「魅せる」はもはや普通に使われているからいいのかな?
先日、ある記事を校閲していたら、「魅せる工夫も必要です」なる表現が目にとまり悩んでしまいました。
「魅せる」はスポーツ・芸能ニュースの見出しや、書籍のタイトルにも普通に使われている表現ですが、実はこのような動詞はありません。
えええええっ!?
と驚かれるかもしれません。実際、使われてますからね。
と、きりがないのでこの辺りで止めておきますが、もはや「魅せる」が使われるのは日常茶飯事です。
ところが、驚きの事実かも知れませんが、日本語に「魅せる」はありません。「魅了する」と「見せる」を合成したか、「魅力的に見せる」を短縮して「魅せる」という表記が生まれたのでしょう。
さらに驚いたことには、ATOKでも「みせる」と入力すれば「魅せる」と変換されることです。
ところが「魅」の動詞は「魅する」なのです。文法的には「他動詞サ行変格活用」で、以下の様に活用します。
しかし、もはや「魅せる」は市民権を得ていて、「他動詞下一段活用[サ行]」と考えた方が良いのかもしれません。
すなわち(正しくはありませんが)、以下の様に使われるようなったのだと。
形式名 活用形 下接語例
未然形 み・せ {ない}
連用形 み・せ {ます/た}
終止形 み・せる {。}
連体形 み・せる {とき}
仮定形 み・せれ {ば}
命令形 み・せろ {。}
み・せよ
結局、私は赤字を入れませんでしたが、皆さんはどう思われますか?