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不法侵入者をたおした
私のバイト先の建物はよく見るとけっこうおしゃれなので、たくさんのインフルエンサーがうちの壁を背景に、自撮りをしにやってくる。
マネージャーはおおらかな人なのでとくに注意もしない。だけどそうしているうちに、だんだんインフルエンサーたちが大胆になってきて、ついにはうちのテラス席の椅子に腰掛けてお客に擬態するようになってしまった。お客じゃないのに!
インフルエンサーたちは大体いつも数人で行動していて、おたがいの写真を撮り合う。それも、数秒でシュッと撮って風のように去っていくらなまだしも、こだわりの一枚が撮れるまで10分、15分といる。
さすがに注意をしたほうがいいのか?……でも、なんで?って、考えてしまう。
もやもやはしても、彼女たちがあの場にいることで私に不利益があるかっていうとべつにない。彼女たちのためにうちのゲストが座れなかったとしたらそれはよくないから、注意したほうがいい。でも特に座りたそうな人がいなければ、まあいいんじゃないかな、と思ったりする。
で、たいていの場合、よくやるなーって視線を送るだけ送って注意せず終わるんだけど、あるとき、バイト先の私のかわいい同僚が、そんなインフルエンサーたちの敷地占有で動線をじゃまされてぷんぷんおこっていた。
これは許せないので、私は考えた。
考えた末に、張り紙を作ることにした。
「ここで写真を撮らないでください」
なんて、当たり前のことは書かない。そんなことをやっても意味がない。代わりにこう書いた。
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