高齢者の目線で考えれば、深センと香港の違いと日本の未来が見えてくる?
この記事をご覧になってくれた皆さん。いきなりですが、もし外にいるのなら、周りを見渡してみてください。
そこが電車の中であっても、カフェであっても・・・・あなたが仕事中でない限りは、どこであっても、高齢者の方々が近くにいるはずです。
今回は、それが当たり前ではないと気付かされたということをお伝えしたいと思います。
私は普段医療や介護の関係の仕事をしています。先日、志合会のスタディツアーに参加して、深セン・香港のいろいろなサービスを体験してきました。
それぞれ、日本でも同じようなサービスがあるなあというものあれば、なんで日本にはこれがないんだろう・・悔しい、というものまであったのですが、高齢者という視点から、両都市と日本の違いを考えてみました。
1.高齢者のいない街、深セン
香港の中心から地下鉄東鉄線でだいたい1時間。落馬州駅のイミグレを越えて深センの街に出ると、まずはその近代的なビルと商業施設、計画的な緑化に目を奪われます。日本でいえば新宿西口や武蔵小杉に似ています。
深センの中心福田区には「皇庭广场」というショッピングモールがあり、平日であってもたくさんの人で賑わっています。しかし、その多くは20代~30代であり、杖や歩行器をつかっている高齢者が一人もいない、おじさんやおばさんでさえほとんどいないのです。
詳しい統計はいつか調べてみたいと思いますが、新センは経済特区が設置されてから数十年で急激に発展した都市あり、高齢化率は何と2%程度とのこと。日本の高齢化率が約28%、東京都新宿区の高齢化率でさえ約20%であることを考えれば、驚異的な数字です。
こちらはアリババが出資するスーパー「盒马鲜生」の入り口。若者ばかりです。
街を歩いていても高齢者がいない・・このことに一度気が付くと、ずっと違和感が消えません。一方で、
「若者しかいない街だからこそ、「盒马鲜生」の無人レジや、Mobikeなどのレンタル自転車サービス、QRコードで注文ができるレストラン、スマホで配食ができるウーラマなどがサービスとして成立するのではないか?」
と感じました。
(深センで見つけた様々なサービスについてはこちらの記事もご覧ください)
一般的に、高齢者は若人に比べて新しいことを受け入れるのが苦手、とされています。現役時代にパソコンやスマホを使わなかった方が、いきなり渡されても中々使いこなすことができない、というのはこれも原因の一つのようです。
深センでの無人レジや決済アプリでの買い物は確かに便利でしたが、日本での導入を考えるときには、どんな人が使うことになるのか、主な消費者像を考える必要がありそうです。
2.日本とよく似た香港
今回のスタディツアーでは香港も訪れました。香港の印象は、ほぼ「東京と同じ」です。ご高齢者もどこにでもおり、個人的にはとてもホッとしました。
いわゆるハイテクなサービスは鳴りを潜め、決済も日本と同じように現金が主流でした。なお、日本のsuicaのように、「オクトパスカード」を購入して現金をチャージすれば、電車やタクシー、コンビニやカフェでの買い物に使えました。
さらに、港鉄(香港中に張り巡らされている地下鉄)やほぼ24時間営業しているバス、市街を走るトラムなど、公共交通機関が非常に便利なのも親近感が湧きます。
香港の平均寿命は男性が約82歳、女性が約88歳で、日本よりも上です。高齢化率は約17%。香港の中心・中環(セントラル。私は銀座を想像しました。)や空港には、医療保険の広告が多く、住民の健康や医療のニーズはかなり高いのではないかと思います。
写真は香港市街。大型の広告はサプリや医療機関(美容整形など)のものが多かったです。
3.高齢化×消費者向けサービスの可能性
今回は深センや香港の高齢者事情から消費者向けサービスについて考えてみました。もう少し時間はかかりますが、PCやスマホを使っている世代が高齢者になれば、日本の消費者向け・高齢者向けのサービスの様相はガラリと変わるのではないかと思います。
現金を持ち歩かなくてもよく、おつりのやりとりも不要なスマホ決済、直接買い物に行く必要がない配送サービス、調理の手間がなくなる配食サービスなど、いわゆる「ハイテク」な消費者向けサービスは、見方を変えれば高齢者にとっても非常に便利な要素にあふれています。
日本と中国。それぞれの国で、地方で、高齢化社会はどのように進歩をとげていくのでしょうか?今後、もう少し詳しく考えていきたいと思います。