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「こそあど」言葉は口語でも分かりにくいのに、況んや文章においておや
「こそあど」言葉はできるだけ使わない――。
「こそあど」言葉とは、「これ、それ、あれ、どれ」などの指示代名詞ですね。
これらをできるだけ使わないことは、文章を書くときの鉄則です。
文芸作品やエッセイなどでは敢えて「こそあど」言葉を使って表現を豊かにすることがありますが、一般的な記事ではできるだけ使わない方が良いでしょう。
ところが会話では「こそあど」言葉はかなり頻繁に出てきます。
日常会話では雰囲気やお互いの共通認識が前提としてあるので特に気にはなりません。
しかし、ビジネス上の会話では、やはり使わない方が良いですね。
ヘタをすると、お互いにわかり合えた気になっていたのに、実は勘違いだったということで事故になりかねません。
話が曖昧なときは、お互いに自分の都合の良い方に引き寄せて解釈してしまいがちだからです。
拙著『副業×定年準備×生きがいづくり 人生を変える! 50歳からのライター入門』でも、何を言っているのか分からないコンサルタントのインタビュー例で紹介しましたが、インタビューに対する答えでこれだけ「こそあど」言葉を使われると、大変に苦労します。
そんな感じのものを、こんな感じにすると、あんなふうになっちゃう。だからオレは、そんなんじゃダメで、こっちからドーンとぶつけてみて、ガツンと分からせることで、ストンと腹オチさせるんだよね
これ、本当にコンサルタントの方が語っているのです。
話し方は情熱的で、口角泡を飛ばして語りますので、コンサルを受ける経営者の方も、つい、圧倒されて納得させられた気になってしまうのでしょう。
しかし、後で原稿を書かねばならない私や編集者さんからは、「そんな感じってどんな感じですか?」とか、「あんなふうになっちゃう、ってどんなふうになるんですか?」と質問の嵐です。
理路整然と具体的な名詞と数値で話す優れたコンサルタントの方も多くおられるのですが、私の肌感覚ですと、3人に1人くらいは、「ちょっと、何言ってるかわからない」と首をかしげたくなる怪しげなコンサルタントがいます。
まぁ、以上は苦労話とはいえ、笑い話でもありますが、校閲しているときに他のライターさんから「こそあど」言葉が多様されている原稿を見ると、頭を抱えます。
たとえば以下の様な原稿が上がってきます。
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テックタッチを導入することで、カスタマーサクセスの自動化が行われ、その労力を軽減することができます。しかし、これによりカスタマーサクセスが自動化されることは顧客満足度を下げることではありません。むしろ、それにより基本的な製品説明などの簡単な説明の手間が省ける分、より高度で顧客に寄り添ったハイタッチが実践できるようになるのです。
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この文章は一部主語も省かれているので非常に分かりにくくなっています。ただでさえ、専門分野の記事で分かりにくいのに、なおさら分かりにくくなっています。
そこで以下の様に修正します。
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テックタッチを導入することで、カスタマーサクセスの自動化が行われ、マネージャーの労力を軽減することができます。しかし、テックタッチによりカスタマーサクセスが自動化されることは顧客満足度を下げることではありません。むしろ、テックタッチにより基本的な製品説明などの簡単な説明の手間が省ける分、カスタマーサクセスマネージャーはより高度で顧客に寄り添ったハイタッチが実践できるようになるのです。
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少しくどい印象もありますが、大分分かりやすくなったのではないでしょうか。
ということで、「こそあど」言葉の頻度には注意したいですね。