有名な「美しい水車小屋の娘」問題。引っかかる人は多い
文筆業を生業としている人たちの間では、もはや古典的なほど有名な「美しい水車小屋の娘」問題があります。
もはや古典的問題とはいえ、いまでもこの罠にはまっている文章をよく見かけるので取り上げてみました。
あらためて紹介すると、「美しい水車小屋の娘」問題とは、美しいのが「水車小屋」なのか「娘」なのか不明確だとちうことです。
修飾語は被修飾語の直前に置く方が分かりやすいという原則で解釈すれば、美しいのは「水車小屋」になりますが、もしかすると「娘」かもしれない。
読者が男性であれば、願望として「娘」が美しいと解釈しがちでしょう。
この問題を解決するには「読点(、)」を入れれば良いのですね。
「水車小屋」が美しいのであれば、
――
美しい水車小屋の、娘
――
「娘」が美しいのであれば、
――
美しい、水車小屋の娘
――
となります。
しかし、この場合は本来は修飾語の位置をずらした方がより読みやすくなります。
――
水車小屋の美しい娘
――
ですね。修飾語はできるだけ被修飾語の直前に置くという原則です。
さて、以下の例文も2通りの解釈が可能です。
――
彼は歌手への夢を諦め、事故で亡くなった友人の墓を訪れた。
――
歌手への夢を諦めたのは「彼」か「友人」か。
歌手への夢を諦めたのが「彼」であれば以下の様に直します。
――
彼は歌手への夢を諦めた。そして事故で亡くなった友人の墓を訪れた。
――
歌手への夢を諦めたのが「友人」であれば以下の様に直します。
――
彼は、歌手への夢を諦めた友人の墓を訪れた。友人は事故で亡くなったのだ。
――
さて、もう一つ。
――
アキラのような個性のない人では、オーディションには受からないだろう。
――
個性のないのは「アキラ」か「人」か。
「アキラ」に個性がないのであれば、
――
個性のないアキラのような人では、オーディションには受からないだろう。
――
「人」に個性がないのであれば、
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アキラのような個性があれば良いが、そうではない人であればオーディションには受からないだろう。
――
ですね。
それでは、以下の文はどうですか?
――
彼は笑いながら遊んでいる少女に近づいた。
――
さて、笑っているのは「彼」か「少女」か――。