見出し画像

2021年4月KCレポートとサンダードラゴン論

※サムネは2021年4月KCカップの風刺画です(違う)
書いているうちに新リミットが来て旬を逃しました

KCカップお疲れ様でした(遅い).結果はどうだったでしょうか?
自分の結果は

画像1

画像2

2020年11月のKCカップでバランスウィッチクラフト使って初めて銀アイコンを取って以来の2個目の銀アイコンが取れました.

後でKCレポートはありますが,日曜日の夜まで1~3万帯をひたすら往復していたのと,引きだけで勝敗が決まる対戦が多すぎた環境が全く楽しくないと感じていたため,今回は勝ちたいというモチベーションが維持できず,適当にマッチングボタン押していたら気づいたら銀アイコンボーダーまでdpが盛れいて,気づいたら銀アイコンが取れてしまい,銀アイコンを取った実感が全くありません.初めての銀アイコンは何してでもほしいという思いで必死に取ったのにこんなに達成感が全くない銀アイコンになってしまうとは予想してなかったです.

感想はこれくらいにして使用デッキです.

画像3

途中で使用キャラクターは遊馬から遊星に変更,ランク4の枠を深淵に潜む者からデッドリーシンに変えて,ドラゴン目覚めの旋律を抜いて23枚にしただけで,最後はこの構築のサンダードラゴン(以下サンドラ)をずっと使っていました.

以下は,KCレポートとサンドラの構築やプレイングを含めたデッキ解説です.ただし,サンドラを使って金アイコンを取られた方や順位が上の方は複数人いるので自分がサンドラについて考えたあくまでも自論です.この記事の内容が100%正しいわけではありません.真の正解を知りたい方は金アイコンを取られたサンドラのほうを見てください.なぜこの構築が銀アイコンは取れて金アイコンは取れなかったのかも含めて自分なりの考察はできています.参考程度に期待せずに読んでいただいたら幸いです.

記事を書いているうちに新リミットが発表されました.この記事には来期からはあまり役に立たない情報も含んでいます.前半のKCレポートは日記なので興味なければ飛ばしてください.後半に来期のサンドラについても含め構築とプレイングについてはまとめています.サンドラを握りたい人の教科書になることを意識して書きました.非常に文量が多いので必要な項目を目次から飛びながら読んでください.

1.KCレポート

1.1 2021年2月KCカップ~事前準備(没デッキの供養)

2021年11月のKCカップで初めて銀アイコンを取った経験が自分の中でのKCへの意識を変えました.3年間リンクスをやってるのに銀アイコンが全く取れなかった自分でも銀アイコンが取れることが分かったことは自信につながりました.自信がついた一方で,銀アイコンで満足してしまっている自分に満足できなくなっていました.実は当時のKCカップ最終日の裏話として,当時のdpの増減の仕様の関係から対戦相手によって勝った時貰えるdpと負けた時に減るdpに大きく差がありました.最終日は金アイコン争いをしているうんのさんやkanikabutoさんをはじめとするトッププレイヤーとばかりマッチングしており格下の自分は勝てば1500dp,負けても500dp程度しか減らず3回に1回勝てば勝手にdpが伸びる状態になっていたためデュエル開始ボタンを押せば押すだけdpが増えていました.ただ銀アイコンを取ることに強い拘りが当時はあったため銀ボーダーを必死に維持するだけでデュエル開始ボタンが押せませんでした.初銀アイコンが取れて嬉しかった時期を過ぎてからは,その状態で上振れを狙ってデュエル開始ボタンを押していればもっと上に行けたのでは?自分の本当の目標は銀アイコンではないのでは?と嬉しさと後悔が入り混じった複雑な思いから,次はあのとき押せなかったデュエル開始ボタンを押したい,あのときのやり残しは次のKCカップで絶対にやり遂げたいという思いが募りました.当時の自分と同じように初銀アイコンを目標にKCカップに挑戦してる人はたくさんいると思います.経験者からのアドバイスですが,銀アイコンを取れば必ずしも結果に満足できるわけではないです.後悔することもあれば,さらに上を目指したくなるかもしれません.KCカップは怖いですね.銀アイコンへの拘りが本当に自分の最終目標と一致しているのか考えてみてもいいかもしれません.

そんな思いから2021年2月のKCカップこそはもっと上を目指すとはなりませんでした.群雄割拠した11月のKC環境からは一転して,2月のKCカップは直前まで初手安定スキルバランスの圧倒的安定性が強みの聖騎士1強環境になっており,先攻後攻のコイントスだけで勝敗が決まる人間がやる意味がないゲームになると思われていました.それが原因でモチベーションが下がっていたためしばらくリンクスからは離れるつもりでいました.ただ知り合いから,「走らなかったKCカップは後から語れない」と言われたのがきっかけで環境把握する程度には走ろうとモチベーション低いままとりあえず走ることにしました.しかし蓋を開けてみれば一転して,今までのリンクスからは信じられないセプスロを筆頭にしたパワーカードとパワーカードのぶつけ合い環境初手安定は弱い,上振れこそ答えみたいな大宇宙環境が始まり,全く勝てませんでした.昨日までは安定安定と言って働いていたはずなのにこれからは動画で飯食うと急にユーチューバーになった人を見ているようでした.最後はクレーンクレーンが500位以上のイベント報酬で先行配布されていたため最後ギリギリ500位に滑り込んで報酬だけ回収して完全敗北しました.500位にすら入るのが苦しかった初めての経験をしたKCカップでした.
当時使っていたデッキは,バランスWCをちょっと使って全く勝てず,聖騎士や鮫をいじめるためだけの害悪デッキなどいろいろ使ってました.最終日500位以内に滑り込むためだけに使ったデッキがサンドラでした.時間がなかったので短時間で対戦数を稼げて流行していた鮫デッキに強かったので握りました.そのとき使っていた構築を貼っておきます.

画像4

手札誘発は全部抜いてワンキルされたらすぐ次の対戦で回してました.各カードの採用枚数も最終日慌てて握ったので適当に突っ込んだだけなので採用理由は特にないです.このとき気づいたことがあり,セプスロ堕天使だろうが鮫だろうがサイバーだろうが呪眼だろうが,相手に先攻で理不尽盤面を作られても後攻でレヴィオニアが着地すれば捲ることができ,このデッキはデッキ名【サンドラ】ではなく【サンドラ入りレヴィオニア】では?ということです.先攻でも援軍+旋律から1ハンデス+ヴァーミリオン+バウンサー+次ターンレヴィオニア御替わりまでいけるので,セプスロ堕天使の先攻1ハンデス+神属とほぼ同じかそれ以上の理不尽を押し付けることができます.先攻後攻関係なくレヴィオニアのカードパワーの高さが特に目立ちました.このデッキもやってることセプスロです.確かなデッキパワーを感じたため,初日からずっとサンドラを握っておけばもっとdpを伸ばせるタイミングがあったのかもしれないと少し後悔が残して自分の2月のKCカップは終わりました.

2月のKCカップが終わり自分の中でかなりショッキングな出来事がありました.それは自分がKC中に勝てないと諦めて捨てたバランスWCが金アイコンを取ったことです.毎度のことですが,自分とトッププレイヤーとの力量の差を思い知らされたKCカップでしたが,自分が思い入れがあったにも関わらず環境への回答を見出せずに捨てたデッキを環境への回答を上乗せして結果を残したプレイヤーに畏敬の念と敗北感を感じました.この出来事から,もう1度WCを使ってKCカップを勝ちたいと思うようになり,主にじっくり時間をかけられるランクマではWC,回転率が要求されるポイントバトルではサンドラの2デッキを調整していました.
調整していたWCについては以下の記事にまとめています.気になる人は読んでみて下さい.

(11月のKCカップで銀アイコン取った後,調子に乗ってミラティブやYouTubeで配信されていたWC練習枠を見つけてはプレイングマウント取ってイキってました.迷惑かけた配信者さんすみませんでした)

2021年2月のKCカップを境にリンクスのゲーム性は大きく変わりました.今までリンクス特有だったバランスなどの一部の初手安定スキルが大幅に規制が入りカードパワー自体は低いけどスキルで安定性を手に入れることで環境で戦うことができていたデッキが大幅に環境から後退しました.もう1つ大きな変化はKCカップで一気に評価を上げたセプスロが環境の中心になったことです.セプスロというカード群はOCGのほうで2014年に登場してから半年で規制され,他のカードパワーがセプスロに追いついた2年後の2016年まで釈放に時間を費やしたパワーコンボです.そんなカードが環境の中心になったわけですから,たった1回のKCカップをきっかけに1年分くらい一気に環境のインフレが進んだかもしれません.リンクスのカードプールにはセプスロに有効な後攻0ターン目の妨害札である手札誘発がないため,セプスロが決まってしまったら座ってただ見守ることしかできず,手札誘発がなくなった現代遊戯王のようなやり方でインフレしてしまいました.現代遊戯王に対比して現代リンクスが始まったと言っていいでしょう.初手安定スキルがなくなり揃えたもの勝ちのセプスロによって,今までのリンクスからはかけ離れたカードパワーとカードパワーのぶつけ合い,先にコンボ決めて叩きつけたほうが勝ちのようなゲーム性になってしまい,そのゲーム性についてこれるデッキだけが生き残る弱肉強食環境が始まりました.

3月,自分は調整を進めていたWCとサンドラはこの新しいゲーム性で戦っていける可能性を感じていました.この2テーマはきれいに回れば10,11期ということもありセプスロのアドの暴力に対して,真っ向勝負しても負けないデッキパワーがあるからです.加えて,環境のインフレから評価を下げた鮫デッキやオノマトが環境から後退していたことや,罠から展開重視に型を変えた青眼の台頭から,環境的にも追い風だと感じていました.ただどうしてもWCもサンドラともに安定性に不安のあるデッキなので,安定性の解決が課題になっていました.
3月はじめに実装されたメインボックス「アンチのミック・セオリー」によって実装された1枚のカードによってサンドラは転換点を迎えました.
それがこのカードです.

画像5

4月のKCカップ中大流行したオノマトが使っていたため何度も見たと思いますが,妖精騎士イングナルの登場はサンドラを大きく飛躍させました.登場当初は,自分はイングナルを,OCGの使いにくいイメージが固定観念となっていてあまり評価していませんでした.加えて,イングナルはスキル込みでしかまともに召喚できず,孤高除獣初動か,中盤以降にレヴィオニアを起点の限定的な状況でしか出せないため,その状況ならプレイや他のカードで代用が効くと考えていたため,わざわざ貴重なEX枠をこんなカードに費やす必要はないと考えていました.実装当時は,おそらく自分と同じような考えからサンドラのイングナルの採用率はあまり高くなかったと記憶しています.

