ちょっとだけ、器用に生きる術
あなたの好きなものを、
私は好きじゃない。
あなたの大切なものを、
私は大切にできない。
あなたの生き方と、
私の生き方。
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好きな人の好きな歌は、
自然と私も好きになる。
好きな人の好きなものには、
興味が湧く。
家族、友だち、恋人、
すべての大切な人の大切なものは、
私にとっても大切なものになる。
そう思える事を幸せだと感じる。
そういう感情を私たちは知っている、持っている。
でもさ、
すべてを大切に出来るとは限らないでしょ?
これまで全てを受け入れ、
相手のことを理解することを努力で補っていたり、
自分の大切と置き換えられるほど好きになったり。
それは、自然と出来ていたことなの。
大切だと思えるものだから。それほど好きだから。
世の中にはいくつかのパターンがあると思う。
自分のすべてを捨てられるぐらい、
相手の大切なもので自分を埋め尽くすことのできる人。
全くそうは出来ない人。
元々器用にこなせる人。
何かを失いつつも、見て見ぬ振りが出来る人。
あなたにとっても、私にとっても、
広げた腕の中には限界がある。
その限界が来た時、
大切だと思っていたものが、
自分にとっても大切だと思えなくなる時もある。
そんなときに、
あなたの腕の中から本当に大切なものまで、
静かにこぼれ落ちていくの。
ひとには人それぞれの、容量ってものがある。
どうか、自分の大切を静かに落とさないで。
誰かの大切を、
一緒に自分のものにしながらも、
ちゃんと自分に目を向けていて。
違うと感じた違和感には、
違うと言える勇気を持って。
それはとても難しい、決して簡単なことじゃない。
少しずつ少しずつ、培っていきたい術だね。
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