最強のうがい薬が見つかったかもしれない:桔梗湯の解説
固定観念とアップデート
今日の記事の主役は生薬の「桔梗」(キキョウ)を使った漢方薬ですが、私は「ある間違い」をしていました。
桔梗は試験勉強で「鎮咳」作用、つまり咳止めとして覚えていましたが、実際の現場では「去痰排膿」作用、つまりのどを潤して異物を排出する作用として配合された市販薬が多いことを知りました。
試験に出題される生薬は正確な数はわかりませんが50以上はあったかと思います。生薬の多くは木や草の根です。普通に勉強しても覚えられません。そこですでに合格した先人たちは症状ごとのまとめリストを作り、語呂合わせを用意してくれていました。
このときに覚えた去痰作用の語呂合わせは今でも忘れていませんが、そこに桔梗は入っていませんでした。ところが実際には桔梗湯を始め龍角散や浅田飴など、のどの痛みを緩和する市販薬として多くの製品に配合されています。
固定観念って恐ろしい
固定観念とは、最初に覚えたことが正しいと思い続ける「固まった考え」です。
後になって「それ違う」と言われても脳はすぐには反応できず、修正するまでに時間がかかります。私は現在も修正作業中ですが、多くの桔梗製品に触れるにつれてようやく「桔梗はのど」と定着しつつあります。
桔梗と固定観念の話で思い出したのは、人との出会いにおいて「第一印象が大事」とよく言われますが、ここにも固定観念が働いているのではないか、ということです。
人は第一印象で好き嫌いを判断することが多いですが、それは本当に正しいのでしょうか。
優しいと思っていたら実は違っていたとか、最初はすぐに返信してくれたのに最近は既読スルーが多いとか、第一印象はそのときの印象で明日も正しいとはかぎりません。そして第一印象は、固定観念が邪魔をして修正が難しくもあります。
固定観念は定期的にアップデートをする必要があります
桔梗湯の成分その他詳細情報
桔梗湯エキス顆粒20包 2640円(参考価格)
成分
15歳1日服用量2包(3.75g)中、下記の割合で混合生薬の乾燥エキス0.625gを含有します。
・日局甘草1.5g:抗炎症作用
・日局桔梗1.0g:去痰,排膿作用
用法用量
1日2回、少しずつ口中に含み、水またはお湯で徐々に溶かして服用してください。
・15歳以上1回1包
・7歳以上15歳未満1回2/3包
・4歳以上7歳未満1回1/2包
・2歳以上4歳未満1回1/3包
効能効果
体力に関わらず使用でき、のどが腫れて痛み、ときに咳が出るものの次の症状:扁桃炎、扁桃周囲炎
相談すること
・むくみの症状がある人や高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人は服用前に医師や薬剤師にご相談ください。
・まれに次の重篤な症状が起きることがあるので、その場合は医師の診断を受けてください。症状名:偽アルドステロン症、ミオパチー
・6回程度服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師や薬剤師にご相談ください。
漢方トローチ桔梗湯の成分その他詳細情報
漢方トローチ桔梗湯18個×2
成分
15歳以上1日服用量6個中、下記の割合で混合生薬乾燥エキス625mgを含有します。
・日局甘草1.5g:抗炎症作用
・日局桔梗1.0g:去痰、排膿作用
用法用量
1日3回を食前または食間に1個ずつ含み、かまずにゆっくり溶かして服用してください。
・15歳以上1回2個
・5歳以上15歳未満1回1個
その他注意事項は上記桔梗湯をご覧ください。
駆風解毒湯の成分その他詳細情報
JPS漢方顆粒-60号 1650円(参考価格)
成分
15歳以上1日服用量3包中、
・日局桔梗2.4g:去痰、排膿作用
・日局甘草1.2g:抗炎症作用
・日局セッコウ4.0g:止渇・解熱作用
・日局ゴボウシ2.4g:解熱、去痰作用
・日局レンギョウ4.0g:消炎、排膿作用
<発汗、解熱作用>
・日局防風2.4g:発汗、解熱、鎮痛作用
・日局ケイガイ1.2g:発汗、解熱作用
・日局キョウカツ1.2g:発汗、鎮痛作用
用法用量
1日3回を食前または食間に、少量の水またはお湯に溶かして、うがいをしながら少しずつゆっくり服用してください。
・15歳以上1回1包
