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対数関数はなぜ便利?指数関数と比較して最初の難しいを回避する方法
はじめに
対数関数を学び始めたばかりの時、「なぜこんな計算が必要なの?」と疑問に思うことがあるかもしれません。指数関数の概要は何となく理解できていても、対数関数の記号や意味がわからず混乱することがあります。そこで今回は、対数関数がどのように便利なのかを具体例を交えて説明します。
指数関数と対数関数の基本
まず、指数関数の基本をおさらいします。例えば、以下の式を考えます。
2の100乗がyを考えてみました。
2^100=y
この場合、指数関数としては、2を100回掛け合わせた結果がyなんだということだけがわかります。
しかし、対数関数を使うと、新しい視点が得られます。
この場合、たとえば、2という底という基礎の数字を4に増やしたとき、何回指数を掛けたらいいか?ということが、対数関数でわかるのです。対数関数は数が膨大、もしくはミクロになった時に便利なツールなのだそう。
逆関数って何?
その前に、指数関数というのは、y=a^xであらわされる関数で、指標となる変化する数が指数xであり、結果がyという真数です。つまり、指数関数というのは指数がどう変化したら、結果のyという真数が変化するかというものです。
これに対して、対数関数というlogは基礎の構造は指数関数なのです。ただ、笑点、でなくて、焦点の当て方が変わってきます。というのは、指数関数の場合は指数がどう変化したら、結果のyが変化するの?でしたが、
対数関数の場合は、結果のyもいろいろあるよね、当然だよね、指数が変化したら結果が変化するのだから。でも、もし、結果が先にわかっていて、その結果ってどんな指数でできているの?と思った時、結果が分かっている場合に指数がどんなん?がわかるのが、対数関数なのです。
そうなるためには、指数関数であるy=a^xという式について、これは、
結果=a^指数
となっていますので、指数を結果にするためには、指数を左辺に持ってくる必要があります。そして、結果を要素とするために右辺に持ってくる必要があります。
簡単な式でいいますと、たとえば、y=2xの場合、yという結果はxという未知数の値によって変わりますというか、xがわからないとyはわかりません。
ですが、yが分からないとxが分からないという状況をつくりだすのです。
そのために、今度は、x=〇〇という、xを結果とする式を作り出す必要があります。
そのために、y=2xを、xについて解きますると、
x=1/2yになりました。
これが逆関数とよばれる所以(「ゆえん:理由」て読むんだって)です!!
つまり、逆関数とは、簡単にまとめると、指標(結果の要素)となっている値と、結果となっている値があったとき、結果を指標にし、指標を結果にすることなんだなと。
y=2xをxについて解いたx=1/2yは、この地点で指標xが結果になっています。ですが、このままだとグラフでは縦方向がxになってしまっているので、yとxの変数をそれぞれ、xをyに、yをxにすると、
y=1/2yとなります。
これが、y=2xの逆関数なのです。
そして、元の関数と逆関数はy=xに対して対称な関係性にあるとされています。なので、y=2xと、y=1/2xはy=xに対して対称です。
ここまでが逆関数についての簡単な説明でした。
で、
対数関数は、指数関数の逆関数と言われています。
なので、指数関数y=a^xを「xについて解いて、そのあとxとyを入れ替えれば対数関数になる」というわけですね。
で、なぜこのようなことをするのか?については、指数重視(指数を結果として取り扱う)ためなんですね。
指数関数y=a^xをxについて解いて、xとyを入れ替えたら、
y=log_a_xとなります。省略して、y=logaxと書いています。
このとき、わかりやすくすると、
指数=log_真数_指数で、省略して、指数=log真数指数 となります。
たとえば、このとき、指数関数y=a^xにおいて、yは真数、aは底(という数)、xは指数です。
なので、指数関数の場合は、
真数=底^指数
となっています。
では、具体的に。
対数関数への変換
指数関数を対数関数に変換すると、次のようになります。
たとえば、指数関数2の100乗がyだったとします。(yは未知数としています。計算が膨大になるので)
このとき、指数関数であらわすと、y=2^100となり、
注目されるべき結果はyであり、指数ではありません。指数は指標(yを決める要素)として機能しており、ここでは100という具体的な数値が与えられています。
ですが、指数に着目し、指数を結果にしようよ、ということで、対数関数の登場です。
対数関数は、
指数=log_底_真数
でしたから、指数100、底2,真数yという未知数でしたので、
指数=log_底_真数
にあてはめると、
100=log2y
ここで、対数関数としての表現に変換することで、異なる底を持つ場合の計算も可能になります。具体的には、底を2から4に変換することを考えます。
