北沢志保 Purple Sky
自己紹介
初めましての方は初めまして。
そうでない方はお世話になっております。
ぺりめにと申します。
普段はアイドルマスターミリオンライブ!のキャラ、北沢志保さんの担当プロデューサーをやっています。
今回は来たる9thライブに向けて志保の楽曲である「Purple Sky」について私が感じたことを止めどなく綴っていきたいと考え、この記事の作成に至りました。
人様に読んでいただくには、些か拙い文章ではありますが彼女に興味を持つ一助になれば幸いです。・・・御託は少ない方が良いですね。
では、参る。
前書き
キャラクターの内面を写し鏡の様に歌詞に反映させたものや、アイドルとしてその子の強みを押し出したような曲がミリオンには多く存在しますが、
この楽曲はアイドルとしての北沢志保、一人の女の子としての志保。その両面を歌ったものだと考えます。
彼女が今迄に歩んできた道を、街を優雅に歩く様子が思い浮かぶ歌詞や耳触りの良いポップなメロディを用いてお洒落に表現する非常に完成度の高い一曲です。
イントロは雑踏の声、街の人の喧騒から始まりカセットテープの音で彼女の世界へと入っていきます。もうなんかこの時点で洒落てませんか?憎らしいほどクールに決まってますよね。
冗談はさておき、この楽曲が持つテーマの中に「周囲との触れ合いで得た変化」というものが含まれているのですが、この 雑踏→カセットテープの音 は既にそれを示唆する描写だと私は考えています。
ヘッドホンを被り、街の人混みの中、誰に押されるわけでもなく歩を進める志保の姿は想像し易いはずです。
そんな光景を頭に浮かべながら、ゆったりと耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
Purple Sky Ⅰ
1番の歌詞です。
注目すべき点は、太字。
言葉のみで読み取るならば寂しい孤独を連想させるものが多く散りばめられています。
ヘッドホンで外界の音を文字通りシャットアウト。彼女は一人きりの世界に閉じ籠る…訳ではないんですよね。
皆様もご存知の通り、北沢志保という女の子は孤高であっても、孤独ではない。
ここでの「ひとり」は個であって孤ではないということです。
例え彼女が今一人で舞台に立ったとしてもそれは寂しい独りぼっちではない。
今まで活動で得たもの、仲間との関わりで自覚した彼女の個性が濁りなく発揮される瞬間こそ最も美しいと言えます。
これはアイドル北沢志保の中で明確に「変わったもの」です。他人との触れ合いで彼女が自らの彩り、私色に気づいた。5周年楽曲のテーマに近しいものがありますね。
交差点を抜けて〜の部分は再三くどいようですが、人と交差することが成長には不可欠だった。それを経て今の彼女があるということを更に強く印象付けてくれる歌詞だと思います。
では「変わらないもの」は何か。
彼女の熱です。幼くしてアイドルに憧れたこの子は、その憧れの輝きを失うことなくアイドル界へと足を踏み入れました。
私色を自覚していなかった彼女は熱量を余らせ、どこか暗中模索な歩みだった時も少なからずあると言えるでしょう。
でも、それでも、憧れだけは心から零さなかった。そしてその想いこそが北沢志保の色へと繋がっていきます。
仲間との関わりが発芽のきっかけではありますが、自らの足で歩くことを決してやめなかった彼女ならではの成長です。
「夜の先で バラバラの未来を いつか重ね
孤独の中で 誰もが空見上げ
またはじめるのYour own color」
ここは中々面白いなと個人的に感じた部分です。
今は一人だけど、同じ空の下繋がってるよね!!
って程明るいメッセージではないと思うのですが、バラバラであっても私の色は見失わないし、あなたの色も失われないでしょ?