イングナルの強さに気づけたきっかけは2つあります.1つは,あのkinghaloさんの放送枠で「サンドラにイングナルは必須ですか?」とリスナーから質問されていたのに対して「知るか」といつものキレ芸をしていたのを見たことです.当時自分は強さどころかテキストもまともに読んでなかったので採用候補にすら挙げていなかったですが,一部で話題に上がる程度には注目されているカードだと初めて知りました.自分はあまり全部のカードを揃えてからデッキを組むことはしないのですが,メインパックのSRなので1枚くらいなら揃えやすいので,実際に回して試してみることにしました.もう1つは,同時期に対人イベントのライディングデュエルがあったことです.ライディングデュエルイベントは,通常のリンクスの対戦仕様に追加でイベント限定スキルが使えるため,KCカップ上位を目指すようなガチ勢はあまり積極的にやらない対人イベントです.自分はKCカップと同等のイベント報酬が貰えるのに緩い対人戦で空き時間にサクッとできるため,ちょっと見返りがある一人回し感覚でやっていました.

画像6

(500勝やっておいて緩いとは?)

実はこのライディングデュエルイベントが4月のKCカップで最終日に一気にDPを盛れた要因で,期待してた以上の収穫がありました.いろいろありますが特にKCカップで活きたのは次の2点です.
1つは上述のイングナルの使用感を確認できたことです.デッキ調整してる際,たった1枚のカードに採用するべきか悩んだり,カードの強弱の結論がなかなか出せない経験をしたことをカードゲームをしていればあると思います.このとき,理屈で理解できなくても試行回数を稼げば流石にどこかで結論は出ます.自分の場合はライディングデュエルの500勝がいい機会になりました.話が若干逸れましたが,イングナルはサンドラの戦い方を大きく変えました青眼の精霊龍などの置物を簡単に処理できるようになったことも大きかったですが,1番の影響は,イングナルの登場によりサンドラのマストカウンター箇所が変わったことです.ミラーマッチやオノマト対面のとき,相手が先攻で立てたフォトンストリークバウンサーの妨害先がイングナル以前は,孤高除獣初動からエクシーズ召喚先を見てから妨害箇所を選ぶ選択肢がありましたが,雷獣もしくは雷電が除外された時点でイングナルを止めるタイミングがなくなるためイングナルを孤高除獣に妨害を当てるしかなくなりました.ライディングデュエルの時点では,サンドラのイングナルがまだ認知されていなかったこともあり孤高除獣を止めてこない相手もいましたが,イングナルの登場以降イングナルの採用有無に関わらず対戦相手にイングナルを意識したプレイングが強要できるようになりました.前述のように孤高除獣がマストカウンターに変化したため,孤高除獣に妨害を当てられた場合,コストで雷電を除外したときは,雷鳥サーチから雷電特殊召喚(場:孤高除獣+雷電),雷獣を除外したときは雷鳥がサーチできずに雷獣効果で任意のサンドラを特殊召喚(場:孤高除獣+レベル5or6モンスター)の盤面ができます.2つのケースで場にモンスター2体は並びますが,この動きだけではエクシーズ召喚が確定で行うことができなくなり,スキルと残りの手札に依存して前者はランク4もしくはランク5,後者はランク4~6の選択肢が生まれ,共通してランク4もしくは5が必須になります.イングナルの登場は結果的に,サンドラが新しい武器を手に入れただけでなく,サンドラのランク4もしくは5の枠を突き詰めることを必須条件にしました.4月のKCカップでは,サンドラのランク4もしくは5の枠をどこまで突き詰められたかは,勝敗を分けた要素の1つだと思います.
もう1つイングナルの登場によってサンドラを大きく変えた点は,苦手だったネクロバレーに対しての意識を変えたことです.イングナル登場以前はEXにダイヤウルフやアドレウスを採用することでネクロバレーの対策がされていました.しかしネクロバレー+1妨害までされたらよっぽど詰みです.ただワンチャン相手の妨害が弱いことに賭けて勝ちを拾いにいくなら,ネクロバレーを処理した上でワンキルが取りにくいアドレウスやダイヤウルフより,場を一掃してもう1体アタッカーを追加すればワンキルを取りにいけるので,同じ詰み盤面ならイングナルに賭けたほうが勝てる可能性があります.このワンチャン勝ちを拾いにいけるは,シングル1本勝負かつ無限に試行回数が稼いで,本来は不利でも偶然でもいいのでその1戦勝てたらいいKCカップとは特に噛み合っています.イングナルの登場でサンドラのネクロバレーへの苦手意識は軽減しました.
ライディングデュエルから得られたもう1つの収穫は,今回のKCカップで活躍したTGや同調堕天使などデッキとの対戦経験を多く積めたことです.ライディングデュエルイベントが新弾の販売促進も兼ねていたようで,TG専用のイベント限定スキル別格に強かったためTGとの対戦数が他デッキ以上に多かったです.500勝もしてるので4月のKCカップを走ったプレイヤーの中では,比較的にTGとの対戦経験は多いと思います.当時はスキルセット!デルタアクセル!(以下デルタアクセル)型のTGが主流でしたが,TGの動きだけでなく対策方法をイベントを通して考えることができました.TG対面の詳細については後の構築とプレイングの項目でまとめてあります.
同調堕天使については同時期に海外大会で初めて結果を残し,徐々に注目されはじめたデッキでしたが,ライディングデュエルが5D'sキャラ限定のイベントでもあったことも重なりイベント期間の途中で突然マッチング数が増えたデッキです.はじめて対戦したときは,サンドラの堕天使対面の基本である,堕天使モンスターのライフコストを払えない状態までライフカットした上でサンダルフォンなどの置物で蓋をしてリーサルを取る戦い方とホープレイワンキルが噛み合いすぎていたため,とんでもないデッキが出てきたとお驚きました.イベント期間中は同調堕天使への立ち回りがよく分からなかったので負けまくりました.4月のKCカップでは,自分のレート帯と走った時間帯もあると思いますが,同調堕天使とは数回程度しか対戦しておらず負け越しています.おそらくですが,サンドラは構築を寄せない限り対面堕天使の勝率はディスティニードロー堕天使>上昇堕天使>同調堕天使の順になるはずです.サンドラは同調堕天使が相性的には一番苦手だと思います.加えて,3種類の堕天使はデッキ名が同じなだけでコンセプトが全く異なるデッキであるため,サンドラで3種類全てのデッキを1つの構築で勝率を安定させるのはかなり難しいです(一部のサンドラが全てのタイプを対策した構築で上位帯まで登り詰めていたようですが).4月のKCカップでは上位帯に行くほど同調堕天使の割合が増えて,レート帯が下がるにつれて上昇堕天使の割合が増えました.自分はKC期間中ほとんどの時間を下位帯にいたため,上昇堕天使の対策が必須条件でした.必然的に,銀ラインまでしか行けなかった自分のサンドラの構築と金ラインのサンドラの構築は大きく異なり,金ラインのサンドラは上昇堕天使の対策札を採用した構築はほぼなかったはずです.ライディングデュエルイベントの同調堕天使との対戦経験が4月のKCカップに直接活かせたわけではありませんが,サンドラで全てのデッキを対策した万能構築を作る難しさを経験として理解できたことと環境に合わせて採用札を入れ替える練習には確実になりました.
ライディングデュエルでサンドラを回す試行回数が稼げたため,サンドラのポテンシャルの高さに気づき,このままの環境なら,4月のKCカップはサンドラを初日から回し続けることで確実にDPを伸ばせることを確信していました.

4月,環境はKCカップ直前にも関わらず大きく変わりました.KC前最後のミニパック「サイン・オブ・ハーピィズ」が発売しました.パック名の通りハーピィを大幅強化した弾であり,発売前の評価ではハーピィの環境入りや強力な汎用除去カードライトニングボルテックスに注目が集まりました.運営としては堕天使ともに環境の中心にいた青眼を抑制することで展開系有利の環境を抑制する意図があったのかもしれません.しかし発売後,最も猛威を振るったカードはハーピィでもなくライボルでもないたった1枚のカードでした.

画像7

KCカップ中何度も見たと思いますが,FAハングオンマッハの登場は環境を大きく変えました.発売前の評価から一転して,手札から見せたモンスターのレベル分レベルを上げるスキルレベル上昇によりいきなりレベルを12より大きくすることが可能であり,超高火力+相手だけマクロコスモスかつ永続効果以外のモンスター効果は一切受けない化け物を誕生させる超お手軽コンボが,予想以上に強力で環境の中心に突如現れました.魔法・罠に弱い弱点も禁じられた聖槍で魔法・罠耐性を付与できたため実質モンスター・魔法・罠全てに耐性がある正真正銘の化け物です.スキルの関係上上級モンスターがメインデッキに入るデッキと相性がよく,元から環境の中心にいた堕天使,青眼と相性がよかったため,ただでさえ強力だった2デッキがさらに新しい兵器まで手に入れてしまいました.スキルを2個使うことはできないので,既存の構築とは別のタイプとして環境に入り込んできたため結果的には上昇〇〇デッキとして環境デッキの数自体は増えることになりました.ハングオンマッハの登場は自身が環境入りにするだけでなく,ハングオンマッハの処理手段があるデッキが環境で戦える可能性を生みました.一時的に環境から後退していたオノマトを筆頭に,サイバーやハングオンマッハの除外に強い霊獣,さらに予想外にも専用手札安定スキルによって強力な先攻制圧ができるだけでなく後攻から鬼動武者によってハングオンマッハを処理できるシンクロフライトコントロールTGまで注目され,新弾の看板であるハーピィも構築は定まってはいなかったものの構築さえ固まれば環境と戦えるポテンシャルがあり,ハングオンマッハたった1枚によって環境デッキの数だけは多い群雄割拠した環境になりました.逆にハングオンマッハを出されるだけで突破手段がなく詰んでしまうデッキは大きく評価を落としました.その代表がサンドラです.サンドラは,ほぼフルモンスターデッキかつ出せる最高打点が雷劫龍の3100打点だったため,モンスター効果に耐性があり4000以上の超高打点のハングオンマッハを処理する方法がデッキ内に存在しませんでした.突破手段がないだけでなく相手だけマクロコスモスも大打撃で光の援軍の墓地肥やしや,墓地に手札から送って発動するクリボールなどの手札誘発は発動すらできなくなるため,ハングオンマッハを出されると文字通り何もできなくなります.そこで当初のサンドラで試行回数を稼げばKCカップ勝てるサンドラドリームは崩れました.
突然の伏兵の登場に,ハングオンマッハを対策したサンドラの新しい構築を作るか,サンドラを使うのを諦めて他のデッキを握るかの選択が必要になりました(実際にはハングオンマッハを捨てて他を確実に拾う第3の選択肢がありましたが).自分は,サンドラの新しい構築を探しつつ,他デッキを探す両方を同時に進めつつ,勝てる可能性の高い方を取るつもりで方針を固めました.ハングオンマッハが環境の一角になった時点で,環境のメタゲームの流れは,ハングオンマッハに強そうな霊獣が増えること,ハングオンマッハ系統のデッキはハングオンマッハに構築が偏る分対応力が下がり,月の書などの対策札を採用しやすくスキルでサーチ可能な対応力の高さからむしろディスティニードロー堕天使が評価を上げることは容易に予想できました.この予想は,ドンピシャで当たりKCカップ直前までハングオンマッハ対ハングオンマッハ対抗勢力のメタゲームが続いていたはずです.自分は,サンドラ以外の選択肢として以前から調整だけはしていたWCに注目しました.WCに注目した理由として,ハングオンマッハが得意というわけではないですがハングオンマッハに対してマスターヴェールが打点で一応回答になっている点,ハングオンマッハ対抗勢力にWCは強いと考えたからです.もう1つ大きな理由がありました.

