら、ビバークに備えてテントをツェルトに変えていた。まじかよー。次のバスで乗れなかったら、諦めて上高地散策に切り替えようということになった直後、臨時便で運よく(?)ギリギリで2人とも乗れてしまった。
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そこからが地獄の始まりだった。いや、予習はしていたつもりだった。しかし想像を遥かに超えるキツさだった。
山登りをする人には有名だが、中房温泉から燕山荘までの登りは、北アルプス三大急登の合戦尾根を登る。標高もまだ高くなく、暑さも厳しい。
水が足りなくなったらどうしよう、と不安ボルテージがまた上がる…。登り初めて2時間、最初からうっすら不機嫌モードだった夫がついに、「 ねえ後どんくらい? 」とキレ気味で聞いてきた。
本来だったら、あと4時間くらいなんだけど、ここまでのペースと休憩考えるとあと6時間くらいかかりそうだった。でもそんな現実伝えたら夫がブチギレると思ったので、
「 あと3時間くらいじゃ無いかな 」と大嘘をついて、なんとか進んでいただく。こんな山の中で喧嘩するのはよろしくなすぎるので平和にいきたい。
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なんとか合戦小屋に到着。ここで夫がうどん大盛りとえび天を注文。食べ切れるらしい。ならいいけど。私は少食&この暑さで食欲もそんなになかったので、うどんをちょっとだけもらうつもりで、大盛りうどんとえび天を2つ、と注文したつもりが、伝え方のミスで大盛りうどんと、えび天うどんが届いた。当然私は食べきれないので、夫は結局自分のうどん大盛りと、私のミスうどんの半分を食べてくれ、(優しい)約2杯分もうどんを食べた。そんな食べたらこのあと苦しいのでは…と思ったが、夫は腹が満ちて機嫌回復。どうやら腹が減って怒っていたらしい。
あーよかったよかった。ここからは平和に楽しく登っていけそうだ。
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と思ったのも束の間、私の心配した通り、食べ過ぎて腹が重くなった夫がさらに不機嫌になったのだ。申し訳ない気持ちと、だから言ったじゃん…という気持ちで私もだんだん悲しくなってきた。もうなんなら私も帰りたい。夫は首のヘルニア持ちなので、テン泊装備のザックもしんどいし、頭も痛いと言い出した。
この時燕山荘まであと30分の距離。ここから大天荘までの距離を考えると、引き返すならここが限界だと思い提案したが、引き返すのももうしんどいと言う。
もうなんなのよ。なんとかかんとか夫を鼓舞しながら燕山荘に着いた。
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そして着いてびっくり。こんなにも絶景だったとは。
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あーもうこれこれ。これが見たかったんです私は。ここでお互い疲労がちょっと消え、和解。あゝ山は偉大なり。ありがとう山々よ。
ここで今朝のバス待ちで前にいた健脚ニキ達を発見してほっとした。あーそこまでペース遅くもなかったのか、と安心できた。ありがとう健脚ニキ!
この絶景の中を歩くのであれば、ここから大天荘までも楽しく、時間通り行ける気がする。さあ、気を取り直して、ここからさらに大天荘まで進むわよ!!
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しかしここから地獄が始まることはまだ知らない我々。続きはpart2で。