第2講 読む編~線引きについて~
なんで線を引くんだろう
皆さんどうもこんにちは。田中(国語の先生)です。
さて今回は文章読むときの作業の代表格である線引きについてお話ししたいと思います。
よく保護者の方から「うちの子文章読むときに、全然線を引かないんで、先生からも一言言ってください。」みたいなことをよく言われます。
今までに色々な子を見ていますが、確かにこちらの働きかけがないと線を引かない子は一定数存在します(働きかけがあっても全く線を引かない子もいますが・・・)。
そもそもなんで線を引く必要があるのでしょうか。
線を引くとどういうメリットがあるのでしょうか。
今回はその辺について話をしていきたいと思います。
①線を引くのは目的じゃない
まず声を大にしていいたのが、「線引きを目的にしない」ということです。
たくさん線を引くとそれだけ勉強した気になりますが、それはただの作業であり、勉強でも何でもありません。
また、線を引くことに集中しすぎて、中身が理解できていないというのは本末転倒です。
線を引くのは、あくまでも文章にメリハリを持たせるため、自分が文章の内容を理解しやすくするために線を引くのです。
そもそも「大事なところに線を引くのよ」と言っても、国語が苦手な子供からすると「大事なところ・・・?どこ?」という感じに大事なところがわからず、全部大切に見えてくるんですね。
だから、上記したようにとりあえず、全部線を引いてみるということになる。全部に線を引くから、結局線を引いていないのと同じことになる。さらに、なんか勉強した気がして満足する。という悪循環に片足をつっこみ始め、気づけば抜け出せず・・・。というのがこれを読んでいらっしゃる皆様なのではないでしょうか。
お気持ちはわかります。
しかし、繰り返しになりますが、「線を引くのは目的ではない、あくまで文章理解のための手段である」ということを肝に銘じていただきたいと思います。
また、重要なところの見つけ方は前回の内容や、各文章の読み方、各テーマのパターンなどがわかってくると、自然と重要なところがわかってくるようになります。
すると、線を引く場所がより明確になってくるため、線を引くことも苦ではなくなると思います。
あと、生徒からよく「線を引いていると時間が無くなる」と言われるのですが、それは、線を引いていたから時間が無くなったのではなく、「そもそも文章の理解が出来ていなくて時間がかかった」、「一問に時間をかけすぎた」などの理由があげられます。
また、慣れていないことを本番で実践してもうまくいかないのも当然です。
練習の段階から授業で習ったことや、私が説明していることを意識して、線を引くようにしましょう。
②線引きのアイテム
さて、一言で線を引くといっても、色々な線の引き方があります。
こちらをご覧ください。
これは実際に自分が文章を読む際に使用している線引きアイテムです。授業で解説する際も、このアイテムを使用して解説しています。
ただ、国語が苦手という場合、いきなりこれらのアイテムをすべて使いこなすことはかなりの難度です。使うアイテムに気が向きすぎて、正確に文章を読むことが出来なくなってしまいます。
まずは、ただの線やキーワードなどをまるで囲むぐらいの作業で良いと思います。
普通に線が引けるようになった段階で、より文章を理解できるように使うアイテムを増やすという方法がよいのではないでしょうか。
③日常で気を付けるべきこと
最後になりますが、日常生活で気を付けてほしいことになります。日常生活というか普段の学習ですね。それは、「色ペン、マーカーを多用しない」ということです。
授業でもよく見るのですが、音読の際などに色ペンやマーカーを筆箱からたくさん出して本人にはわかるようなルールで線を引いています。
例えば、主人公が話しているときは赤、その他の人物は青、事件出来事は緑、気持ちはピンクみたいな形ですね。
本人がわかるのであれば②で話した理由と同様にいい気もしますが、これがダメな理由は
・ペンの持ち替えで時間がかかる
・複雑なルールのせいで文章理解を阻害している
・色は分けられているが結局全部線を引いているのと同じ
・カラフルな作業なため、勉強した錯覚に陥る
などの弊害があります。特にこの傾向は国語が苦手な子に多い気がします。
各ご家庭で、国語嫌いを克服するために生み出した「苦肉の策」なのかもしれませんが、残念ながら効果はかなり薄いです。
話はそれますが、国語に限らず、勉強そのものが苦手な子の多くはやたらと「文房具にこだわる」子が多い気がします。
自分の好きな文房具で勉強するのはいいですが、「授業の度に筆箱を変える子」や「やたらと便利な筆記用具を使っている」という子は勉強している気がしているだけで、成績が上がらないという場合が多いです。
筆記用具をうまく使って学習効果を上げるという学習法もあるのは知っていますが、あくまで方法論の一つで絶対的な答えではないですし、キャッチーな内容なだけに食いつきやすい=売れるということは著者も編集者も知っています。だから、そのような方法論がいつの時代でも出版されますが、その方法だけに固執することなく、極力シンプルに学習を進めることを個人的には進めています。
また、授業中にやたらと物を落とすことが多い子も、成績が低いことが多いです。
上記のルールに従って一生懸命ペンを使い分けているうちに、ぽろぽろとペンを落とす。というようなことがあります。ペンを拾い上げるために、意識がそっちに向いてしまうと授業で大切なことを聞き逃すということになります。
心当たりのある方は、お気を付けいただければ幸いです。
さて、話を戻しますが、ペンをたくさん使って線を引くのを私が勧めない最大の理由が、
・テストで使えない
からです。
国語のテストで使える筆用具は、
・鉛筆(シャーペン)
・消しゴムの2点です。
当然ながら蛍光ペンは使えません(一部のテストでは使えるという話も耳にしたことはありますが)。
仮に使えたとしても、ペンを持ち帰るのに時間がかかります。蛍光ペンで何かメモ書きをするにしても見えにくい、書きにくいなどの弊害がいくつもあります。
すばやく文章理解のための作業をするのであれば、普段の勉強から鉛筆一本で線を引く練習をした方が効率・効果的だと思います。
普段の練習から本番を想定するのは、スポーツも芸事も勉強も同じです。
普段の学習から鉛筆(もしくはシャーペン)一本でどうにかする癖をつけましょう。
また、線を引く際ですが、「最短距離で引く」というのを意識してみてください。よく、行が離れたところを線でつなげようとするとき、他の行と自分が書く線が被らないように線を引こうとする子がいますが、その分線を引く時間が増えて、タイムロスにつながります。
1つ1つのロスは小さくても、積み重なると大きなロスになります。最初のうちは線が他の行にかかることを「汚くなるからいやだ」とか「見にくくなるからいやだ」というかもしれませんが、慣れてきたら気にならなくなります。
以上の3点が、線を引く際に注意してほしい3点になります。
次回はいよいよ物語文の読み方について触れていこうと思います。
では、また次回。