画像8

画像9

画像10

期間限定パックのセレクションボックスのみに収録されている月の書も,セプスロの必須パーツのヴェルズウロボロスは持ってません.セレクション収録ではない堕天使パーツすら持ってません(堕天使に関してはセプスロ登場以前の環境が,堕天使を揃える前に大幅な規制が入ったことで環境落ちしてしまったこと,全盛期堕天使当時の環境が他にも強いデッキが存在していたから堕天使を使っていなかった堕天使のパックは剥かなかったです.言い訳終わり).ハングオンマッハによって月の書の需要がさらに上がってしまいましたが,月の書を持っていないセレボ被害者はKCカップ勝ちたいならセレボのカードが必要ないデッキを探すことになりました.実はWCは,新弾の発売によって大幅にデッキが強化されていました.いろいろ調整した結果,完成したWCが次の構築です.

画像11

以前から使っていた前借りWCにライボルを採用して採用札を何枚か入れ替えた構築です.ライボルの登場はWCにとってかなり大きかったです.WCはライボルで後攻ワンキルが格段にやりやすくなりました.ワンキル手順としては,後攻ライボルで相手のモンスターを一掃から2000打点のエーデルにコラボレーションで2回攻撃を付与して合計4000ダメージです.このワンキルルートはジェニーの効果で墓地からコラボレーションをコピーしてもできるので,ワンキルに必要な手札の条件は,任意のWC下級モンスター+ライボル+ライボル用の手札コスト1枚+任意の魔法カード3枚です.リンクスの初期手札は4枚なので後攻の手札5枚からはちょっと条件が難しいワンキルルートですが,スキル前借りの前借りで一時的に手札を増やすことができ,従来のジェニー初動はアドを稼ぎづらかった問題がジェニー初動はワンキルが取りやすいという強みに変わりました.このワンキルルートは場にモンスターを残してしまう月の書にはできない点で差別化ができており,ハングオンマッハの棒立ちやオノマトのバウンサー棒立ちに対していきなりワンキル可能であり,さらにハングオンマッハのおかげでワンキル対策の手札誘発が減っていたこともあり,環境的にも実用的でした.微妙に使いづらかったスキル前借りとジェニー初動が急に強みに変わったのはWCにとって大きな変化でした.
WCに注目していた理由として,もう1枚WCを大幅に強化したカードの発見がありました.それがこのカードです.

画像12

墓穴の道連れです.このカードは,ツイッターで偶然見かけたWCのデッキレシピに採用されていたのをきっかけに使ってみましたが,とんでもないパワーカードでした.このカード一見アド損カードに見えますが,墓地効果の多いWCではアド損せずに使える状況を作りやすく,相手の手札をピーピングできるのでコンボカードを揃えたら勝ちの現代リンクスの回答になっています.デッキは選びますが,WC関係なくこのカードは強いと思います(KC後に分かったことですが,自分とは違う角度から墓穴の道連れに気づいていたたプレイヤーが予想以上に多く驚きました).WCでは,初動率が課題だったのが初動札が増えたの初動率を8割まで引き上げてくれました.
調整段階ではWCで,対面堕天使,青眼,オノマト,ハーピィを中心に調整していましたが,どの対面にも勝ち越せていたので,ハングオンマッハが一定の環境シェアに抑えられ,環境デッキだけでなく環境を対策した環境外デッキも現れてくれれば,KCカップでも勝てると確信していました.結果的に,想定していた環境通りにはならなかったためWCでは勝てませんでしたが,環境が環境ならWCは答えデッキになり得たと考えています.

WCに話題が逸れてしまいましたが,サンドラに戻しましょう.ハングオンマッハによって環境は大きく変わりましたが,サンドラはハングオンマッハが無理なだけで他に苦手な対面はないという評価は自分含めて多くのプレイヤーの評価だったはずです.それならハングオンマッハの対策をしたサンドラが明らかに最強デッキでは?と容易に思いつきます.すぐにハングオンマッハ対策入りサンドラのサンドラの構築を練り始めました.
まず最初にすぐに思いついた構築が以下です.

画像13

レベル1の雷源龍を採用することでレベルコピー込みで鬼動武者を作ることができるので永続効果には耐性がないハングオンマッハを突破する方法を仕込みました.この構築を考えたときは,メインとEXに1枚ずつカードを追加するだけでデッキのギミック内でハングオンマッハ対策ができており,対面青眼では雷源龍の打点パンプが使えて,フリーチェーンが対面ハーピィのSCの妨害にも使える万能構築が完成したと考えてました.ただ結果は,ランク戦で調整した段階で全く勝てませんでした.勝てなかった理由として,武者の素材ライデンはサンドラギミックではアクセスできず素引きに頼る必要性がある,ハングオンマッハが立っている状態では援軍が打てないのでライデンのアクセス手段が減る,ハングオンマッハに腐るクリボールなどの手札誘発を削っているためハングオンマッハ以外には不利になっているなどが挙げられます.
そこで,上の構築から派生して問題点を解決するために別の構築を試してみました.

画像14

デッキを厚くして誘発の枠を捻出し,引き要素が強かったライデンを増やしました.デッキを厚くなったため初動札を増やすために太陽電池メンを採用し太陽電池メンのトークン特殊召喚を利用してブルーDが出せるのでハングオンマッハへの回答も増えました.他にもこの構築には細かい意図はありますが長くなるので省略します.この構築ハングオンマッハがいる状態ならライデンや太陽電池メンで墓地に送られるサンドラカードが除外されるのでいきなり除外時効果が使えます.理論上ライデン1枚から武者が立ちハングオンマッハが処理できます.この構築はなかなかすごくランク戦4回降格しました.こんなに勝てないランク戦記憶にないです.勝てなかった構築ですが気づきは残してくれました.問題点として武者でハングオンマッハを対策するには武者+αを用意してワンキルしなけば対策になっていないこと,武者のような展開を絡めてハングオンマッハを突破する場合展開している間にリソースが飛んでしまうため後続が続かないこと,そして最も重要な気づきがハングオンマッハを意識しすぎると構築が歪むことです.ハングオンマッハに圧倒的有利と言うわけでもないのに他の対面の勝率を落とし結果全体の勝率を落とす一番よくない構築になってしまいました.他にもいろいろな構築は試しましたがいい構築はできませんでした.予想以上にハングオンマッハへの対抗策がないことが分かってしまい,4月に入ってからKCカップ始まるまでの期間サンドラよりWCを調整していた時間は長かったです.
ただ,このデッキを厚くして回答札を詰め込んだサンドラは決して発想自体が間違っていたわけではありません.当時,自分同様厚いサンドラに可能性を感じて調整している人を何人か見かけました.中にはサンドラで有名なプレイヤーもいました.課題だった構築の歪みの矯正さえできれば広い対面を同時に見られる万能構築となり,十分KCカップでも勝てる構築になっていたはずです.自分にはそこを完成させるだけの力はありませんでした.実際には,見事構築を完成させ金アイコンラインまで到達したプレイヤーはいたようで構築力の高さを尊敬します.

サンドラを諦めかけていたとき,ランク戦で偶然1つのデッキに出会いました.

画像15

若干元の構築からは変えていますが概ね上のような構築のサンドラです(オリジナルは雷獣2,レヴィオニア1の20枚,深淵がソードブレイカーだった気がします).このデッキにめちゃくちゃぶん回されて負けました.初めて見たときはランク戦の微妙な感じの構築のデッキにしか見えなかったため,ランク戦すら勝てないのかと終わったと思いましたが,この構築はサンドラの構築だけでなく,4月のKCカップを勝つ上で重要なヒントを示してくれました.
この構築を初めて見た時の感想は「都合がいい」です.この「都合がいい」が4月KCカップを象徴する言葉で,パワーカードとパワーカードのぶつけ合い環境は例えるなら150点満点のテストを解いているようなものです.以前までのKCカップが構築やプレイの総合得点100点満点を目指すゲーム性だとすれば,4月のKCカップは全てのデッキが振り切った強さがあったため100点を超えた余剰分が生まれてしまいました.100点を超えた余剰分に関してはプレイと構築も一切介入する余地はありません.4月のKCカップを走ったプレイヤーの中には「なぜ負けているのか分からない,相手の引きが都合いいだけ」と走りながら感じていた人も多かったと思います.自分同様で,プレイによる技術介入する余地なく負けるケースが多すぎたため,プレイや構築を見直すこともできず,結果勝率が下がり続ける負の連鎖に陥りました.
上のランク戦で偶然出会ったデッキは「都合がいい」戦い方と構築とはどういうことなのかを教えてくれました.この構築は,リミット2の黄金櫃も援軍もピン刺しで散らした上にライデン1しか採用していません.たしかに援軍はデュエル中1度使えれば十分ですしライデンもチューナーとしての役割は1枚あれば十分です.でもライデン素引きした時点で援軍は打てなくなるので都合よすぎです.援軍と黄金櫃もピン刺しで散らしているのも,たしかにハングオンマッハが立っているときは,使えない援軍より都合よく黄金櫃が引けて,それ以外の対面では援軍が都合よく引ければたしかに強いですが,都合よく引けないから難しいわけです.ライボルも一見強そうに見えますが,先攻では腐るカードが後攻では手札を切れるので初動に変わる先攻・後攻コイントス依存カードです.都合よく後攻を取ったときはライボルを握れば強いですが先攻・後攻取れる確率は平等に50%ですから,50%の確率で強弱が変わります.これらの理由から,ご都合ランクマデッキに負けた鬱陶しいわとなりましたが,ライボルはいいかもしれないと思ったのをきっかけにこのときは持っていなかったライボルを初めて揃えました.自分と対戦した時みたいに全てがきれいに毎回噛み合えばこのデッキ最強デッキでは?と思い構築をパクりました.完コピデッキから調整をしながらKCカップ1stステージで上のデッキを回していましたがめちゃくちゃ強く神デッキでした.神デッキ過ぎて3回降格した上に1st突破まで8時間かかりました.敗因として,不幸にも自分には都合いいハンドは一生来なかったですし,都合よく後攻が取れませんでした.自分にはこのデッキは使いこなせませんでした.

