『往復書簡』(仮)09往信

Tさんへ

返事がなかなか出せずにごめんなさい。
なにをどんな風に書けばいいのかわからなくて……。
こういう時はなんて言えばいいのか、私は身近な人の死を経験したことがないから、本当にわからなくて。
ただ、たぶん、Tさんが思うようにしたらいいのかなと思います。

私は、死について考えたことはありませんでした。正直、考えるだけでこわいです。できれば考えたくないです。
でも手紙を読んで、私もこれから、自分はどうやって生きて行くのかを考えるようになりました。まだよくわからないけど。
Tさんの道が見つかるといいですね。Tさんならきっと、見つけられると思います。

本を読むのは、別にきらいなわけではなく、ちょっと苦手というか
 でも、前よりも少しだけ読めるようになりました。買った本も半分くらいは読みました。読み終わったら、Hさんの別の本を買ってみようと思っています。

全然関係ないけれど、私は雨がきらいです。
湿気が多いと髪がまとまらなくて、本当に憂うつです。それだけで、学校に行くのがイヤになります。
それだけです。
それはぜいたくな悩みというものなのかもしれませんね。

Tさんも体に気をつけてください。なんだかちょっと心配です。
早く夏休みにならないかな。

では、また。

Sより


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