咳止め薬を飲む前に知っておきたい大事なこと:エスエスブロン液の解説
意外と知らない4つの咳
咳止め薬は麻薬性鎮咳薬と非麻薬性鎮咳薬の2つに分類され、それぞれに多くの成分がありますが、咳止め薬は副作用が比較的弱めながら効果が抜群に効く非麻薬性鎮咳薬「メジコン」を選べば間違いないというのが私の見解です。
咳止め薬はメジコンでほとんどの咳は鎮まりますが、咳でやっかいなのが「随伴症状」です。随伴症状も咳と同時に対処しなければなりません。
1.4つの咳
咳は大きく分けて「4つの咳」に分類されます。
・痰がからんだ「ゴホンゴホン」の湿った咳
・痰のからまない「コンコン」の乾いた咳
・「ヒューヒュー、ゼェゼェ」と喘鳴が伴う息苦しい咳
・のどの痛みが伴う咳
咳が出るのは「咳が出る原因」があり、それは次の3つの「持続期間」で概ね推察できます。
2.咳が続く3つの持続期間
2-1. 3週間未満の咳
3週間未満の咳は、かぜやインフルエンザなどの「ウイルス感染による咳」が多いようです。ウイルス感染による咳は随伴症状として発熱、くしゃみや鼻水、のどの痛みや痰などいわゆる風邪の症状です。
2-2.2ヶ月未満の咳
3週間以上続く咳は、マイコプラズマや百日咳など「細菌感染による咳」が多いようです。症状は風邪と似たものですが、風邪にはない症状もあります。
細菌感染による咳は乾いた咳で、痰はからみますが鼻水を伴いません
症状が進行すると気管支炎や肺炎を引き起こすことがあるので、3週間以上咳が続く場合は病院での受診が推奨されます。
2-3.2ヶ月以上続く咳
2ヶ月以上続く咳はウイルスや細菌に感染した咳ではなく、気管支や肺が炎症している可能性があり早期の受診が必要です。気管支や肺が炎症して気道が狭くなると「ヒューヒュー、ゼェゼェ」の喘鳴が伴い、呼吸が苦しくなります。
病院ではメジコンの他にも、炎症を鎮める「吸入ステロイド薬」が処方されます。
咳止め薬は咳が出る原因を考えて服用する
咳が出るメカニズムは、気道内に侵入したホコリやウイルスが「咳受容体」を刺激すると、脳の延髄にある「咳中枢」が反応して異物を排出しようと咳を出しますが、原因はこれだけではありません。気道の炎症や気道の線毛にからまった痰を排出するためにも咳が出ることもあります。
つまり咳を止めてしまうと炎症や痰は放置され、咳が長引く原因にもなります
気道、つまりのどの炎症や痰はのどが乾燥した状態で発症するので咳を止めるより、のどの乾燥を改善することが優先されます。
のどの炎症に伴う咳にはすでに解説した水なしで服用できて、しかも眠くならない「龍角散」や「龍角散トローチ」があります。また、龍角散シリーズはキキョウとセネガの「去痰成分」が配合されているので痰がからんだ咳にも有効ですが、今回はメジコン去痰成分が配合された市販薬を解説します。
エスエスブロン液の成分その他詳細情報
エスエスブロン液L 1480円(参考価格)
成分
15歳以上1日服用量30ml中、
・デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物60mg
延髄にある咳中枢に作用して、咳の発生を抑えます
・グアイフェネシン170mg
気道粘膜の分泌機能を高めて、痰をうすめて排出を促します
・クロルフェニラミンマレイン酸塩12mg
アレルギー性の咳を鎮めます
・無水カフェイン62mg
他の成分の働きを助けます
用法用量
次の1回量を添付の目盛付コップではかり、いずれも1日3回食後に服用してください。なお、場合により4時間毎に1日6回まで服用することができます。
・15歳以上1回5ml
・11歳以上14歳1回3.3ml
・8歳以上10歳1回2.5ml
効能効果
せき、たん
してはいけないこと
・本剤を服用している間は、次の医薬品を使用しないでください:他の鎮咳去痰薬、かぜ薬、鎮静薬、抗ヒスタミン剤(鼻炎用内服薬、乗り物酔い薬、アレルギー用薬、催眠鎮静薬)など
・眠気があらわれることがあるので、服用後は乗り物や機械類の運転をしないでください
相談すること
・高熱や排尿困難の症状、緑内障の診断を受けた人は服用前に医師や薬剤師にご相談ください
・服用後に口の渇きや眠気が持続、または増強が見られた場合は服用を中止して医師や薬剤師にご相談ください
・6回程度服用しても症状がよくならない場合は、医師や薬剤師にご相談ください
その他ご不明な点は医師や薬剤師にご相談ください。
薬に頼らないで咳を止める方法
咳はくしゃみと同様にホコリやウイルスを身体の外へ排出する「防御反応」なので、止めることはできません。自分の意思とは関係なく出てくるものなので、長時間続くと体力が消耗します。寝ているときに出てくることもあり、睡眠の邪魔をするやっかいな症状です。
咳が頻繁に出るようなら迷わずメジコンですが、問題は「痰」です。痰は健康な人は出ないので、痰が出るということはやはりウイルスに感染した可能性が考えられます。
問題は「痰の濃度と頻度」です
咳の出る原因が、ネバネバした痰が線毛にからまっていることが原因ならば去痰薬を使う必要がありますが、サラサラした痰であればメジコンともう一つの方法で様子を見ます。
水うがいで、のどの粘膜を潤します
のどの粘膜は線毛で覆われて、線毛運動によって粘液がからめ取った異物を痰として排出します。この線毛運動は冷えと乾燥で弱体化します。だから痰が排出されにくく、咳によって強制的に排出されます。
ならば、のどを潤して線毛運動を正常に戻せば咳が少なくなるのでは?
理屈はそうですが、そうならないこともあります。
市販薬は対症療法で症状の緩和が目的です。まずはうがいとメジコンを試してみて、それでも咳が続くようなら別の病気の可能性があるかもしれません。病院で専門家に聞いてみましょう。