いろいろデッキは調整して調整段階で一番勝率がよかったWCでKCカップは走ることに決めました.
KCカップ前日,知り合いの配信者の枠に知り合い何人か集まってチャットでわいわいしてました.
知り合いAとB「オノマトがやばい,戦い方が凶悪すぎてアニメの遊馬がどういう戦い方をしていたのか気になる」
知り合いA「今回は勝ちに行くから3日間休み取った,今回はこの中で一番DP高いから賭けてもいい」
自分「今回は隠蔽デッキ作った(道連れWC)」
自分「この環境流石にニートしか勝たん」
知り合いBと自分「1000戦するなら何使っても勝てますよ?後攻取れるならBFでもいいぞ?」
知り合いB「今回は忙しいからフルで走れないので24時間で10万DP盛れるデッキくれ,8万DPでもいいぞ?」
(まさかこのときのチャットが後に全部伏線になるとは...)

1.2 KCカップ開幕~日曜日の昼まで

ここからKCカップの様子をまとめていこうと思いますが,申し訳ないですが,4月のKCカップ日曜日の昼までの記憶がほとんど残っていません.結論から言うとあまりにも勝てない上に全く楽しくなかったせい期間です.KCカップ後,知り合いの中には全く記憶がないものもいて,人は過度なストレスがかかると記憶を失うようです.

KCカップが始まりました.自分はリアルの関係で開始と同時に始めることができず,日付が変わった土曜日の深夜から走り始めました.予定通り使用デッキはWCです.

画像16

1万DPまで一瞬で盛れて走り出しは調子よかったです.このときは全く負ける気がしなかったので敗北を知りたいバキ囚人編の死刑囚の気分でした.ここから2万DPあたりまではすんなり上がれました.
ここからが異次元でした.何をやっても一切DPが上がらなくなりました.上がらないどころか呼吸してるだけで10分で5000DP溶かすとか当たり前のようにありました.ちょっと調子よくて3万DPに乗ったと思ったら30分後には対戦履歴が「lose」の文字で埋まっていたこともありました.
4月のKCカップでは自分同様2万DP帯で苦しんだ人は多かったのではないでしょうか?なぜ勝てなかったのかを後になって分析してみると2つ理由が思いつきます.
1つ目の理由は,マッチング形式の変更です.これに関しては推測の域を出ませんが,2021年2月のKCカップでは身内同士でマッチングしてDPを稼ぐチーミング行為が問題視されたため,具体的にどのように違うかは分かりませんがマッチング形式が異なったように感じました.剣闘獣のような全く想定してなかった環境外デッキを何度も踏んだり,EX4枚のオノマトやEX2枚の闇遊戯からセプスロ堕天使が飛んできたりと,今までの環境デッキを中心にたまに環境外デッキと対戦するマッチングとは異なりました.KCカップをガチで走っているプレイヤーは時間効率重視で負けるときはサレンダーを普通はしてくれるのですが,回線切断してくる対戦相手も多かったです.直接的な表現すると酷いデッキ構築と悪質なプレイヤーとの対戦が多かったです.その一方で,瞬間ランキングにも名前が載っている上位帯プレイヤーともマッチングしたので,対戦毎の質の落差にプレイが安定しませんでした.特にWCは相手のデッキを見ながらプレイを選びながら戦うデッキなので対戦毎のプレイが安定しないのは致命的でした.
2つ目の理由として今回の環境とゲーム性が大きかったです.4月のKCカップは都合のよさの押し付け合いになるマッチングが非常に多かったです.前述しましたが,コンボカードが揃えば強固な制圧盤面が作れるデッキや超高確率ワンキルデッキばかりだった上にカードパワーの水準が非常に高かったのでプレイや構築による技術介入が非常に難しかったです.極論EX2枚のセプスロ堕天使でも都合よくセプスロ揃ったら人は死にます.結果的に「都合よく先攻取られて,都合よくセプスロが揃っていたから制圧されて負けた」「都合よく後攻を取られたからオノマトにワンキルされた」「手札事故していたのに都合よくトップ解決された」など相手の手札や先攻・後攻のコイントスが強かったら呼吸しているだけで負けます.ある意味プレイヤーのレベル・実力を平均化していたので全ての人に勝つチャンスがあった環境とも言えます.この都合のよさの押し付け合い環境は,逆に言えば全てのデッキが不安材料を抱えているということです.そこを逆手に取って,安定性に多少不安があっても回ったときにパワー負けしなければ,「相手と対話しながらやり取りをするデッキ」のほうが技術介入できて勝てると考えて環境に後出しじゃんけんするためにWCを握りましたが,1つ勘違いがありました.「都合の押し付け合いデッキの初動率〇割」と「相手と対話するデッキの初動率〇割」は全く意味が違ったことです.都合の押し付け合いできるだけのパワーのあるデッキは,仮に少々初手が事故ったとしてもトップの期待値が高いだけでなくパーツが揃った時点で勝負を終わらせることができます.一方,相手と対話しながらテンポアド取って戦うデッキのトップの期待値はあくまでも何かしらのアクションができるだけで勝負を終わらせるわけでもなく,前のターンでしたかったやり取りを周回遅れでやっているだけです.周回遅れを取り戻そうとすればパワーが必要になり,やり取りでアドを取るとは矛盾します.2つのデッキタイプで計算上の初動率は必然的に後者のほうが高い必要があります.KCカップ直前に評価を急激に上げて結果金アイコンまで生んだTGは前者のゲーム性に噛み合っていたからであって,環境の理不尽デッキの数を増やしただけです.結局,WCで環境にある程度勝率を出しながら環境メタデッキを拾いながらDPを稼ぐ予定は崩れ勝てませんでした.おそらく今回のKCでは,WCと同系統の炎王や,1度セットしてからでしか動けず必然的に周回遅れする罠ビ系統のデッキは勝つのは非常に難しかったはずです(局所的ハリケーン,ハンデス,雑なドロソでアド取るデッキが多かったせいで環境メタデッキを作りづらかったのが一番の原因だとは思いますが).
日曜日の昼までちょっとほとんど2万DP帯の住人をしていて,ちょっと調子よく3万DPに乗ったらすぐに1万DP帯まで溶かすをループしていました.ただ1つよかった点は,あまりにも呼吸しているだけで負ける対戦が多かったせいで全く楽しくなかったのに,YouTubeの配信者さんたちのKC配信を見るのは楽しかったので配信見るためにKC走るのをちょくちょくやめて,配信が終わったらすぐに寝て体力を温存できたことです.KC期間中日曜の夜までめちゃくちゃ寝てました.体力の温存ができていたのが,最後の追い込みにつながったと思います.

1.3 KCカップ日曜の夜から最終日(銀アイコンまでの爆走)

日曜の夜の時点で1万DP帯まで落ちていました.WCが勝てないと分かった時点で,アマゾネスやハーピィを付け焼刃で握ってみたり,たまにサンドラを使って手札事故に腹立ってすぐにやめたりして日曜の夜まで来てしまいました.あと12時間で銀アイコンに乗せるのは絶望的だと思ったので,せめて500位以内でKC報酬だけは貰う方向に切り替えました.2月のKCカップからまるで成長していない...

画像17

スラムダンクの安西先生が嘆きそうです(ツイッターのTLでは三井が3Pセプスロシュート決めてましたが...).

2月のKCカップ同様,500位に乗せるだけなので上昇堕天使と頻繁にマッチングして不利ですが,他にどうしようもない無理対面はなかったので最後追い込めで500位には入れるでしょと適当に握りました.

画像18

キャラはオノマト偽装の遊馬,どうしても事故負けが許せなかったので雷獣2,後攻取ってレヴィオニア投げたいので旋律1にしてました.事前準備のところ読んでいただいたら分かると思いますが,雷獣2で自分は回したことがないです.一般的に初動に絡まない雷獣は2にして初動率を上げるのがテンプレですが,雷獣3のほうが強初動率は上がります.このあたりの構築については,後で構築とプレイングの項目でまとめておきます.練習していない構築をいきなり回しても回し方がよく分からず全く勝てませんでした.

そこで,構築がよくないと考え構築を見直すことにしました.

画像19

記事冒頭の構築がやっとここで完成しました.雷獣は回し慣れてる3に戻しました.23枚でオノマトキャラ偽装に全くなっていないので,むしろデッキ枚数がプレイヤーによって異なっていた絆の力ハーピィに偽装するために遊星にしました.旋律はハングオンマッハが立つと腐りやすかったカオス要素を減らすために削りました.深淵は月光や炎王などめんどくさい対面のためにずっと採用してましたが炎王も月光も全く見なかったので,先攻棒立ちバウンサーでターン返してくるオノマトに対して勝ち筋を広げられるデッドリーシンに変えました.上昇堕天使との対戦が多かったレート帯だったので回答としてライボルを仕込みました.手札誘発は雷鳥マリガンでワンチャン拾ったとき勝ちが拾えるクリボール1枚,ハングオンマッハ以外には腐る状況が少なかったのと,ハーピィのSCに対してフリチェカードが1手分相手の要求札を増やせるのでDDクロウ1枚に散らしました.

サンドラ握り始めてすぐに環境の微妙な変化に気づきました.相手のプレイだったり構築が直接的な表現を使うと雑だったことです.レート帯が低いこともありますが,今回のKCカップ通しての感想が,対戦相手のプレイのおかげで勝てた場面が多かったことです.2~5万帯までは特にその傾向が強く,先攻セプスロを決めたのにデルタテロスが立ったり(おそらくヴェルズウロボロスを持っていない),イシュタムで戒壇を切ってそのままサレンダー,神属ループを相手が勝手にミスして自滅,ルートを間違えるオノマトなど,自分の理解が及ばないプレイが散見されました.そこで1つ仮説を立てました.「もしかして運だけでDP伸ばしてるプレイヤー多いのでは?」ハンド悪かったのにハッタリで打った局所でサレンダーしてもらったり,先攻セプスロ見えただけでサレンダーしてしまったプレイヤーが多いと勝手に読みました.これらに関して,正直仕方ない部分はあると思います.環境のカードパワーが高いだけでなく札の叩きつけ合いになる対戦が多かったので,対戦相手の心が折れるのも理解できます.いくらプレイが雑でもセプスロされたら人は死にます.よく言えば誰にでもチャンスがある,悪く言えば運だけ環境です.加えて,試行回数を多く稼いで確率を収束させる環境だったので,3日間走っていたら疲労は蓄積されます.最終日まで,YouTubeの配信見たり,嫌になったらすぐに寝てた自分は体力が温存できていたので,ここから試行回数を抑えて丁寧に1戦1戦拾えばDPを伸ばせると考えました.そこで,すぐにサレンダーをするのをやめました.体力回復が十分だったことで精神的にも余裕があり,やれることはやろうと前向きに考えることができ,負け確でもサレンダーせずにトップや相手のプレミに賭けてみたり,新しいプレイや展開ルートを試してみたり,できる限りのことをやってみました(4万帯で雷電のチェーンをoffにしてクリボールのタイミングでonにすることでクリボール握ってるふりしてサレンダーしてもらおうとするクソ害悪プレイしてるサンドラがいたらたぶん自分です.すみませんでした).すぐにサレンダーするのをやめてから,後攻オノマトが不純物のみを引く天文学的確率の手札事故を起こしたり,セプター召喚そのままターンエンドなど豪運も重なり気が付いたら「lose」だらけだった対戦履歴は「win」の文字で埋まっていました.レートが上がるにつれて環境も変わっており,上昇堕天使からハングオンマッハを守る聖槍が減り月の書に札が変わっていたためライボルを通せば勝てる場面が増え,セプスロ堕天使に対抗するためにカウンター罠を積んだ青眼が増えていたため,サンドラが勝ちやすい方向に環境が動きました

500位以内のつもりでやってたのに,連勝に連勝を重ねて月曜の朝の時点で6万DPになってました.予想外に銀アイコンを取れるチャンスが巡ってきたので銀アイコン狙うことにしました.銀アイコン狙いに切り替えた瞬間,頭に1つのあのシーアーチャーさんの言葉が流れました.