これは、y=2^100のとき、底が2だったら、結果のyになるまでに100乗したけれど、底を4に変えたら何乗に軽減できる?というものです。底変換ですね。
底の変換
底を2から4に変換すると、次のようになります。
指数=log_底_真数より、底2,真数yであらわされているlog2yを、底を4に変更するとどうなる?です。
このとき、こういう公式を使います。
新しい底をつくるとき、既存の底をつかったlogは、こう変化させます。
y=2^100という指数関数のとき、
y:既存の真数
2:既存の底
100:既存の指数
4:新しい底
と考えます。このとき、
既存の指数=log既存の底_既存の真数であらわされていて、具体的には、
100=log2_y
でした。
このとき、こういう変化の決まりがあります。
log既存の底_既存の真数において、既存の底から新しい底に変える時、
⇒
log既存の底_既存の真数は、
(log新しい底_既存の真数)÷(log新しい底_既存の底(このポジションにある既存の底は、このポジションが真数のポジションであることから、新しい真数のことでもあります))
ポイントは既存の底を要素とするlogが分母にきているということです。
そして、新しい底に既存の底が入れ替わったことで、既存の底は、「新しい真数」になっていることにも注目です。
つまり、ポイントを言い換えると、新しい真数になった既存の真数が分母にきていて、新しいlogつまり、logは指数を表しましたので、新しいlogつまり、新しい指数を構成しているということです。
つまり、新しい指数の源(分母)は、既存の真数であるということですね。
前置きでした。
そして、本文、新しい底として4がきたので、
log2yは、log4y ÷log4_2
と変化します。
log2y=log4y/log42
ここで、右辺の分母log4_2 は2なのです。
なぜかといいますと、今度は分母にだけ着目してください。つまり、log4_2だけに着目です。このとき、
既存の底:4
既存の真数:2となっています。
ここから、もう一度、新しい底に既存の底4を変換します。
このときの新しい底は2にします。
すると、
log既存の底_既存の真数は、
(log新しい底_既存の真数)÷(log新しい底_既存の底(このポジションにある既存の底は、このポジションが真数のポジションであることから、新しい真数のことでもあります))
でしたので、
log既存の底4_既存の真数2は、新しい底2に変換するので、
(log新しい底2_既存の真数2)÷(log新しい底2_既存の底4)
で、
(右辺の分母である)log4_2=log2_2 ÷ log2_4
となります。今分母の話しています。
分母において、分母の部分が分数になっています。
分数になった分母の、分数の分母であるlog2_4はこのように変形できます。
log2_2^2
これは既存の底4を2の二乗にしました。
ここで、対数関数では、このような決まりもあります。
「log底_真数」において、「log底_真数^n」に変形できるのなら、真数にくっついている指数のnは、logの前にもってこれる!つまり、n×logの形にできるということですね。
なので、
分数の分母であるlog2_4はこのように変形できます。
log2_2^2
で説明いたしましたlog2_2^2は、
2×log2_2というように、2の二乗の2部分が、logの前に来たというわけです。
そして、このとき、log底_真数でlog2_2で、そもそも底と真数の関係は、
真数=底^指数でこれが指数関数で、これを逆関数にし、対数関数にしたのが、log底_真数=指数
でしたので、
log2_2は、log底_真数となり、指数関数にすると、2=2^指数となります。
このとき、2の1乗が2ですから、指数は1となります。
そして、log底_真数は、指数を表しており(logは指数をあらわしている)、log2_2=指数1となります。すると、分母だけに着目した計算はこちらになります。÷以下に着目です。
(右辺の分母の)log4_2=log2_2 ÷ log2_4
∴log4_2=log2_2 ÷{(log2_4)÷(log2_2)}
∴log4_2=log2_2 ÷{(log2_2^2)÷(log2_2)}
∴log4_2=log2_2 ÷{2(log2_2)÷(log2_2)}
ここで、log2_2=1なので、
∴log4_2=log2_2 ÷{(2*1)÷1}
∴log4_2=log2_2 ÷2
というわけで、分母は2になりました。
そして、分子に今度は着目です。分子log2_2も、このlogは、2乗して2になるような指数のことをいっているので、この時の指数は1となります。
∴log4_2=log2_2 ÷2
∴(右辺の分母の)log4_2=1 ÷2
というわけで、
右辺の分母のlog4_2は1/2であることがわかったので、右辺の分母は1/2で計算を進めていきます。
で、何の話だったっけ?となりませんか?
