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せきしろ、又吉直樹 著「まさかジープで来るとは」 2011年2月18日

 おはようございます。自称「詠んでみたくなった女」神垣です。

 最近、私が注目している

 お笑い芸人が「ピース」です。

 男前で熟女好きな綾部祐二くんと
 読書家でサッカーでインターハイ出場経験のある又吉直樹くんの
 コンビ。

 好きな作家に太宰治を挙げる又吉くんが
 文筆家のせきしろさんと共に詠んだ
 自由律俳句集が今日ご紹介する
 「まさかジープで来るとは」です。

 自由律俳句とは、五七五の形式を破り、自由な韻律で詠む俳句のこと。

 タイトルがまさにそうなんですが、
 ほとんど詩というか、つぶやきに近い感じのものです。

 本書には、二人が詠んだ自由律俳句607句と
 散文15篇が収められています。

 例えば・・・

 せきしろ「足がつりかけるが見事回避」
 又吉「コタツで足がつった事実を隠した」

 せきしろ「空いてる方の手で抱き締めている」
 又吉「全ての信号に引っ掛かりながら早く逢いたい」

 こんな感じの自由律俳句が
 ふんだんに散りばめられていて
 クスッと笑ったり、
 ムムッと考え込んだり
 あるある! と共感してしまうのです。

 散文の中でおかしかったのが
 又吉くんの書いた
 「味噌汁の椀がツーと動くのを父と見た」の頁。

 息子の彼から見ても少し変という
 昔、沖縄から競輪選手を目指して大阪にやってきた経歴を持つ
 お父さんの話。

 父親の「ちょっと変」さ加減が
 自分の父にも重なって、ほのぼのしつつ笑ってしまいました。

 ぽつっとつぶやいたひと言が
 相手をひどく笑わせてびっくりすることがありますが
 そういうどぎまぎ感が詰まった句集(?)です。

 たまに取り出して、ページをめくりたくなる一冊。


 せきしろ、又吉直樹 著「まさかジープで来るとは」

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 しかもこれ、続編というか二冊めなんですよね。
 一冊めは「カキフライが無いなら来なかった」

(VOL.1443 2011年2月18日配信 メールマガジン あとがきより)

追記 20210629
この文を書いた4年後に彼が芥川賞を受賞するとは思いもしなかった。

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