「世界一目指してKCカップに参加しているのに銀ステイはあり得ない」

初めて銀アイコン取ったときはボーダー見ながら1時間ごとに数戦ずつやってましたが,急にシーアーチャーの言葉が頭に浮かんだせいで,リスナーの自分はデュエルボタン押したほうがいい気がしてきたので,勝手にデュエルボタン押してました.結果的に,これがよく負けてもノーリスクと前向きに考えることができました(来月のKCGTの予選に負けるよりはノーリスクともいう考えもありましたが).流石にこの辺りのDP帯と最後の追い込みで走ってる強者たちとの対戦なのでここまでの連勝のようにはいかず,勝ったり負けたり繰り返して6万2000DPに乗せ,12時半のランキング更新まで様子見することにしました.

12時半100位ボーダーが6万1600DPに乗り6万3000DPが銀アイコン確定には必要になりました.あと1ゲーム必要なのですぐにデュエルボタンを押しました.初めての銀アイコンのときはラスト30分で最後の1戦勝ってギリギリ取りましたが,今回は時間的にも余裕があり,1敗しても2分で2勝できるような環境だったので精神的にも余裕があり,1度目の銀アイコンほどの緊張感はなかったです.

マッチングしたのは青眼.相手が調和からの旋律の超強展開をしてきました.

画像20

精霊龍+太古×2+バック1.いやいや上振れゴリラ過ぎるだろ!!といつもなら台パン案件ですが自分の手札にはライボルがあります.穏やかな心で相手のソリティアを見守ります.今日は好きなだけ回していいぞ.

ここで,今回のKC何度も青眼の先攻展開を跳ね返してきたキャラ遊星が活きます.精霊龍+太古経由青眼にバックが追加できた場合かつサンドラと分かっている場合,精霊龍を即銀龍に変えるとほぼ先攻ワンキルです.全体に破壊耐性を付与されてしまうとレヴィオニアでも突破できずイングナルを通すしかないので,そこにバックを当ててあげるだけでサンドラ側は詰みます.対サンドラ最強の盤面を相手が作られたわけですが,遊星にしていることでバレなかったようです.

勝ち筋ができました.ドローしたのは雷電.ライボル発動(気持ちいい).トップの雷電は完璧な引き.初手に握っていたDDクロウでオルタナティブを除外,雷電を切って雷電サーチ,ライボルのコストで切った雷獣と合わせて墓地闇3体.レヴィオニア降臨.

画像21

DDクロウのオルタナティブ除外がここで効きます.これで相手は太古から青眼を特殊召喚,古のルール,スキルを使って融合するかの3通りでしかアタッカーを用意できず,残り手札2枚なので用意できるアタッカーの数はせいぜい2体.2回アタッカーを処理すれば勝ちです.リーサル取るためにレヴィオニアのハンデスを通しに行きますが,相手は堪らず太古を切って因果発動(太古3枚握ってたのかよ...どんだけ強い...).雷獣から雷鳥を通ってきてターンを返します.

画像22

相手のターン,太古で青眼を回収してから1伏せ.青眼の直接攻撃だけでターンが返ってきました.こちらのターントップ雷獣.いい引きです.これで雷電を雷鳥で釣ってから雷電をセットすることで雷劫龍を立ててから雷獣の回収効果を使うことで青眼を打点で処理にいけます.このとき場の青眼を殴ってしまうと次のターン青眼を手札に回収されてスキルによって手札の融合されてしまいます.もしもトップが青眼の場合は,ここで殴っても殴らなくても究極竜立てられて負けです.バックが因果の活きた罠であろうが,バックがブラフであろうが,トップ青眼以外の負け筋はないので実質相手のバックは死んだ状態になります.雷劫龍で殴って青眼を処理,墓地のライボルを除外して雷獣を取ってきます.相手のバックの反応はなし.ブラフの調和のようです.今回の状況では直接勝敗に関係ないですが,雷劫龍で墓地のライボルを除外できるのかなり強かったです.次のターン雷劫龍が生き残ればライボルを回収できるだけでなく相手にモンスターセットを強要できたり,雷劫龍を処理させるついでに横のサンドラモンスターを処理させて後続を取りに行けたり相手の択を絞ることができます.KC中何回かはこれで勝ち拾えました.

画像23

相手のトップ.青眼は引けず.ツインバースト融合召喚.これが相手の用意できる最後のアタッカーです.こちらトップ援軍.完璧な引きです.

画像24

ツインバーストをトレミスで処理してターン返すつもりが引きが最強でした.ヴァーミリオン作って終わりです.

勝因:自分のほうが引きが強かった

初手からトップで引いてきたカード全て最適解.順番に札を投げつけただけ.相手は最強の初手から負けた理由は,最後青眼が引けなかっただけ.お互い手札を叩きつけ合っただけの人間がやる意味のない対戦.この対戦のせいで一気にやる気がなくなり,一切このKCカップが楽しくない理由を全て思い出しました.ステイはしないとか考えてことも一切忘れて,これ以上走る気は失せました.残り1時間以上残して63000DP銀アイコンが確定しました.

最後はkinghaloさんのステイシルバー配信を見ながら自分のKCカップは終わりました.

1.4 KCレポートまとめ

ここまで長ったらしいレポート全部読んでいただいた方はありがとうございました.サンドラ視点の環境の変化の振り返りやKCカップまでの準備の流れが読んでいただいた方に何か参考になっているなら幸いです.
今回のKCカップやってるときは一切楽しくないと思っていましたが記事を書きながら思い出してみると意外と楽しかったのかもしれません.最終日適当に握ったサンドラが環境の噛み合いと上振れを同時に引くサンドラドリームに乗って,自分は偶然銀アイコンが取れました(KC前に知り合いが言っていた24時間で10万DP盛れるデッキはなかったですが,12時間あれば5万DP盛れるデッキはありました.それがサンドラ).序盤・中盤からサンドラで走られたプレイヤーが結果を残していますが,早い段階で環境とゲーム性に気づき,構築の取捨選択を適切に行った結果なので,当然の結果だと思います.自分はWCでもう1度結果を残したいと言うこだわりを捨てきれなかったところもありましたが,サンドラが勝てるのに気づくのも遅すぎたので実力不足なところもあったと思います.また次のKCカップ,今よりもっと上を目指してみたいです.

最後に,今回のKCカップ中配信者の方々には感謝しています.特に最終日のkinghaloさんのステイシルバー配信はKC期間中一番楽しかった瞬間です.自分が初めて銀アイコン取ったときの11月のKCカップのときは,なぜかステイシルバー配信がなかったので,今回初めてステイシルバー配信を見ながら銀アイコンを取ることができました.あの最後にみんなで今回のKCカップはどうだったとワイワイしながら振り返りできるのを楽しいと感じられるのは,KCカップ走った人にしか味わえない楽しさだと思います.やはりKCカップは楽しいですね.

2.サンドラの構築とプレイング

ここからはサンドラの構築のプレイングをまとめていきます.記事を書いているうちに新リミットが発表されてしまい,レベルコピーがナーフされてしまいました.あまりレベルコピー特有の内容が多くても無駄になるので,レベルコピーでしかできなかったことは,来期からはできないプレイとして参考程度に書いています.サンドラを初めて握るサンドラ初心者を意識して書いているつもりなので,1枚1枚のカードをピックアップして解説することはせずに,あくまでもサンドラ初心者が進むべき方向性を示し,既にサンドラを使っているプレイヤーの理解を深めるきっかけになる程度の内容に止めています.新リミット後の構築について,まだまだ調整段階なので不十分なところもあると思いますが参考程度に読んでください.

2.1 サンドラの構築とプレイングの基礎(サンドラについての間違った認識,サンドラがKCカップ勝てた理由)

サンドラの構築とプレイングについて,まず一部のプレイヤーがおそらく間違って認識していることを2つ訂正しておく必要があると思うので訂正しておきます.

1つ目,「サンドラは事故る」は間違いです.たしかに1年前に流行したシンクロ召喚を軸にしたサンドラは事故率は高かったと思います.ただし,今のエクシーズ軸のサンドラはシンクロ軸と比較すればかなり事故率は低いです.そもそもOCGのサンドラの一部を実装してみたら,各カードの単体スペックが高かったせいでリンクス独自の構築や展開ルートができているだけでも異常ですし,リンクスのサンドラの最大展開ですらOCGと比較したら事故です.「サンドラは事故る」は言葉足らずで正確に問題点を表現できておらず,サンドラの事故率解消を第1の課題と考えるのは間違いです.サンドラの事故率の本質的な問題点は「サンドラ程度の事故率が許容できない環境が問題」ということです.間違っているのはサンドラがお呼びでない環境のほうです.
ここまでの説明で,今回のKCカップでサンドラが強かった理由に気づいた人もいるかもしれません.サンドラが一番勝てる環境は「サンドラ程度の事故率が許容できる環境かつサンドラの展開の最大値が他の環境デッキより高い環境」です.難しく言ってるように見えますが,要するに環境内で安定性あって一番強いことできるデッキが一番強いというものすごく当たり前のことを言っています.当たり前のことですが,実はものすごく重要なことで,よく言われる初動率や事故率,展開の最大値は環境依存のパラメータであり,普遍的な価値は一切ありません

サンドラの初動について考えてみましょう.3月の時点でサンドラの中で自分が一番高く評価していたカードはフォトンストリークバウンサーです.

