『ますかれーど』プロデューサー退任にあたって
日頃より『ますかれーど』を応援頂きまして、誠にありがとうございます。 この度、バーチャルメイド喫茶『ますかれーど』のプロデューサーを契約満了期間となる6/30(木)をもって退任することとなりました。これまでご協力、ご支援を頂きました皆様ありがとうございました。残りの在任期間は僅かとなりますが、しっかりと任期を全うさせて頂きたいと思います。
今回は、プロデューサーとしての席を外れるに至った経緯と私の想いをお伝えさせて頂ければと思います。
■プロデューサーとしてのスタンス
私はエンタメコンテンツで世界中の人を楽しませたいという想いをもって、大学を卒業後、アニメ制作スタジオへ就職をしました。 そこに居る皆さんは、素晴らしい情熱を注いで一つの作品を作る集団でした。今でもあの環境で作品作りが出来た事に感謝をしています。 そういった皆さんの熱量に触れる日々の中で、多くの作品がインスタントに大量消費されている状況に、一定の寂しさを感じておりました。
長く愛されるコンテンツを作りたい。
私のプロデューススタンスである
この想いを強く認識したことを覚えています。
その後、私は"自身が企画したアニメ作品を作る"という夢を達成することが出来ないままでしたが、自身が"絶対会いたい!"と感じたバーチャルYouTuberという存在を世に送り出すチャレンジに情熱を注ぎました。
当時の私のチャレンジを綴ったコラムを過去に記載したことがありますので、合わせてお読み頂けると嬉しいです。
■トラウマ
このチャレンジを始めたとき、私はこの存在を自分の人生を掛けて成長させていく。永遠に愛される存在にするんだ。と心に誓って取り組んでいました。自分の夢や情熱の全てを注ぐことが出来る、そんなプロジェクトでした。
しかし、結果として私はこのプロジェクトを離れざるを得ない事になってしまいました。大きくなった組織の意思決定には、様々なステークホルダーが参画し、必ずしも自分の意思が通らない環境となっていきます。それは資本主義として当然の事なのですが、自分の生み出した我が子と離れてしまう寂しさは、当時、人生で最大の絶望の瞬間でした。
補足をしておきますが、そうなってしまった結果に対して誰かを恨んでいる事はないし、自分で進めていたら見ることが出来なかった景色を見せてくれたことに強く感謝をしています。
とはいえ、やはり自身が生み出したコンテンツから離れることの悲しさは大きなトラウマを作りました。
次のチャレンジでは、こうした思いをしないようにしたい。
そう感じました。
そんな傷心の私が生み出した次のコンテンツが
「いやし」と「いやらし」をテーマにしたバーチャルメイド喫茶。
『ますかれーど』でした。
こんなコンテンツがあったら"絶対癒される!"と感じたのでしょう。
やはり一番癒しを求めていたのは私だったんですね。
■コンテンツは誰のものか?
