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Adobe After Effectsについて

After Effects(アフターエフェクツ)は
アドビシステムズが販売している

・映像のデジタル合成
・モーション・グラフィックス
・タイトル制作
・アニメーション制作

などを目的としたソフトウェアです。

映画、テレビ番組、CM制作、アニメ、ゲームの映像パートなど
さまざまな映像分野に広く使われており
After Effectsが使われている映像を見ない日はない
といっても過言ではないでしょう。

「A.E.」「AE」「Ae」(えーいー)と略したりもします。
またアフターエフェクトと呼ばれることも多いですが
正しくはアフターエフェクツです。

ここではAEの持つ大きな機能を4つ
参考作品や映像を交えながら紹介していきます。


1|キーフレームアニメーション

手書きの作画や、コマ撮りアニメーションなどは
すべてのコマ(フレーム)を1枚ずつ作っていきます。

一方でキーフレームアニメーション
1コマずつ作るのではなく
ポイントとなる、いくつかのコマを設定していき
それ以外のコマをコンピューターが計算し作っていく手法です。

3DCGのアニメーションなども
基本この方法で作られています。

コンピューターが自動で作るコマがあるため
作画よりも作業量が少なくなることが多いですが
素材がうまく動くように、いろいろな事前準備が必要になります。

“Mork” by Phil Borst
キーフレームアニメーションで作られたモーショングラフィック作品

"Dumb Ways to Die” by McCann Erickson
キーフレームアニメーションで作られたキャラクターアニメーションのCM


2|コンポジット(画面合成)

複数の要素を組み合わせることをコンポジットと呼びます。

たとえば

・人物と背景をそれぞれ別のカメラで撮影し、1つの映像として組み立てる
・背景と、人物のイラスト、タイトル文字を、1つの映像として組み立てる
・実写の人物とCGのキャラクターを、1つの映像として組み立てる
などなど

また他のソフトウェアで作った3DCGなどの映像も
多くの場合、一度映像として書き出した後に
再びAEで読み込んで画面効果や色調整を加えて
最終的な仕上げを行います。

"秒速5センチメートル” by 新海誠
「君の名は」や「天気の子」を監督した新海誠の作品でもAEが多用されています。キャラクターのアニメーションは作画になりますが、作画素材、背景素材、グラデーションなどのフィルター素材など複数の素材を重ねて、最終的な画面を作っていくのがAEの役割です。

"Tango" by Zbigniew Rybczynski
1981年に作られたズビグ・リプチンスキーの名作。まだコンピューターで映像を扱うことが難しかった時代に、アナログで実写を合成した作品です。
もちろんAEは使われていません。

「Tango」はニコニコ動画でもアップロードされています。
画質は低いですが、コメントがなかなか面白いので
こちらで見ても良いかもしれません→「Tango」@ニコ動


3|エフェクト(特殊効果)

エフェクトは画面に加える特殊な効果です。

たとえば

・暗い画面を明るく調整する
・画面の一部を光らせる
・画面に水の波紋のような歪みを加える
・画面の一部から煙を発生させる
などなどなどなど、、、

AEには非常に多くのエフェクトが入っており
加えて、プラグインと呼ばれる拡張機能によって
さらに便利なエフェクトを追加することも可能です。

簡単に派手な効果を得られるものもあり、最初は多用しがちですが
安易に使うと逆に安っぽく見えてしまいます。

エフェクトは調味料のようなものだと考え
元々の素材を、より活かすようなイメージで使うように心がけましょう。


4|3Dレイヤー

コンポジットの応用編のような機能です。

基本のコンポジットは、素材と素材を
重ねるようにして、ひとつの画面を作っていきますが
そこには「奥行き」というものがありません。

あるのは素材同士の前後関係だけです。

この平面的な世界に
「奥行き(Z軸)」を加えたものが3Dレイヤーです。

画面に「奥行き」を加え
さらにカメラやライトの機能も持たせることで
空間的な表現が可能になりました。

ただしAEの3Dはあくまで画面合成の延長です。

いわゆる3DCGから連想するような
立体的なキャラクターやオブジェクトを扱うことはできません。
空間は三次元になりましたが、扱える素材自体は二次元のままです。

"LEON - ‘2033’” by Thomas Blanchard
実写の素材を3D空間上に構成したミュージッククリップ

まとめ

ここではAEの持つ大きな機能を4つ紹介しました。

1|キーフレームアニメーション → 動かす
2|コンポジット(画面合成) → 重ねる
3|エフェクト(特殊効果) → 装飾する
4|3Dレイヤー → 空間表現

本授業ではAEの習得をひとつの目標に設定しています。
しかし、半期の授業で制作する2つの課題だけでは、ソフトウエアに慣れるだけで手一杯で、ほんの入口程度の技術を使うだけで終わってしまうかもしれません。それゆえカリキュラム終了後に難しいソフトウエアだった割には使用するメリットを感じにくい可能性があります。
よって先にこの授業でAEを採用している理由を説明しておくと、それは応用性の高さです。ここで参考に上げた作品のような幅広い表現が可能であること、私自身20年近くの映像制作キャリアの中でほぼ全ての作品で使っていること、そして映像業界としても現状AEを代替できるソフトは無いと言っても過言でない状況です。
つまりAEは技術の汎用性、応用性、伸び代が非常に高いソフトであることが採用の理由です。みなさんの将来がどのようなものになるかまだ誰にもわかりませんが、映像に関わる人生であれば恐らくひとつの強い武器になるはずです。なかなか難しいソフトではありますが、楽しんで是非モノにしてください。