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それでも田んぼに立ち続ける理由

こんにちは、「はないろふくふく米」の福ちゃんです。
お米の市場価格が大変なことになっているようですね。
農業に対しての不安が一般の方々へ広がっているのを感じます。
そこで、今日は少し、私たち兼業農家が抱えるリアルな現状と、それでも続けている理由についてお話しさせてください。

田んぼの中で感じた絶望

お米農家を始めて今年で10年、手伝いをしていた頃から数えると15年が経ちました。
その間、田んぼに立つたびに「お米を作る」ことがどういうことなのかを、身をもって学んできました。
父から農業を引き継いだとき、損益計算書を見て驚愕しました。

「兼業農家では、黒字にするのがほぼ不可能。」

私の家の規模では、毎月お金を払ってお米を作っているのが現実だったのです。
土日も休みなく働き、赤字続き。それでも田んぼは待ってくれません。
日曜日の夕方、泥まみれの作業着で田んぼで作業しながら夕陽を眺めて、これから先ずっとこの生活が続くのかと思うと、絶望感が押し寄せた瞬間を、今でも鮮明に覚えています。

「農業は家族レジャー」だと思い直して

そのとき、ふと思いました。
「どうせ赤字なら、レジャー費だと思えばいいじゃないか。」
我が家の農業を、家族で楽しむレジャーに切り替えることにしました。
土日、田んぼで汗を流すのは、大自然の中で過ごす楽しい時間だと思い直す。すると、不思議なことに心が少し軽くなったんです。
そこから、ただ作るだけではなく、「自分たちが納得できる方法でお米を作ろう」と決めました。
農薬も、化学肥料も、除草剤も使わずに育てる。少し大変だけど、やりがいのある道を選んだのです。

仲間と共に歩む道

その結果、私たちの思いに共感してくれる大切な仲間が少しずつ増えてきました。
「はないろふくふく米」を選んでくださる方々がいて、私たちのお米を食べていただけることが、何よりの励みです。
赤字額も、当初の半分くらいまで減りました。ですが、それでもまだ赤字。お米農家としては厳しい現状は変わりません。
周りを見渡すと、跡取りがいない農家さんが増えてきています。専業農家さんに土地を集約し、大規模化していく流れを感じます。けれど、それがすべての答えではない気がしています。

若い人に「負担」を押し付けないために

お米農家として、この土地を次の世代に引き継ぎたい気持ちはあります。でも、それは「負担を押し付けること」になってはいけません。田んぼを未来に残すためには、ただ作業を引き継ぐだけではなく、もっと楽しくて、誇りを持てる農業の形を作っていく必要があると思うのです。

それでも、続ける理由

田んぼに立つたび、土の香りや風の音、稲が揺れる景色を見て思います。
「ここに立つことで、自分は何かを守れているのかもしれない。」
この土地でお米を作る意味を、これからも探し続けていきます。まだ道半ばですが、「はないろふくふく米」を選んでくれる皆さんがいるおかげで、少しずつ前に進むことができています。

2025年も、私たちの挑戦にお付き合いいただけたら嬉しいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

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