龍角散と浅田飴の有名ブランド対決:のどの痛みに効く漢方薬の解説
医薬品でやってはいけないこと
のどが痛くて、つばも飲み込めなくなったら大変です。
水は我慢して飲めてもご飯は食べるたびに激痛が走り、やがて食べることをあきらめてしまうでしょう。
このままではまずいと、体力のかぎりを尽くしてドラッグストアへいってのどの痛みに効きそうな薬を買いますが、一体どれがいいのか。のどの薬はさまざまなタイプに分かれます。
・錠剤
・うがい薬
・のどスプレー
・トローチやのど飴
・漢方薬、など
夜に薬を飲んで、会社への通勤でトローチを使おうと思ってのどの薬を2つ買いましたが、これは正しいのでしょうか。
薬は同一のものを、用法用量を守って使うのが原則です
ここでのど薬に使われる有効成分の、一日摂取量(目安)を見てみます。
・アズレン:6mg
・キキョウ:2.0g
・カンゾウ:3.0g
・グリチルリチン酸:200mg
生薬の抽出方法は各社で異なり、他社との含有量を計算するのは素人には困難です。また、カンゾウとグリチルリチン酸は同じ成分ですが、抽出量の違いで摂取量の上限がまったく異なります。
特にカンゾウは長期連用、過剰摂取を続けると次のような副作用が現れることがあります。
・むくみや血圧上昇
・脱力感やけいれん、など
のどの痛みを改善するために薬を飲んで、別の病気が発症したら大変です。内服薬とトローチなどののど薬を別々に買うのはかまいませんが、同日に2つの薬を併用するのはやめましょう。
カンゾウとグリチルリチン酸など有効成分が重複すると副作用が現れやすくなるし、どちらの薬が効いたかわからなくなります。
どうしても早く治したいのなら、病院を受診して「処方薬」を出してもらうのが一番の近道です。処方薬は有効成分と含有量が違います。病院へいかないことを選択したのなら、市販薬の用法用量は守りましょう。
龍角散と浅田飴の違い
龍角散も浅田飴も発売は明治時代と歴史は古く、CMでも流れているので名前くらいは聞いたことがある人は多いと思います。
では両者は何が違うのか。それぞれの成分と効能効果、味などを比較してみます。
1.成分
龍角散(第3類医薬品)
・キキョウ末70mg:去痰,排膿作用
・キョウニン末:5mg:鎮咳作用
・セネガ末:3mg:去痰作用
・カンゾウ末50mg:抗炎症作用
固形浅田飴(第2類医薬品)
・キキョウ根エキス94.5mg:去痰,排膿作用
・トコンエキス40.5mg:去痰作用
・マオウエキス40.5mg:気管支拡張作用
・ニンジンエキス:去痰作用
成分はどちらも4つの生薬を配合していますが、生薬の「抽出方法」が異なります。龍角散は粉末タイプ、浅田飴はドロップに生薬エキスを配合しています。
どちらも共通してキキョウが配合されていて、浅田飴の説明では3つの去痰作用を示す生薬を配合していますが、気になるなるのは「マオウ」です。
のどの炎症にのどを潤す去痰作用は必要でも、気管支拡張作用は必要ですか
マオウは医薬品の「エフェドリン」の成分で咳止めによく使われますが、交感神経を優位にするので高血圧や糖尿病の人は注意が必要です。
一方で龍角散には咳止めとして「キョウニン」が使われています。キョウニンは呼吸中枢、咳中枢を鎮静させて咳を鎮める成分です。
2.効能効果
龍角散も浅田飴も効能効果は同じです。
「せき、たん、のどの炎症による声がれ・のどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれ」
3.味
生薬の味はお世辞にもおいしいとはいえません。浅田飴は3種類のドロップ剤に味を加えて生薬を服用しやすくしていますが、龍角散は添加物はありますが味はほぼ生薬です。
付属のサジで粉末をすくって舌の上に置き、唾液でゆっくりのどの粘膜に流し込む独特の飲み方です。水と一緒に服用はNGで、服用後30分程度は飲食NGなので、おいしくない味がいつまでも口の中に残る不快感があります。
良薬は口に苦し
龍角散はこのことわざそのままの薬です。味はおいしくないですがその代わりよく効き、速く効きます。
理由は4つの生薬の粉末が水で薄まらずに、のどの粘膜に直接作用することでよく効き、肝臓を経由しないので速く効果が現れます。
4.個人的見解