・7歳以上15歳未満1回2/3包
・4歳以上7歳未満1回1/2包
・2歳以上4歳未満1回1/3包
効能効果
体力にかかわらず使用でき、のどが腫れて痛むものの次の症状:扁桃炎、扁桃周囲炎
相談すること
・むくみの症状がある人や高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人は服用前に医師や薬剤師にご相談ください。
・まれに次の重篤な症状が起きることがあるので、その場合は医師の診断を受けてください。症状名:偽アルドステロン症、ミオパチー
・6回程度服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師や薬剤師にご相談ください。
桔梗湯と駆風解毒湯の違い
桔梗湯と駆風解毒湯はどちらも桔梗と甘草を配合した、のどの痛みに効果がある漢方薬です。
桔梗湯はのどの痛み、不快感の「初期症状」に、駆風解毒湯はのどの痛みに加えて多くの解熱作用の生薬が配合されているので「熱感」が出てきたときに使用します。
漢方薬は生薬の数が多ければ多いほど様々な症状を緩和できますが、体内での作用は複雑になり時間がかかります。桔梗湯は桔梗と甘草の2種類の生薬のために、体内での作用は速く即効性があり、臨床試験では10分程度からのどの痛みが緩和されたとの報告があります。
桔梗湯が最強のうがい薬の理由
桔梗湯が最強のうがい薬だと個人的に思うのは次の理由からです。
・のどの粘膜を潤して、のどの炎症を緩和する
・うがいをして10分程度で効果が現れる
イソジンは風邪のウイルスを殺菌できますが、身体を守る常在菌まで殺菌します。アズレンは抗炎症作用で多くの製品に使われていますが、のどを潤す作用はどうだろう。CPCは殺菌作用で多くの製品に使われていますが、細菌を殺菌することで炎症を鎮めるので時間がかかります。また、トローチは舐め終わるまで10分程度かかり、その後30分程度の飲食は禁じられています。
以上の理由から私の個人的見解は「桔梗湯は最強のうがい薬」だと思いますが、使用感は人それぞれなので参考程度に留めてください。
桔梗湯は最強だといっていますが、問題がないわけではありません。問題は2つあります。
1.桔梗湯は15秒程度のうがいをしたあと飲み込む
うがいは一般的に上を向いて、しばらくガラガラした後に吐き出しますが、桔梗湯は違います。
ガラガラした水を飲み込みます
うがいをした水を飲み込むのに抵抗がある人は、桔梗湯を服用する前に通常のうがいをしておきましょう。
桔梗湯は「医薬品」なので、うがいをしてのどの粘膜に塗布した後に飲み込むことで、有効成分が身体に働きかけます。そこがイソジンとの違いです。イソジンは飲み込んではいけません。
簡単ですが、桔梗湯の飲み方をあげておきます。ちなみにコップ一杯は200ml程度でその半分が100ml、桔梗湯は50mlの水が必要ですが目分量で、大体で大丈夫です。
1-1.桔梗湯の粉末を少量のお湯(お湯は30ml程度)で溶かします。
1-2.お湯で溶かした桔梗湯に水を入れて(水を20ml程度、大体で大丈夫です)冷まします。
1-3.気になる人は一度うがいをして吐き出します
1-4.桔梗湯を口に含んで15秒程度ガラガラうがいをして飲み込みます。
1-5.うがいしてからどのくらい時間を置いて飲食をするかは添付文書に記載されていませんが、のどの粘膜に有効成分を塗布しているのでイソジンやのどスプレーでは10分程度の飲食を控えるように推奨しています。
2.桔梗湯は甘草を含んでいるので、甘草を含有する医薬品との重複は厳禁です
医薬品は有効成分の1日含有量が決まっています。桔梗湯を1日2包服用して駆風解毒湯や龍角散を服用したり、漢方薬以外でも甘草に含まれる「グリチルリチン酸」を含有する医薬品は多く販売されています。
甘草の過剰摂取は「偽アルドステロン症」を発症して次の症状が現れる場合があります。
・むくみ
・頭痛や頭重
・倦怠感や脱力感、など
のどが痛くて焦る気持ちはわかりますが、焦ったところで病気は治るどころか悪化する場合があります。
市販薬で6日程度様子を見て、それでも症状が続くようなら迷わず病院を受診しましょう。
病院を受診することは遠回りのようにみえて実は一番の近道だったりします。