2^100=yのとき、2を4にしたら何乗ですむのか?ということでした。
まずは既存の底2だけで考えて、指数関数から対数関数にします。
(復習)
2^100=yについて、新しい底4^何乗のx=未知数のyが指数関数なので、対数関数になおすと、指数xについて解いて、xとyを入れ替える逆関数だったので、そうすると、
x=log2y
xとyをいれかえて、
y=log2x
ここから、新しい底4に既存の底2を変換し、このときにですね、決まりがあって、右辺が分数になったのですね。
log2y=log4y/log42
そいで、分母だけに着目して、さらに分母だけ、新しい底2にまた変換したので、分母は1/2になったのでしたね。(復習終わり)
log2y=log4y/log42は、分母1/2なので、
log2y=log4y÷(1/2)
そもそも、左辺のlog2yは、y=2^xという指数関数を対数関数に変換したものなのと、logは指数をあらわしているので、
xという指数=log2y
です。
ここで、指数は2^100=yでしたので、指数は100ですので、
100=log2y=log4y÷(1/2)
となります。
ここで、「÷分数」というのは、たとえば、2÷1/2は、2*2となりますから(逆数をかけるので)、
100=log2y=log4y÷(1/2)
∴100=2log4y(補足:100とlog4y÷(1/2)だけに着目。既存の底2のlogは考えずに)
両辺を2で割って、
50=log4y
log4yとは、底4,真数yのとき、指数関数であらわすと、y=4^xとなり、x=log4yの意味です。
つまり、底4にしたら、指数xは50ですむということがわかりました。
log4y=100/2=50
したがって、底を4に変換した場合の式は、
4^50=y
となります。
このように、aのx乗というとき、xの値が膨大で、真数yの値もわからなくても、底aと指数xさえわかれば、底の大きさを大きくすれば、指数がどれくらい減らせるかなどがわかるということですね。
結論
対数関数を使うことで、底を変換しても結果(真数)が同じであることを確認できます。これにより、掛け算の回数を半分に減らしながらも、同じ結果を得ることができるのです。対数関数はこのように、計算の効率化や数値の比較を直感的に行うための強力なツールです。
対数関数の重要性と用途
指数関数の逆関数:
対数関数 y=logaxy = \log_a{x} は、指数関数 y=axy = a^x の逆関数です。対数関数を使うことで、指数関数の逆操作を簡単に行うことができます。
スケールの変換:
対数関数は、非常に大きな数や非常に小さな数を扱う際に便利です。例えば、地震のマグニチュードや音の強さ(デシベル)、酸性度(pH値)などは対数関数で表されます。これにより、数値のスケールを簡単に理解しやすくなります。
掛け算を足し算に変換:
対数関数の性質を利用すると、掛け算を足し算に変換できます。これにより、計算が簡単になります。例えば、対数の性質を使えば、次のような関係が成り立ちます:
loga(xy)=logax+logay
これにより、掛け算の計算が足し算に変換され、計算が容易になります。
指数的な成長や減衰の解析:
対数関数は、指数的な成長や減衰の解析に非常に有用です。例えば、細菌の増殖や放射性物質の崩壊など、指数関数的に変化する現象を解析する際に使われます。
微分と積分:
対数関数は、微分積分学においても重要です。例えば、対数関数の微分は簡単に求めることができ、積分の計算にも役立ちます。
具体例
地震のマグニチュード:
地震のエネルギーは対数スケールで表されます。例えば、マグニチュード7と8の地震はエネルギーにおいて10倍の差があります。
酸性度(pH値):
pH値は水素イオン濃度の対数で表されます。これにより、酸性度やアルカリ度を簡単に比較できます。
金融:
対数関数は、金融の利回りやリスクの解析にも使われます。例えば、対数収益は金融商品のリスクとリターンを評価する際に重要です。
多角的な見方
指数関数:
指数関数 y=axy = a^x は、xが増加するにつれてどのようにyが指数的に成長するかを示しています。
これは、例えば投資の利回りや人口増加など、指数的な成長を解析するのに適しています。
対数関数:
対数関数 y=logaxy = \log_a{x} は、yが変化することでxがどのように変化するかを示しています。
これは、例えばデシベルスケールでの音の強さや地震のマグニチュードなど、指数的な変化を解析するのに適しています。
因果関係の多角的な理解
対数関数を使うことで、特定の変数(真数x)がどのように変化するかを解析することができます。これにより、次のような利点があります。
逆の見方:
指数関数では、xの変化に対するyの結果を見ることができますが、対数関数ではその逆で、yの変化に対するxの結果を解析できます。
例えば、どのような条件で特定の結果(真数)に到達するかを理解するのに有用です。
スケールの変換:
対数関数を使うことで、非常に大きな数や非常に小さな数を扱いやすくなります。これにより、データを比較しやすくなります。
例えば、地震の強さや音の強さなど、対数スケールで表現することで、直感的に理解しやすくなります。
例
地震のマグニチュード:
マグニチュード6と7の地震は、エネルギーにおいて10倍の差があります。対数スケールを使うことで、この差を直感的に理解できます。
投資の利回り:
投資の利回りを対数で解析することで、リターンの成長をより詳細に理解できます。
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