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解熱鎮痛剤の四皇:イブシリーズの解説(2)

ドラッグストアの視察で気づいたこと

ドラッグストア(以下DS)大手Mに視察を兼ねて昨日行ってきました。


その店には月に数回の頻度で訪れていて、買うものはいつも決まっています。
店に入って出るまでにレジが空いていれば1分もかかりません(しかしなぜか毎回待たされる)。
昨日は前回の記事で「イブシリーズ」を取り上げたこともあり、実物を見てみようと買い物を後回しにしてまず、解熱鎮痛剤のコーナーを探しました。

これがなかなか見つからない

歯ブラシや髭剃り、化粧品などの日用品はすぐに見つかるのに医薬品のコーナーが見つからない。
そもそもDS自体の面積が広い。郊外に足を伸ばせばスーパーと同等以上の面積を持つDSまであります。

店内をあらためて見回してみれば、医薬品以外の細々とした商品が所狭しと陳列されています。
医薬品といっても解熱鎮痛剤だけではありません。かぜ薬を始め症状に合わせた薬が多数あります。
この無数の商品の中に医薬品は埋もれている。私はしばらく店内を徘徊して探しました。

今回の目的である解熱鎮痛剤は、探していた通路側でなくなんと壁際に展示されていました。
どうりで見つからないわけです。
そして解熱鎮痛剤の前までいくとこれまた大変。
上の棚の「不眠の方へ」から始まってロキソニン、バファリン、その他諸々。イブの順番が来たころには私の腰より下のところまで目線が下がっていました。
このとき私は自分の書いた記事を思い出しました。

この作業を熱や痛みで思考低下しているときに行うのか

いつも買っている日用品以外でも、どこに何があるのか「店内配置図」が頭に入っている人でも油断はできません。

熱や痛みには「だるさ」も伴うため、まず店に行くまでが最大にして最強の障壁となります

昨日のDS視察で私が学んだことは、できるときに準備しておくこと。
医薬品の知識もそうですし、DSの店内配置図にしてもそう。
チャンスだけではない。不幸だって突然やってくるのですから。

イブシリーズ最後の2種類

イブシリーズは5種類、その内3種類を前回の記事で解説しました。まずは前回のおさらいです。

・イブは鎮痛成分イブプロフェンの単体
・イブA錠、イブA錠EXはイブプロフェンに加えて鎮痛補助成分が2つ、アリルイソプロピルアセチル尿素(以下アセチル尿素)と無水カフェイン

ではイブシリーズ最後の解説です。

●イブクイック頭痛薬 20錠1200円(参考価格)
以下成分2錠中
・イブプロフェン150mg
作用は痛みのもとを抑えます
・アリルイソプロピルアセチル尿素60mg
(以下アセチル尿素)
作用は鎮痛作用を高める鎮静成分です
・無水カフェイン80mg
作用は血管の拡張を抑えて鎮痛効果を助けます
・酸化マグネシウム100mg
作用は鎮痛成分の吸収を速めて、胃粘膜も保護します

・用法用量、その他
・1回2錠、1日3回を限度とする
空腹時はさけて、服用間隔は4時間以上おいてください
5、6回服用しても症状がよくならないときは服用を中止して、医師や薬剤師にご相談ください。
長期連用しないでください。


●イブクイック頭痛薬DX 20錠1080円(参考価格)
以下成分2錠中
・イブプロフェン200mg
・アセチル尿素60mg
・無水カフェイン80mg
・酸化マグネシウム100mg
各作用は同上。

・用法用量、その他
・1回2錠、1日2回を限度とする
空腹時はさけて、服用間隔は6時間以上おいてください
3、4回服用しても症状がよくならないときは服用を中止して、医師や薬剤師にご相談ください。
長期連用しないでください。

