香港とは何か?
他の志合会のメンバーが深圳でのサービスに注目して書いているので、 私は広い視点から見た香港を扱いたいと思います。
1.香港と聞いて何を思い浮かべますか?
活気のある街、金融、キレイな夜景、美味しいご飯、一国二制度、ビジネスランキングのトップ、自由、ディズニーランド、トラムなのかもしれません。
私は香港と聞いて、テレサテン(鄧麗君)の「香港」が思い浮かびます。小さい時に聞いてから、とても印象に残っています。今回初めて訪れ、街並みを見ながら、人の様子を見ながら、香港とは何か?というリアリティを感じることができました。
「百間は一見にしかず」と言われるように、実際に香港の社会を見て、苦労話、背景にある社会の課題、人々の価値観などに触れ、香港の人々にとって大切な何かに触れることができました。
私たちは、渡航する前の限られた時間を使って勉強会を行い、そこで香港とは何か?と考えるキッカケがありました。今回は、そのリアルを知る前の段階について書いていきたいと思います。
2.IMF4条協議ペーパーから見た香港
IMFが出している4条協議を読んで、経済状況・社会状況を見ていました。ボヤッとしか分からない箇所が多くありましたが、以下4点が印象に残っています。
下記リンク先、「Full Text」にレポートがあります。
(香港だけでなく、各国の4条協議ペーパーはあるので、時間がある時にでも見てください。)
・債務が少ない。
政府債務がGDPの0.1%、そして2023年には歳入が香港ドル1.5兆円(GDPの41%)に拡大することが予想されています。そして、何よりも驚いたのはfiscal reservesが香港政府の2年間の支出に相当し、バッファーがかなりあることです。
・HKドルが米国ドルペッグ制であること。
米国ドルと連動させ、HKドルの為替変動リスクを避けていることをはじめて知りました。(勉強不足。。)そのため中央銀行はなく、HSBC、スタンダードチャータード銀行、Bank of China (香港)が香港ドルを発行し、相応の米ドルを預託していることもはじめて知りました。。
・高齢化社会への対応。
高層マンションだらけの香港ではどのように対応していくのか気になりつつ。労働資本の構造が変わっていくため、医療費、年金、社会保障費への支払いが中期的には構造的な債務をもたらす可能性があるようです。そのため、外国人と女性の雇用を拡大させていくことだけでなく、歳入を増やすために物品税、消費税、VAT税(付加価値税)の導入や増税、高所得者に対するPIT税(個人所得税)の増税に関して記載されていました。
・Fintechが言及されていること
21の銀行と10のe-walletで、香港ドルと人民元を24時間いつでもe-maiや携帯で支払いできるシステムが2018年9月に導入されているようです。そして、Fintech分野を促進していくことで香港がアジアにおいて金融の中心に立ち続けられる重要な分野だと書かれています。一方で、お金の流動性が高くなるため誤った使い方をされないよう政府が規制していくことが提案されていました。
3. 頭をよぎったこと
巨大な政府債務を抱える日本についてどう考えるべきか、日本は進歩を遂げているのだろうか、香港の4条協議ペーパーを見て感じました。香港の経済成長と政府債務は日本とは異なるものの、歳出削減を目指すのか、増税で対応していくのか、経済成長がもたらす税収の増加で対応していくのか、日本と似た課題があげられていて、興味深かったです。
Fintechという単語を最近よく聞くようになり、プラスのイメージがどちらかと多いかと思いますが、お金がこれまでよりも瞬時に移動することによって金融の安定性が損なわれてしまい、社会に大きなダメージを与えてしまう可能性があれば、政府による規制・監督の必要性を知ることができました。
(抽象的でボヤッとしてしまいましたが、お許しを。)
香港で暮らす方なら当然知っているOctopus Cardや地名が分からないだけでなく、その背景事情や事の経緯を理解するのには何年もかかるのだと思います。次回以降、香港で出会った方・所縁のある方にとっての香港とは何か?を紹介できればと考えています。