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変人を自称する人の尊厳を守ってやって

道を歩いていると、私の後ろを歩いていた男の子二人組のうちのひとりが、とても悲しい話をしているのが聞こえてきた。なんでも、Google photoで別れた元カノと共有していたアルバムの写真が、気づいたら全部消えてたらしい。

「なんで消したんですかね」と、後輩と思われる男の子の方が聞いて私は内心(そんなわかりきったこと聞いてやるなよ!)と思ったが、写真を消された男の子は、「新しい男でもできたんでしょ。元彼の写真とってると思われるのが嫌だったんだろうね」と気丈に答え、私は(うんうん、きっとまあそんなとこだよね、でもドンマイ!)と心の中でエールを送った。

するとそこで後輩の男の子がさらに言った。
「で、なんで振られたんでしたっけ?」
無邪気に鋭い牙をむけてくるタイプの後輩だった。不憫な先輩は一体なんと答えるのか、ドキドキしながら聞き耳を立てていると、彼はこんなふうに言った。
「そもそも俺と付き合うなんて無理でしょ。俺みたいな変人と付き合える人なんてほとんどいないと思うよ」

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