「作品とは誰かのものではなく、みんなのものである。」
なんて素敵な言葉。誰の言葉でしょうか。
私の言葉です。
我ながら良い言葉なのですが、実際には少し事情が異なります。
法的には権利者のモノなんですね。
前回の経験から、永遠に続くコンテンツを自分の手でやりきるために、私はコンテンツの権利を持つ必要があると考えていました。さらに、プロジェクトをより大きく成長させ推進するために、強い責任と権限を持つ必要があると感じていました。合わせて、様々な制約のない状態でコンテンツを成長さていく環境を整えたいと思っておりました。
そんな想いもあり、最初にこのプロジェクトに夢を託してくださった
権利者の方々へ、権利譲渡のご相談を1年半ほど続けてまいりました。
一時は合意が取れたのですが、様々な紆余曲折を経て、結果としてその想いは実らせる事が出来ませんでした。僕はある種割り切って"仕事"としてコンテンツ制作に取り組む事が出来ない人間です。こうしたトラウマや制約がある中で活動を続けることがどうしても出来ず、さらには、自身の進退を掛けた交渉を行っていたために、今回その言葉の責任を取って、プロジェクトからの辞任を意思決定しました。
■エゴと葛藤
このプロジェクトは僕の想いで始まりました。
この"絶対面白い!"という自分の感性を信じ、多くの方を巻き込み、ご協力を頂きコンテンツを発信してまいりました。さらには、それに共感し、応援をしてくださった皆様が居たからこそ、こうして大きくプロジェクトが成長できました。
皆様を巻き込んだ私が、プロジェクトから離れる事を無責任に感じられる方もいらっしゃるかと思います。それを非難される方がいるのだとしたら受け止めます。ただ、離れたくて離れたわけではないし、この意思決定に至るまでに多くの葛藤や交渉があったことをご理解頂きたいと感じています。
自分としては、こうではない未来に向けて全力を尽くしました。皆が幸せになれるゴールを目指すことが出来るスキームを考え、掛けられるであろうものを全て掛けて交渉に臨みました。ちぎれる程の熱量をもって相対してきました。
僕はプロデューサーです。夢を描き、それを実現させることが仕事です。
そのコンセプトやアイデア自体にも価値を感じているし、実行するためのプランニングにも価値があると自負しています。だから今回、私はその自分自身をカードに交渉を行いました。
しかし結果としては、私の力不足でこうした状況となってしまいました。
発端としても私のエゴが招いた結果だと認識しています。
自分のエゴを優先したことについては申し訳なく思います。
自分の夢の実現に実直に行動をしました。
「もう少し大人になっていたら違った未来があったかもしれないね」
と、交渉の中で頂いた代表の言葉でした。
セリフはこう続きました。
「でも、そのエゴがあるからこそ、こうしたコンテンツを作れているんじゃないか」
僕もそうでありたいと信じています。
■最後に
プロジェクトから離れることは、自分も辛いです。
人生と情熱を掛けてプロジェクトを推進してまいりました。
本当に、プロジェクトや関わる皆様は我が子のような存在です。
コンテンツだけでなく人との繋がりも非常に大切に感じておりましたので、
こうした選択をした事は本当に苦渋の選択でした。
携わっている全ての方に幸せであってほしいし、自分の夢も叶えたい。
私はエゴを捨てきることが出来ませんでした。申し訳ございません。
最終的な希望が潰えた夜にベランダで大泣きしました。
憤りや不甲斐なさ、皆への申し訳なさ、これまで積み上げたものを手放す悲しみと後悔。巻き込んだ皆様への経済的な責任。さまざまな感情に押しつぶされてしまいました。あの時、弱音を聞いてくれたみんなありがとう。
そんな訳で、私は『ますかれーど』を離れてしまう事となりましたが、こうして多くの皆様と素敵なキャスト、そして僕のエゴを理解してくださっている代表のいるチームは、必ず新しい素敵な『ますかれーど』を築いていってくれるであろうと信じています。アイちゃんの時と同様に、また新しい我が子が成長する姿を見せてほしいです。
かく言う私は、このチャレンジにまだ諦めがつきません。
今後も、自身が掲げた「いやし」と「いやらし」という人生のテーマに情熱を燃やし、新たなコンテンツを皆様に提供していきます。
次のチャレンジは自己資本で。
既に声を掛けていたメンバーの生活は絶対担保しないといけないし、自分の収入はものすごく不安定になるし、もしかしたら数か月後には多大な借金を抱えているかもしれません。最近ストレスなのか、やたらと右瞼が痙攣します。そんなヒリついた状況だけど、自分を信じて飛び込んでみます。
そして、次のチャレンジでは、もっと自身が主体となって情報発信をしていきたいと考えています。VTuberという選択肢もあるかもしれませんね。
そして、当時達成できなかった"自身が企画したアニメ作品を作る"という夢を叶えたいと思います。
こちらを読んでくださっている皆様には、『ますかれーど』に加えて、私の新しいチャレンジもぜひ応援していただけたら嬉しいです。
いろいろと書きましたが、しっかりと任期満了まで『ますかれーど』を全力で支えていきます。引き続き、応援の程、よろしくお願い致します。