そんな付かず離れず(離れてはいるのですが)
の優しさ、柔らかさは志保っぽくて好きだなと感じました。
Purple Sky Ⅱ
2番です。
仲間との関わりで強く自覚した個性。その交差を表現した1番と打って変わって、入り出しから模倣、真似ただけの優しさなんていらないと吐き捨てます。
その言葉に続くのは彼女の寂しい本心。関わりを絶っているようで、どこかでは誰よりも繋がりを求めているのです。
だから 誰かにもらう幸せなんかより… と放つ言葉の先にはresonance(共鳴)があります。
共鳴って、一人では起こせないものだと思うんですよね。強い言葉の裏腹には弱気が潜む。いつもの可愛らしい志保っぽさを感じます。ぽさです。
その後も痺れるほど強く気高い意志が感じられる言葉が続きます。
これもまた彼女の本心。
路地裏 は過去の自分の表現なのかなと。弱い自分を超えて、未踏の地へ。自分の色は自分だけで見つけてみせる。といった気持ちが見えます。
落ち着いたメロディにはそぐわぬ彼女の強い野性を感じる歌詞で、強がりでありながらそれを成し遂げてしまうかの様な気迫には惚れ惚れします。
この野性と弱い自分への彼女の葛藤は「CAT CROSSING」で。
是非この曲も聴いてみて下さいね。
Purple Sky Last
この歌の最も愛おしいポイントはここです。
1番では人との関わりで得たアイドルとして
「変わったもの」を。
2番ではそれでも
「変わらなかった」
野性と強気な言葉を。
最近こそあまり耳にしなくなった言葉ですが志保はよく
「一人でも大丈夫です。他の子を見てあげて下さい」
といったセリフを口にすることがありました。
本当に一人でも大丈夫な訳じゃないのは火を見るよりも明らかですね。
この彼女の放つ突っ撥ねた言葉には、関わりを避けるという意図があります。
これは幼い頃の体験が一つの要因です。
お父さんがいない可哀想な子。と思われたくはない。だから一人でいるのが平気な様に繕う。
それは自分にも、関わる相手にも嘘を付く行為です。そして、自分で選んだ道ながらも彼女はこの行為自体にはとても怯え続けていました。
普通の人は嫌われることを嫌がりますが、志保は好意を向けられることを恐れています。
だから「孤独」が甘くて、「自由」が怖いのです。失うことを知っているから。
Blooming Cloverで実際に彼女が発した言葉が
不安は自由のめまい…とはまた違いますが、彼女にとって人の優しさに触れて得る自由はとても怖いものです。
それは多くの仲間との関わりを経て、自分の色を理解して受け入れた今でも、まだ完全には変わらない。
甘さを感じる孤独(ミルク)と怖さを感じる自由(紅茶)が混ざりあって、その不安が溢れたなら……
それでも。彼女は歩き続けるんです。濡れた靴のままでも。
乾く暇なんて待っていられない。
これがこの子のしなやかな生き様であり、今まで歩いてきた道です。立ち止まることは成長の打ち止めではなく、これまでの振り返り。
そしてまた歩き始めます。その先には少しずつではありますが、眩しく優しい景色があることを彼女は知っています。
ここで picking という歌詞に漸く繋がります。
色も道も必ず自分で選んできた子ですから。
よく、志保はその環境が故に強く成らざるを得なかった。という表現もされますが、
家族の為に強くあろうとしたことも、憧れたアイドルをその為に目指したのも、全部彼女が自分で選んだ道です。
やっぱり格好良いし、臆病から踏み出す勇気は愛おしくも美しい。
イントロで思い描いた街をゆったりと歩く志保の姿がより鮮明に脳裏に浮かびます。
後書き
いかがでしたか?
画像もなく、いささか読み手への配慮に欠けた駄文を読むことにここまで付き合っていただけた方はありがとうございました。
仲間との関わりで強まった個性、それでもまだ変わりきれない臆病と抜け出す勇気。
志保を知らない方でもお洒落でポップなメロディで楽しめること間違いなしの一曲ですが、活動の今までを知るともっともっと志保の魅力に溺れる素敵な作品だと思っています。
9thで志保が描く景色は必ず鮮やかで忘れられないものになります。
もっともっともっと彼女が多くの人に愛されますように!
まだまだ語り切れないところもありますし、尻切れトンボですが今回はこれまでにしようと思います。
………それじゃ、また。