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#11 ベルンシュタインから考える⑤『動作の起源について』その3

前々回は生命の誕生について、前回は横紋筋の発達についてでした。

今回は、脊椎動物の進化についてみていきたいと思います。



脊椎動物の進化


横紋筋の出現により、①感覚による調整②体肢の発達、という2つの進化が起こります。


①感覚による調整については、『運動制御について』で説明した通りです。


高度に発達した動物は、感覚が動作に先立つとされます。
逆に、下等な動物では、動作によって感覚が提供されます。

高等動物が感覚による調整を必要としたことで、感覚野が発達していったのです。

続いて、②体肢の発達についてです。


下等な軟体動物には体肢がありませんでした。

しかし、進化の段階で水中だけではなく、地上や空中に進出していく過程で、体肢を身につけていくことになります。

       ツチクジラの骨格



徐々に生物が増えていくと、生存をめぐる競争と闘争が生じてきました。

餌が限られてきた時代には、弱い動物を食べる肉食動物が現れます。

そして、弱い動物は自己防衛手段(早く走る足、保護色、硬い肌、角など)を発達させていきました。

結果として、肉食動物は餌となる動物を進化させたのです。




餌を捕まえる側にも、捕食される側にも、最適な手段となったのは、豊かで完全な運動能力でした。

どちら側の生物であれ、運動課題はますます複雑になり、ますます多様化していき、予期せぬ一回限りの問題がどんどん増えていきます。


さらに、動物個体の生活経験を蓄積し、記憶し、処理し、新たな課題を解決していくのです。

こうして、大脳皮質は発達し続けていきました。



爬虫類王国の全盛と凋落


爬虫類は地上と空中を制した初めての生物でした。

このため、競争相手が存在せず勢力を拡大させていきます。

ちなみに、爬虫類は見事な平衡感覚を身につけたとされます。




しかし、爬虫類は、その後に現れた鳥類や哺乳類に完敗することになります。

その理由として、以下の点が挙げられます。

①身体のサイズ

爬虫類はあまりにも大きすぎました。
神経の伝達速度は、体の大きさには関係しません。
体長が大きくなればなるほど、感覚刺激が脳まで伝わるのに時間がかかったのです。


②経験の伝承

爬虫類は卵を産み落とすとそれっきり面倒を見ません。
それに対し、哺乳類は家族などとの生活の中で、教育や経験を通し、知識を蓄積していくことができました。


③錐体路系の発達

爬虫類が錐体外路系だったのに対し、哺乳類では錐体路系が発達しました。

少し難しい言葉ですが、錐体路系は脳から四肢へ細かい命令を伝える経路のことです。

この錐体路系の発達により、動作は特定のパターンだけに限定されなくなりました。



このようにして、爬虫類の王国は崩れ落ち、脊椎動物である哺乳類が繁栄していったのです。



今回まで、3回に渡り『動作の起源』について考えていきました。


次は、『動作の構築について』見ていきたいと思います!




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