無題

このカードは今回のKCカップでオノマトから何度も見たと思います.このカードはモンスター効果を無効にするという効果ですが,解釈によっては1ハンデスカードです.3月時点での環境は環境トップがディスドロセプスロ堕天使,青眼,次点で鮫,炎王,サイバー,呪眼,トラミッドなど,バウンサー1枚に対して月の書+展開札のような2枚以上の手札要求,もしくはバウンサーを踏み越えてワンキルする要求値が高くなっていました.手札要求値を上げると言うことは間接的に相手の展開にハンドコストを要求してるのに近い状態になり疑似ハンデスです.ハンデスという行為が初期手札が4枚のリンクスではOCG以上に強力です.3月の時点では,バウンサーを立てやすく,元から先攻耐えるための役割なのでその役割が十分に機能して,初動の要求が低かったのでサンドラで試行回数を稼げばKCカップ確実に勝てると考えていました.
4月にハングオンマッハが登場して状況は大きく変わりました.今回のKCカップでオノマトを握った人たちはよく理解してると思いますが,バウンサー1体立ててターン返した程度では簡単にワンキルもしくは制圧盤面作られて踏み越えられました.ここで大事なことは,バウンサーは同じカードなのにカードパワーが環境によって変化したということです.カードパワーが変化すれば当然ですが,要求される展開も変わります.計算すれば,デッキレシピから先攻バウンサー率は算出可能ですが,先攻バウンサー立てただけで勝利につながらないのでは,先攻バウンサー率という数値自体に全く意味がなくなったわけです.

画像26

もう1度自分が使ったサンドラの構築を貼っておきます.比較として今回見事金アイコンを取られたsovさんの記事も貼っておきます.

構築の違いはsovさんの場合は孤高除獣が1枚へって雷獣3枚目が旋律になってメイン22枚,EXがサンダルフォンのところが鬼岩城になってるところです.金アイコンラインまで行った上位帯のサンドラはライボルが抜けて代わりにクリボールの枚数が多くなっています.ここで,構築が微妙に銀ラインの自分と上位帯の構築に差異が生じている理由として,想定した対面のデッキと環境が違うところがあるはずです.おそらく上位帯は同調堕天使中心に,呪眼,オノマトあたりが多かったはずです.それに対して,自分は最終日に低レートからスタートしたので意識した対面は上昇堕天使です.サンドラで一番上昇堕天使を勝ちやすい展開と初手率を意識した結果が自分の構築です.
実際に確率を考えてみましょう.上昇堕天使に勝率を出すにはハングオンマッハの対策は必須なので,ライボルを引けた回数は勝率に大きく影響します.多く積みたいカードでもないので1枚のライボルを引き込みに行く必要があります.ここで,サンドラには雷鳥の効果で手札を引き直すことができるので「雷鳥の引き直し効果を使える回数」と「引き直し時の手札枚数」の2つの期待値の大きさが鍵となります.ここから導き出されるサンドラの対上昇堕天使の理想初動は手札孤高除獣+雷獣or雷電から盤面孤高除獣+雷獣と雷鳥素材のバウンサーを立てることです.この盤面では,後攻でハングオンマッハを立てられ,バウンサーを処理された場合は墓地に行くカードは除外されるので,雷鳥の効果を1回通しつつ雷獣で雷鳥をリクルートできるのでもう1度雷鳥の引き直しを狙って合計2回の引き直しが期待できます.バウンサーではなく,孤高除獣が破壊されれば除外ゾーンからカードを回収できるので「引き直し時の手札枚数」を稼ぐが達成できます.自分の構築,23枚孤高除獣3雷獣3雷電3のとき孤高除獣+バウンサーの盤面が初手で作れる確率は約29.7%です.一方,雷獣を2枚に減らして22枚のとき,確率は約28.2%です.約1.5%の差が生じます.試行回数を無限に稼いで確率を収束させるゲーム性の場合1.5%の差は無視できないと考えて雷獣は3にしていました(雷獣3の理由は他にもありますが,それはもう1つの間違った認識のところでまとめておきます).何度も言うようですが,ここで示している確率の数値自体には意味はあまりないです.重要なのは,重要視した先攻展開のゴールとその確率が4月を境に変化し,想定する環境によって構築は変化するということです.一般的に言われる初動率〇%は,いろいろな展開ルートを含んだ総合した数値を計算していると思いますが,それが勝ちに直接つながる数値でなければ特に意味を持ちません.「初動率が高い=強いデッキ」という考え自体が間違いです.初動率100%の最強デッキを教えてあげましょう.

画像28

最強ですね...?

まとめると,デッキ構築を考える上で一番気にしないといけないことは,想定される環境における安定性と上振れ率の2つのパラメータで表された展開の要求値です.サンドラが今回のKCカップで強かった理由はこの2つのパラメータがサンドラの実現可能範囲に収まったからです.自分のサンドラの構築と金アイコン取ったサンドラの構築で最終結果に差がついた原因の1つは,上振れの安定性のパラメータの振り方の差があったと思います.ハングオンマッハ以外を見るならレヴィオニアに比重を置いた方がよかったはずです.以上から,サンドラは事故る問題の真相は,想定される環境によって,許容できる事故率が変化するという視点が欠落していたというのが問題です.ここから2月のKCカップでサンドラが勝てなかった理由も見えてくると思いますが,2月の場合はサンドラの事故率が許容できる範囲に収まっていなかったからと考えられます.以上1つ目のサンドラについての間違った認識についてでした.

2つ目,「黄金櫃型サンドラと援軍型サンドラ」は別デッキです.デッキ名が同じだから同じサンドラデッキだと考えている人もいるかもしれませんが,2つのデッキは全く異なるコンセプトのデッキです.
黄金櫃の場合,デッキから任意のサンドラモンスターを除外して除外時の効果を使うことができます.ここで大切なのは黄金櫃と直接シナジーがあるのはサンドラということです.
援軍の場合,墓地肥やしはできますが一連のカード処理の中でサンドラの効果は一切使えず,援軍1枚だけでは直接サンドラの動きにつながることはありません.援軍と直接シナジーがあるのはカオスです.リンクスのカードプール内でサンドラ唯一のカオス要素が雷劫龍です.

画像27

逆説的な解釈になりますが,援軍サンドラの強さを最大限引き出すために一番強く使ってあげないといけないカードは雷劫龍ということになります.ここで,自分が雷獣を3にしてたもう1つの理由ですが,雷劫龍を軸にして戦うことを想定した場合必要になるのは雷獣です.サンドラギミックでアクセスできるカオス要素が削れるとパワーが格段に落ちてしまうため,蘇生制限を満たしていない雷劫龍を回収してあげる役割が主ですが,中長期戦を視野に入れたとき雷劫龍を雷獣で拾いたい場面もあります.今回のKCだと中長期戦に持ち込む展開はほとんどありませんでしたが,サンダルフォンを立てにいきたい場面が多かったので,雷劫龍素材にサンダルフォンを作ったあと,雷鳥ではサンダルフォンの効果で雷劫龍を拾えないのを雷獣で雷劫龍を拾いにいく動きがしたかったので雷獣3にしていました.

まとめると,黄金櫃サンドラはサンドラの動きを強く使って戦うコンセプト援軍サンドラはカオスを強く使って戦うコンセプトで2つは異なるコンセプトのデッキです.違うコンセプトのデッキなので,同じような感覚でデッキを回してしまうと,黄金櫃型はレヴィオニアが立てにくいので微妙,援軍型は初動が安定しないと感じてしまい,両者の強みを最大限活かせないプレイや構築に陥ってしまうので両者の強み・弱みを理解しておく必要があります.これに関しては次のサンドラの強み・弱みの項目でまとめておきます.

2.2 サンドラの強みと弱み(サンドラのアドバンテージの考え方)

サンドラの構築とプレイングの項目を読んで理解していただいたかと思いますがサンドラが一番得意な環境は「サンドラ程度の事故率が許容できる環境かつサンドラの展開の最大値が他の環境デッキより高い環境」です.サンドラは非常に展開の最大値が高いのが一番の強みです.OCGのサンドラのような明確なゴールはリンクスには用意されていないにも関わらず,非常に高い展開力があることから,各カードの単体スペックが高いことが分かります(4月のKCカップでもOCGとほぼ同じ展開ができるセプスロと真っ向勝負できていたくらいパワーは高いです).サンドラの強みから逆転の発想でサンドラの弱みが見えてきます.サンドラの弱みは「サンドラ程度の事故率が許容できない,かつサンドラ以上の理不尽を押し付けてくる対面」は苦手です.もっと分かりやすく言うと「自分より安定して強いデッキ」が苦手というものすごく当たり前のことです.ただし,間違えてはいけないことは「安定はするけど弱い」や「安定はしないけど強い」のようなどちらかの要素が欠けた対面にはサンドラは強いです.安定して強いを実現するのはかなり難しいということは4月のKCカップを走った人たちは実感できたと思います.

サンドラの強み,弱みをもう少し具体的に見ていきましょう.基本的にサンドラは初手によってその後の展開が決定します.雷鳥のマリガン以外で手札を入れ替える手段はないので,初手を見て対戦の流れを組み立てる必要があります.つまり「あるか,ないかを強要される」と弱いです.例えば,「初手から強い動きはありますか?」「ワンキルしますが手札誘発はありますか?」「ネクロバレーなどの対策札を使いますが突破手段はありますか?」など「〇〇に対してはの回答は✕✕しかない」という展開に持ち込まれると,全てのパターンに対応できるほどの柔軟性はサンドラにはありません.総じて柔軟性のなさをパワーで誤魔化してるデッキなので,構築とプレイに全ての対面の回答を求めるのには限界があり,その限界が特別高いわけではありません.ここから見えてくることは,2月のKCカップではサンドラは勝てず,4月のKCカップでサンドラが強かった理由の1つは「2月は強さだけでなく一定ラインの安定性が求められていた環境,4月は一部を除いて全てのデッキがあるかないかを問うデッキしかなかった環境」と微妙に違っていたということです.全てのデッキがサンドラと同系統だったため,展開の最大値の比較になり,展開の最大値が高いサンドラは強かったことになります.

ここまでは展開に注目してサンドラの強み,弱みを説明してきましたが,話題を変えてアドバンテージの取り方に注目して考えてみましょう.サンドラは基本的に「全ての行動が「1から1を生むアドの取り方」をするため,「1から2を生むアドの取り方」はできません.2つを比較して書くと前者より後者のアドの取り方のほうが強いように見えますが必ずしも両者に優劣があるわけではありません.
「1から1を生むアドの取り方」は例えば,雷鳥から雷獣を特殊召喚する動きが該当します.雷鳥から雷獣を特殊召喚しても1枚消費して1体のモンスターを召喚しているのでアドはプラスマイナス0です.雷獣が破壊されて後続を1体取ってきてもアドはプラスマイナス0で1が2に増えているわけではありません.この「1から1を生むアドの取り方」は言い換えれば「全ての行動がアド損しない」ということは1度使った罠は失うだけの罠ビには真似できないアドの取り方でサンドラは罠ビに強いの理由でもあります.
一方,「1から2を生むアドの取り方」の分かりやすい例はセプスロです.サンドラにも1から2を生むアドの取り方ができないわけではないので,いくつか具体例を挙げておきます.