そして大事なイブシリーズを使ってはいけない人たちです。

・イブシリーズでアレルギー、ぜん息を起こしたことがある人
・15歳未満の小児
・出産予定日12週以内の妊婦
その他注意事項は各自でご確認ください。

イブシリーズの歴史

イブシリーズの理解を深めるためにその歴史を見ていきます。
・85年イブ発売
鎮痛成分イブプロフェンを日本で初めて市販薬に配合
・90年イブA錠発売
鎮痛効果を高める成分を配合
・06年イブクイック頭痛薬発売
鎮痛成分、鎮痛補助成分に加えて鎮痛成分の溶出を速めた独自処方を開発
・14年イブA錠EX発売
イブA錠の鎮痛成分量150mgから200mgへ増量
・16年イブクイック頭痛薬DX発売
イブクイック頭痛薬の鎮痛成分量150mgから200mgへ増量
・20年イブクイック頭痛薬DXリニューアル
前回のイブクイック頭痛薬DXを改良してさらに早くイブプロフェンが溶ける

イブプロフェン、イブシリーズに対する私の理解

・鎮痛成分イブプロフェンは医療用医薬品として現在も使われている、鎮痛効果の高い成分である(効果の高い分、副作用も強くなることには注意が必要)

・イブクイック頭痛薬と商品名に「頭痛薬」とあるが、何も頭痛に特化したわけではないのは成分表に示したとおり。
イブもイブA錠も、イブクイック頭痛薬もどれもイブプロフェン150mgが配合されている。
つまり頭痛だけでなく、従来どうり生理痛にも歯痛や腰痛、肩こり痛にも効く

・イブクイック頭痛薬、イブクイック頭痛薬DXの「クイック」について独自製法で速く効くと謳っているが、薬なので当然個人差がある。
参考までにイブクイック頭痛薬DX(16年発売)とリニューアル(20年発売)を比較してどれだけ早く溶けたか実験した、わかりやすい写真を貼っておく

従来品とリニューアル後の比較


・イブプロフェンはそもそも効果が現れるまで2時間前後かかるとの報告があり、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンの30分前後と比較して決して速いとはいえない。
それが改良したことでどれだけ速く効くようになったのかは興味深い

・イブクイック頭痛薬シリーズは酸化マグネシウムを新たに加えたことで鎮痛効果が速く現れることも大事だが、酸化マグネシウムとは元々胃腸薬にも使われる胃を守る成分である。個人的には後者に注目したい

イブシリーズは結局どれがおすすめなのか

イブシリーズのお勧めはブランド最高峰であり、最近リニューアルされて即効性がさらに高まり、胃にもやさしい「イブクイック頭痛薬DX」(以下DX)なのかといえば一概にそうとも言い切れません。
理由は2つ、価格と眠気です。

・価格について
イブ、イブA錠が500円前後に対して、DXは1000円を超えます。
・眠気について
DXには鎮痛効果を高めると言われている「アセチル尿素」も配合されています。
アセチル尿素は前回も解説したように、眠気を誘発して頭をぼうっとさせる鎮静成分です。
だから仕事中や車の運転をこの後予定している場合は控えるように注意書きにはあります。

そうなると、状況に応じて使い分ける必要があります。
イブシリーズで鎮静成分が入っていないのは唯一「イブ」だけです。
一方で痛みが強く、家に帰って早く寝たいと言う人にはイブプロフェン200mg、速く効いて胃にもやさしい「DX」がいいでしょう。
後は価格と相談になりますね。

解熱鎮痛剤になぜ「鎮静成分」が配合されているのか

イブシリーズだけではありません。ロキソニンもバファリンもそしてかぜ薬等様々な医薬品に鎮静成分は使われています。
鎮静成分は鎮痛効果を高めるとメーカーは謳っていますが、私の理解ではそれよりも「眠ること」が大事なのだと思っています。

眠れば熱も痛みも睡眠中に体が勝手に治してくれます。
朝起きて、まだ症状が続くようならそちらの方が大変です。原因は深刻なのかもしれません。一般医薬品の目的は症状の緩和であり、また病院を受診するかどうかの見極めにもなりますから。

と、私は理解しています。
イブクイック頭痛薬の詳細はこちら
イブクイック頭痛薬DXの詳細はこちら

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