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小倉名画座の挑戦

2024年5月のこと。
ショート映画配信サービスの「SAMANSA」主催のイベントが開催された。

「SAMANSA シネマ女子会 〜特別なドリンクとショート映画で巡る、1時間のご褒美シネマ〜」
SAMANSA選りすぐりの短編映画3作品を鑑賞しながら、当イベントのために用意されたオリジナルスイーツとドリンクを楽しめる。

普段は圧倒的に男性客の多い名画座だが、当イベントは女性限定、期間は5月いっぱいの一か月間。
女性限定かつ一か月間もの長期開催に、実にチャレンジングなイベントだなと思ったが、名画座を知ってもらう良い機会になるのではとも思った。

こんなに面白いことを見届けないわけにはいかない。
当然ながら僕も手伝いとして参加することにした。
デジタルサイネージ用の映像作成、ポスターの用意、スイーツとドリンクを置くためのテーブル作成、上映オペレーションなどなど、着実に準備は進んでいく。
館長丸谷さん、犬童さんとあれやこれや進めていく過程を楽しみながら、イベントの開始日が来るのをわくわくしていたと思う。

デジタルサイネージでの告知

そんなこんなで5月1日を迎えた。
夕方までは通常営業、その後急いで劇場内の清掃、準備を進めないといけない。
特に清潔感が課題となるため、清掃は徹底的に行った。

19時に上映開始。
滞りなく、映画を流し始める。
19時からの1回目、20時からの2回目、21時からの3回目。
問題なく初日のプログラムを終える。

初日の来場客は0だった。

2日目以降も手伝える日は顔を出すようにした。
丸谷さん、犬童さんと、いつ来るかわからない最初のお客さんを待つ。
3編の映画を何度も観るため、展開はもちろん、台詞も覚えてしまった。
丸谷さんのモノマネが、閑散とした劇場への最高のスパイスとなっていた。

劇場内掲示板

5月4日。
ついに一人目のお客さんがきた。
19時回の上映開始から5分程度たっていた。

お客さんがこないことに慣れてしまっていたこともあって、3人に緊張が走る。
丸谷さんが、スイーツ、ドリンクを用意する。
すでに映画は始まっていたが5分程、せっかくなので最初に戻していいか確認し、再度上映を開始した。

スイーツとドリンクを用意する丸谷さん

無事3編の映画が終わった。
上映終了後、記念すべき最初のお客さんということもあり、流石の丸谷さんのコミュニケーションスキルが発揮される。
イベントの感想、名画座は入りづらいかなど聞いていく。

まさかの東京から、地元が北九州、帰省ついでの鑑賞。
アングラな場所に興味のあるお客さんだった。
名画座自体も入りづらいとかはなかったとのこと。

記念にヤング薔薇族ショウの看板と一緒に写真を撮ることにした。
今更ながら告知に写真を使っていいか聞くべきだったなと後悔している。

モナカとコーヒー

そして、あっという間に一カ月が過ぎた。
以降もぽつぽつとお客さんは来たが、当初予定していた客数とは大きく離れる結果となった。

予想できない結果ではないが、やはり厳しい結果となった。
映画という娯楽を映画館で楽しむという行為自体が、下火となっているという実感はあった。
僕はまだ映画館で映画を観る習慣がそれなりにある方だが、劇場内に一人ということも珍しくはない。

ただ、名画座という、ある意味でヴェールに包まれた場所で映画を鑑賞する、非日常を味わえる空間、そこに期待はあった。

打ち合わせに、お笑いライブと、当たり前のように名画座に居座っている僕は、名画座という場所の敷居の高さに関して、感覚がマヒしていたのだろう。

それでも、勝手ながら名画座にとっては良い挑戦だったと思う。
次回があれば少しでも多くのお客さんに来てもらいたい。
そのためにも、結果を記録として残しておく。

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