・レヴィオニアの召喚時効果
戦闘によるモンスター破壊
雷劫龍の戦闘破壊時のサーチ
・孤高除獣の破壊時の除外回収効果
・(間接的に)ライトロード要素
・素のサンダードラゴンのサーチ効果

レヴィオニアが強いと言うのは周知なので説明は特に必要ないでしょう.戦闘と関連して雷劫龍の戦闘時の破壊時のサーチ効果を1から2を生むアドの取り方にピックアップしました.サンドラを使う上でプレイ面で差をつけるポイントとして,戦闘は全てのデッキが共通して行うことができるアドの取り方であるということを頭に入れておくのは実は大事です.レヴィオニアやエクシーズ召喚など強力な除去札で盤面を突破するのは上から引いた札を順番に叩きつけていれば誰でもできます.サンドラの動きだけではアドバンテージを失わないだけで,暴力的にアドを取ってくる対面にはアドで追いつかなくなります.だからこそパワーの高さを活かして戦闘でしっかりアドを取っていくことはサンドラを使う上で大事になります.セプスロ堕天使にサンドラが強かったのも堕天使に打点でパワー負けをしなかったためしっかり戦闘でアドを取り返せることができたのも理由の1つです.構築とプレイングの基礎の項目でもピックアップしましたが雷劫龍がサンドラの中で重要な役割を持っていることが分かってもらえたはずです.
孤高除獣の除外回収効果については,構築とプレイングの基礎でも触れましたが,ハンドアドバンテージを稼ぐ手段の乏しいデッキなので重要です.特に低速な罠ビやワンキルをしてこないバランス系統のデッキには強く,受動的なアドの取り方でもアドにつながるのが期待できます.レベルコピーのナーフであまり関係ないプレイですが,対面を見て孤高除獣をエクシーズ素材にするかしないかの判断をして手癖でスキルを消費しないことはレベルコピーサンドラで差がつくポイントでした.
ライトロード要素と素のサンドラを援軍型と黄金櫃型のアドの取り方の分かりやすい対比としてピックアップしました.ライトロード要素は一気に墓地アドを取りに行けますが,サンドラの動きに単体では繋がらないので,他のカードでアドに変換してあげる必要があります.一方,素のサンドラは単体で1から2にハンドアドと墓地アドを取りに行けます.この比較から分かると思いますが,ハンドアドバンテージを取りやすいのは黄金櫃型です.構築とプレイングの項目で,上昇堕天使に対しては雷鳥のマリガンを通すための手札枚数が重要だと説明しましたが,アドバンテージの取り方に注目した場合,上昇堕天使に有利なのは黄金櫃型ということになります.ではなぜ,黄金櫃型ではなく援軍型をKCカップで使ったかと言うと,自分には黄金櫃型をデッキとして完成することができなかったからです.黄金櫃型をデッキとして完成させたプレイヤーは実際に上位帯まで辿り着いていたので構築力に脱帽です.

以上で,サンドラの強みと弱みをデッキの特徴とアドバンテージの観点から説明してみました.単純にネクロバレーが弱点といった問題ではないということです.デッキの強みと弱みは構築やプレイング,対面相性を理解しやすくなるのでサンドラに限らず意識しておくと便利です.

2.3 各対面との相性と立ち回り

ここからは,具体的なデッキ名を挙げて相性と立ち回りをまとめていきます.ただし,記事を書いている間に新リミットと新弾が発表されてしまったので,レベルコピーサンドラが構築困難になっただけでなく,環境も変わってしまいました.まだ環境デッキも構築も定まっていないので4月のKCカップから継続して環境に居座りそうなデッキと新環境候補デッキをいくつかピックアップしてまとめます.自分自身まだまだ手探りなところがあるので参考程度に読んでください.
サンドラの強みと弱みのところでも説明しましたが,サンドラは自分より安定して理不尽を押し付けてくるデッキが基本的には苦手です.それを前提に以降は説明していきます.

2.3.1 TG

いきなり環境トップでもないデッキのTG?と思われたかもしれませんが,おそらく4月のKCカップで対戦していてコイントスじゃんけんのオノマトの次くらいにマッチングしたくなかったデッキです.シンクロフライトコントロール型とデルタアクセル型の2つのタイプがありますが,どちらの型もサンドラが得意な部類のデッキではありません.典型的な自分より安定して理不尽を押し付けてくるデッキだからです.特に先攻ハルバードキャノン後攻スターガーディアンからのワンキルはスキルで安定しており,サンドラ側のハンド次第で勝敗が決してしまうので「あるかないか展開」になりやすい対面です.

KC中はセットデルタアクセル型はスキルがデュエル開始時に分かるので見えた瞬間サンダルフォンを立ててました.

画像31

デルタアクセル型の場合,スクリューサーペントの釣り上げ効果が使えない場合,ほぼワンキルはできないので先攻1ターン目を耐えるためにサンダルフォンを立ててました.このサンダルフォンはかなり強く破壊耐性があるので死者への供物では突破されず,月の書をされても蘇生効果は使用不可が残存し,攻守が増減するため戦闘でも処理が難しいため,4月のKCカップでは対面を見てバウンサーよりサンダルフォンのほうが生き残れる可能性が高いときはサンダルフォンを出すようにしてました.サンダルフォンの例でも分かると思いますが,レベルコピーサンドラは苦手な「あるかないか展開」をEXに回答を仕込むことで克服していました.スキルナーフによって理不尽に抗う手段が1つなくなったので,構築に回答を求める必要があり,不利対面になったと考えています.
シンクロフライトコントロール型の場合,サンダルフォンを立てても召喚権使わずにグリオンガンドが召喚されてそのままワンキルされます.スターガーディアンをバウンサーで止める(自分は手札から特殊召喚する効果を止めていた)か誘発で耐えるかの展開になるので「相手が月の書があるか」「自分が手札誘発があるか」の「あるかないか展開」になりがちです.シンクロフライトコントロール型に関してはフォーカスフォースのほうがバウンサーよりは有効です.

画像30

ハルバードが立たない分,誘発で耐えてレヴィオニアを通す勝ち筋がある分デルタアクセル型よりは戦いやすいですが,安定性が格段に違うのに加えてスキルが開始時に分からないのでキャラからデッキを読みづらく勝率は安定しないと思います.TGだらけの環境になるとは考えにくいですが,環境シェア率が上がるとサンドラは苦しくなるので対策は考えていた方がいいかもしれません.

2.3.2 サイバードラゴン

サンドラはサイバードラゴンに有利というのが一般的な評価だと思います.おそらくですが,4月のKCカップでサンドラを握ったプレイヤー共通の認識な気がしますが,サンドラはサイバードラゴンには不利だと思います.正確に確率を計算したわけではありませんが,お互いが相手の先攻盤面を突破してワンキルもしくはリーサルを取りに行ける確率はサイドラのほうが高いはずです.コアを引くだけのデッキに見えて,ワンキル率と手札誘発貫通性能が高いのに加えて,先攻盤面をイングナルかレヴィオニアくらいでしか流せない場面が多く,サンドラ側の引き次第になりがちな対面です.コアゲートでも援軍レヴィオニアでも人は死にますが,この2つを見てもリミット2の援軍よりサイバードラゴン側のほうが安定してデュエルを終わらせられることが分かると思います.
4月のKCカップでは,対面サイバードラゴンに先攻を取ってしまった時はバウンサーよりサンダルフォンを優先して立ててました.月の書,供物でバウンサーを処理されてそのまま融合されて手札誘発が「あるかないか展開」に持ち込まれるか,手札誘発を貫通されて負けるパターンを回避するために,月の書と供物に耐性があるサンダルフォンを立ててました.サイバードラゴン側はサンダルフォンを処理した上でワンキルを取りに行くには,サイバーエンドとランページを立てる必要があり,ゲートとメインのサイバードラゴンモンスターを引くことが最低条件になります.この展開の場合,誘発1枚握っていれば耐えられ,最低条件がクリアできない時点でターンは返ってきます.これはバウンサーにもクリムゾンシャドーにもできずサンダルフォンにしかできない役割です.
TG同様,レベルコピーのナーフでサンダルフォンを立てづらくなったのであまり役に立たない立ち回りですが,サイバードラゴン対面のサンダルフォンは相手の盤面に直接干渉するだけでなく相手のデッキに腐り札が生じる盤面を作るのも制圧の1つだということを教えてくれます.リンクスはOCGよりデッキ枚数が薄く初期手札も少ないわけですから,デッキに対面や盤面によって腐る札があるのは重いです.
サイバードラゴンも規制が入ったので構築や安定性がどこまで変化していくのかまだ分かりません.レベルコピーのときとはまた事情が変わるかもしれないのでサイバードラゴンの今後の展開に注目しておく必要があります.

2.3.3 ハーピィ

ハーピィは,4月のKCカップでも何人かが結果を残して,さらにKC後にオラクルが追加されたことで今後の環境候補の1つだと思います.基本的にはサンドラが微有利だと思います.ハーピィが4月のKCカップであまり勝ち切れなかった原因として,ステータス関係なく単純な多面展開を踏み越えてワンキルするのが苦手だった点があると思います.KC中ハーピィで走られていたzeluさんの配信を見ていて分かったことですがセプスロを並べてエクシーズせずにターンを返すとワンキルを取れない場面がよくありました.そこで気づいてハーピィと思われる対面のときはなるべく先攻で多面展開をするようにしてました.後攻からの展開を耐えやすい対面だったので比較的安定して勝てていました.雷電やDDクロウのフリチェカードはSCのバウンス効果に必要な札を1枚多く要求できるので,雷電やDDクロウのチェーンが鬱陶しくても我慢して手札に抱えておくのも大事です.
比較的有利な対面ですが,新リミットと新カードの追加でサンドラは先攻展開は弱体化し,ハーピィ側は展開力を上げているためKCカップのときのような力関係とはいかないでしょう.特にハーピィはプレイヤー毎に構築が異なるため,流行の構築をスキル含めて注目しておく必要があります

2.3.4 炎王

炎王はかなり相性評価が難しい対面です.否定意見も多いと思いますが,レベルコピーサンドラは炎王には有利だったと考えています.「レベルコピーサンドラは」とあえて限定しました.というのも個人的な意見ですが,一般的にはレベルコピーサンドラは炎王に不利というのには疑問がありました.レベルコピーサンドラは炎王に不利だったのではなく炎王召喚獣が苦手だったが正しい見解だと考えています.対戦からの経験からしか言えることはないですが,ガネーシャと追加の妨害の質や量によって勝率にブレが大きかった,そもそも炎王側の展開が遅い,ガルドループを後から止める手段をサンドラ側が用意できた,むしろ一番きつかったのは手札誘発が「あるかないか展開」を強要してくる召喚獣が一番きつかったことから,ガネーシャビートと召喚獣が強いだけでガルドループがそこまできつく感じたことはなかったです.おそらくですが,レベルコピーサンドラは純炎王には勝ち越せるはずです.
ここまでは,レベルコピーサンドラと炎王の相性ですが,これもリミットで状況は変わることになります.基本的には新リミット後は微不利だと思います.スキルの規制でガルドループへの耐性は下がった上に展開速度も下がるので,遅いデッキに強い炎王には苦戦するはずです.ただし,炎王側のプレイヤー間の練度とデッキ理解度に差がある,サンドラの構築と採用される手札誘発次第になりやすい,サンドラの高速型構築が見つかる可能性など不確定要素が多いため必ずしも相性通りではないと思います.今後の展開次第なところが大きいです.