浅田飴はエフェドリンの成分であるマオウが使われていることで、のどの痛みより「咳止め」の効果が強いように思います。一方で龍角散は声枯れやのどの痛みによく効くと評判ですがおいしくない、慣れるまでが大変です。
しかし、予め「おいしくない」と知ることで脳は「どのくらいおいしくないか」で味を測ります。おいしくなくてもいいのです。それより速く効くことのほうが重要です。
龍角散ダイレクトの成分その他詳細情報
龍角散ダイレクト 770円(参考価格)
成分
15歳以上1日服用量6包中、
・キキョウ末84mg:去痰,排膿作用
・キョウニン末15mg:鎮咳作用
・セネガ末4.2mg:去痰作用
・カンゾウ末102mg:抗炎症作用
・ニンジン末84mg:抗炎症作用
・アセンヤク末8.4mg:整腸作用
用法用量
次の量を1日6回、水なしで服用してください。服用間隔は2時間以上おいてください。
・15歳以上1回1包
・11歳以上15歳未満1回2/3包
・7歳以上11歳未満1回1/2包
・3歳以上7歳未満1回1/3包
効能効果
たん、せき、のどの炎症による声がれ、のどのあれ、のどの不快感
相談すること
次の人は医師や薬剤師にご相談ください。
・服用前に高熱のある人
・6日程度服用しても症状がよくならない人
浅田飴糖衣の成分その他詳細情報
浅田飴糖衣
成分
15歳以上1日服用量12錠中、
・CPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)6mg:殺菌作用
・グリチルリチン酸ニカリウム15mg:抗炎症作用
・キキョウ流エキス1200mg:抗炎症作用
用法用量
・1日6回程度、1錠ずつ口中に含み、かまずにゆっくり溶かして服用してください。
・1度に2錠を口中に含まず、1錠ずつ舐めてください。
・2時間以上の服用間隔をおいてください。
・5歳以上の小児から15歳以上の大人まで1回量2錠
効能効果
のどの炎症による声がれ、のどの痛み、のどの不快感、のどのはれ、のどのあれ、口腔内の殺菌消毒、口臭の除去
相談すること
6日程度服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止して医師や薬剤師にご相談ください。
その他、ご不明な点は医師や薬剤師にご相談ください。
龍角散と龍角散ダイレクトの違い
龍角散と龍角散ダイレクト(以下ダイレクト)は添付文書を気を付けて読むと成分と、効能効果が少し違います。
1.成分
・キキョウ末:龍角散70mg、ダイレクト84mg
・キョウニン末:龍角散5mg、ダイレクト15mg
・セネガ末:龍角散3mg、ダイレクト4.2mg
・カンゾウ末:龍角散50mg、ダイレクト102mg
・ニンジン末:龍角散なし、ダイレクト84mg
・アセンヤク末龍角散なし、ダイレクト8.4mg
ダイレクトのほうが含有量が多く、新しい生薬が配合されています
ダイレクトは従来の粉末タイプから顆粒タイプになり、水に溶けやすくなったのでその影響かと思いましたが、トローチは龍角散と同じ成分と含有量です。
2.効能効果
それぞれの効能効果です。よく見ると少し違います。
龍角散:せき、たん、のどの炎症による声がれ・のどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれ
ダイレクト:たん、せき、のどの炎症による声がれ・のどのあれ・のどの不快感
ダイレクトには「のどの痛み」と「のどのはれ」の効能効果がありません
ダイレクトのHPにある特徴を確認しても声がれと、のどの不快感の記載しかありません。
同じ成分で含有量も多いのに、本当にのどの痛みや腫れに効果はないのか
薬の効果は個人差があるので詳細はわかりませんが、ダイレクトは売れています。従来のおいしくなかった味に「ミント」と「ピーチ」の味が加わったことで、これまで敬遠していた人のハードルが下がったのでしょう。
さらにダイレクトはのどスプレーのように、いつでもどこでも場所を問わずに服用できます。スティック状なので持ち運びにも便利な手軽さもあります。
成分と効能効果が違う理由はわかりませんが、医薬品である以上は一定の効果が保障されています。のどの痛みに効く製品はいろいろなタイプがありますので、実際にいろいろ試してみてあなたに合ったものを見つけてみてください。