シロイヌナズナの交配
シロイヌナズナの交配について。
要するに、雄しべの花粉を雌しべに受粉させるだけなのですが、シロイヌナズナの花は小さく、ほったらかしにしておくと自家受粉するので、交配は意外とめんどくさいです。
用意するものは精密ピンセット(私は#5を用いています)、実体顕微鏡、シャーレ、セロテープ。
1. まず、1.5 cm程度と3 cm程度の長さの異なるセロテープを用意し、貼り合わせます。
2. あらかじめこれから交配しようとするつぼみ周辺の花や鞘を取り除きます。
3. 2で用意したつぼみを1のテープでシャーレに固定し、実体顕微鏡下にセットします。
写真の左端や花びらの見えている右端は、すでに自家受粉していると思われるので取り除きます(顕微鏡で雌しべの先を確認して、黄色い粉がついてるものはすでに受粉しています)。
また、中央の明らかに小さい蕾も取り除きます。
先っぽに白い花びらが見えるか見えないかくらいの花の蕾が交配に適しています。
4. 顕微鏡で観察しながら、ピンセットで萼片、花弁、雄蕊を取り除きます。
写真中央のものは雌しべの中央部に花粉がついていますが、てっぺんに黄色い花粉がなさそうなので、一応残しておきます。
5. 交配したい植物から雄しべを持ってきて、雌しべに擦り付けます。
6. 黄色い花粉の付いた雌しべが確認できれば出来上がりです。
7. 茎を傷つけないようにそっとテープを剥がし、糸やテープでラベルします。
湿度がある程度保たれていればそのままで1週間くらいで鞘が伸びてきますが、ラップなどで覆っておく方もいるようです。
シロイヌナズナの交配は、交配後に鞘が伸びてこないことや種子ができていない、自家受粉してしまう、発芽が悪いなど、トラブルも多いので、できるだけ数をこなしましょう。
Tipsとしては、雄しべに用いる植物が抗生物質耐性や生物発光、蛍光などのマーカー遺伝子を持っていると、次の世代(F1)を播種した際にマーカーで選抜できるので、交配が成功しているかどうかを簡単に確認できて便利です。
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