2.3.5 青眼

青眼も重くはないリミットがかかってしまったので,今後の環境次第では,見る機会が減るかもしれないです.基本的には5分だと思います.レベルコピーサンドラの場合は,青眼の狡猾とカウンター罠がきついパターンがあった,精霊龍+青眼+バックの盤面を作って銀龍に変わられるとイングナルやレヴィオニアで突破できなかった,青眼のワンキル成功率が低かったなどの状況から青眼とレベルコピーサンドラの勝敗は青眼のバック次第なりがちでした.おそらくですが,KCカップ前の評価でサンドラが青眼に有利か疑問を持たれていたのはサンドラ側より青眼側の事情が大きかったと思います.
しかし,旋律と銀龍がリミット1により,精霊龍展開が弱体化もしくは安定性を落とすことになります.精霊龍のパワーダウンは相対的なレヴィオニアのパワーアップです.一方で,レベルコピーのナーフでイングナルルートが難しくなったので孤高除獣展開からは捲れなくなったので1度動かれるとそのまま押し切られる場面も増えてくるはずです.お互い構築を見直す必要があるテーマ同士なので,高速化に走るか中長期戦視野に構築が変化するかによって事情が変わり,青眼が高速化に走るならサンドラが不利,中長期戦に走るならサンドラが有利,サンドラが高速化に成功するならサンドラ有利となる読みです.

2.3.6 不知火

罠デッキとして不知火をピックアップしました.罠デッキは環境に局所的ハリケーンを積んだワンキルデッキや環境の高速化によって評価の上下が激しいデッキタイプなのでどうしても相性評価は環境次第になるところが多いです.個人的な評価になりますが,レベルコピーサンドラは有利だった,今後は5分から微不利になると考えています.罠ビはサンドラのレヴィオニアが重くデモンズチェーンで対策していました.デモンズチェーンというカードがポイントで,レベルコピーの場合,対面罠ビはワンキルがないので先攻はレベルコピーを温存して,手数で罠を吐かせながらデモンズチェーンを使わせた後にレベルコピーでエクシーズにつなげ魔法罠ゾーンを埋めるという勝ち筋を狙えました.罠ビにとって罠は後続なので,3つしかないリンクスの魔法罠ゾーンが埋まることは致命的です.基本的に,イングナルもあったので,ゆっくり丁寧にプレイすれば罠ビにレベルコピーサンドラは有利でした.
ここまではレベルコピーサンドラの事情ですが,レベルコピーがなくなると罠を踏む手段が減ったので罠をまともに踏みます.デモンズチェーンが以前よりは有効札になるので,レヴィオニアを投げておけば勝てるといった単純な相性にはならないはずです.これまでのリンクスの汎用罠がテーマのインフレに比較して遅れているところが徐々に目立ち始めているので汎用罠のインフレの可能性も十分考えられます.低速罠ビが環境に増えるようなら,サンドラの強みを活かしやすい環境とも言えるのでメタゲームの流れをしっかり把握するのが大事になります.

2.3.7 超重武者

最後に超重武者をピックアップしておきます.なんで環境デッキでもない超重武者??と思われたかもしれませんが,おそらく超重武者はサンドラが最も苦手な対面です.ライディングデュエルイベントのときレベルコピーサンドラで何度も対戦しましたが一番勝てなかったのが超重武者です.勝てなかった理由として,イワトオシなどシンクロ召喚時に素材の効果がチェーンに乗るカードが多いためバウンサーを貫通されたのがきつかったのがあります.

画像31

フルモンなのにバウンサー踏み越えてワンキルしてきます.耐性持ちや耐性付与するカードも多い上に耐久性能が高いのでワンキルも中長期戦も持ち込みにくいのでかなり苦手なタイプのデッキです.サンドラ自体もほぼフルモンデッキなのでモンスターの単体スペックだけで相性が決まってしまうため,超重武者に有効な札が少ないため対処手段も限られてます.EXに深淵に潜む者を採用して対応してましたがレベルコピーだからできていた選択肢なのでスキルナーフ後は難しくなります.ダイレクトアタッカーで悪魔送りサンドラもケアしてくるので有効な対処方法は現状ないと思います.サンドラが環境シェア率を伸ばす場合は超重武者を握る選択肢も覚えておくといいかもしれません.

以上,サンドラの大雑把な対面相性評価と立ち回りをまとめてみました.新規カードや新環境のメタゲームを手探りな現状での評価です.現時点での評価は総じて新リミット後のサンドラは特別有利な対面もなく難しい対面も多いので,あえて握るデッキかというと微妙な気がします.ただし構築や環境が定まっていないので環境次第なところもあります.現状新リミット後のサンドラは総じて低速化の傾向にあります.低速化が悪いわけではないですが,高速展開と中長期戦の両方の戦術が取れた戦術の幅がサンドラの強みでもあったので,高速派と低速派の2つの流れに二分する方向になれば環境での立ち位置も変わってくると思います.サンドラの可能性を信じています.

2.4 他の採用候補カード

最後に4月のKCカップで採用を検討していたカードを不採用理由とともにまとめておきます.

1. 深淵に潜む者

画像32

炎王や月光など深淵を立てるだけで楽に勝てる対面のために採用候補に入れてました.KCカップの環境ではセプスロ堕天使,オノマトなど刺さらない対面が多く,有効な対面も呪眼くらいだったので,勝ち筋を広げられるようにランク4の枠はデッドリーシンを採用し,深淵は不採用になりました.

②恐牙狼ダイヤウルフ

画像33

ネクロバレーの対策やハングオンマッハの対抗勢力に低速罠ビート系のデッキが候補に挙がっていたので採用を検討していました.結果的には,オノマトやセプスロがそれらのデッキの環境シェア率を抑え込む形となったので採用はしませんでした.デッドリーシンと異なり自身を割ってしまうのでアタッカーとしての運用ができず,噛み合いでワンキルしてしまえば勝ちというゲーム性にもあってなかった気がします.

③No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー

画像34

4月のKCカップではランク4,5の枠が重要になっていたのでランク5の枠を検討する際に候補として挙げていました.ワンキル環境でワンキルを耐えてくれる破壊耐性は採用の余地ありましたが,援軍型ではランク5が立てにくいことや,効果にチェーン月の書で突破できてしまう,ワンキルデッキのオノマトの回答になっていない,サンダルフォンと役割が重複しているなどの理由から不採用にしました.金アイコンを取ったサンドラには採用されていたので環境の変化を読みながら採用してもよかったですが,最終日に一気にDPを盛ったので,あまり構築を見直す時間を設けられなかったのでは反省点です.

④No. 61 ヴォルカザウルス(+ガイアドラグーン)

画像35

オノマトとワンキル環境の回答としてBKベイルが流行ったときのために検討していました.後攻バウンサー棒立ちでターンを返してくるオノマトに対して,後攻ワンキルの要求値を下げるために孤高除獣でバウンサーを踏んだ後ヴォルカザウルス+ガイアドラグーンでワンキルを取るプランを考えていました.BKベイルもバーンでライフを削った後の直接攻撃は耐えられないのでヴォルカザウルスは回答になります.オノマト以外に有効な対面もなく,ベイルも流行せず,EXを2枠消費してまで採用する意味がなかったので不採用になりました.

⑤No. 25 重装光学撮影機フォーカスフォース

画像36

オノマトの素の打点がトレミスとバウンサーの2700打点,セプスロのヴェルズウロボロスが2750打点であり,堕天使など上級モンスターで戦うデッキが多かったので打点と効果ともに強かったので採用を検討しました.特にTGが増えていたのでTGのスターガーディアンを完全に無効化できるのはバウンサーにはできない役割です.EX枠に余裕あれば採用したかった1枚ですが,枠の関係から不採用にしました.

⑥ソードブレイカー

画像37

最近のサンドラではあまり採用されなくなったカードなので意外かもしれませんが,個人的には評価の高いカードです.サンドラの強みと弱みの項目でも説明しましたがサンドラは戦闘をしっかり通していくことは大切で戦闘に負けないソードブレイカーはそれだけで魅力がある1枚です.ソードブレイカーをしっかり通していってもアドを取り返せるゲーム性ではなかったので環境に殺された1枚です.低速環境になれば採用を検討してもいいかもしれません.

⑦月の書

画像38

ハングオンマッハの回答になり対面によっては相手ターンの妨害としても使えるので採用を検討しました.なぜか自分のアカウントでは未実装だったので不採用になりました.ハングオンマッハを対策するなら手札コストのサンドラが除外されてアドに変換できるライボルで間に合い,青眼やオノマト対面にも有効だったので結果的にはなくてもよかったのかもしれません.

⑧BKベイル

画像39

オノマト対面がコイントスゲー過ぎたので改善するために検討していました.2月のKCカップの時点のオノマトはオノマトピアを多めに積んでバンチョーの釣り上げからワンキルするルートが主流だったので,サンダルフォンが有効でしたが,ルートが最適化された結果ドドドバスター,ガガガキッドルートが主流になったため,サンドラの先攻展開はどのパターンでもオノマトに踏み越えられてワンキルされるようになってました.展開でカバーできない対面を札で見るためにBKベイルを候補に挙げていましたが,ベイル単体ではワンキルされるので展開+ベイルが要求され,仮に耐えても結局返せないパターンや,オノマト以外には有効札ではなかったので不採用になりました.環境のパワーが高すぎてベイル程度では耐えられるような環境ではなかったということです.

以上,他の採用を検討していたカードまとめです.メインの動きだけではカバーしきれない部分をEXで補助するデッキなので必然的にEXのカードを中心に検討していました.レベルコピーのナーフによってEXを触りづらくなるのでこれまでとは構築を根本から考え直す必要があるかもしれません.

あとがき

4月のKCカップは走っている間は全く楽しくなかったと感じていましたが,銀アイコンを2大会ぶりですが取れたので,3年間リンクスを続けても銀アイコンに届かなかったときに比べれば成長できているのかなと実感しています.環境とゲーム性が面白くないと感じても,環境と向き合った時間とリソース分は結果として返ってくるところはリンクスというゲームいいところなのかもしれません.
ここまで長い文章でしたが,最後まで読んでいただいた方の役に立つ情報が少しでも提供できていたのなら幸いです.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?