テクノビットを用いた植物細胞の包埋、切片の作製
# 試薬
FAA(ホルマリン:氷酢酸:70% EtOH=1:1:18)要時調製
EtOH
テクノビット7100予備浸漬液 (liquid : hardner I powder=100 ml:1 g)
包埋液 (予備浸漬液:hardener II=15:1)
# 1日目
固定液(FAA)にサンプルを入れます。
FAAの液量は、試料組織の20倍程度のボリュームが望ましいようです。
シロイヌナズナの葉や花芽のサンプルの場合、5 mLのアシストチューブを用いています。
20分間バキュームで脱気します。
サンプルが浮かんでこなくなるまで数分脱気後(泡が消えるまで,突沸注意)、バルブを閉じて20 min放置します。もしくは数分脱気後バルブを閉じ、ポンプをはずした後、すぐにバルブをリリースし、サンプルが浮かんでこなくなるまでその操作を繰り返します。バルブのリリースは緩やかにしないと組織を痛めることがあります。
O/N(一晩、FAAに沈めたまま放置します)
# 2日目 (5-9 h)
<脱水>
FAA溶液を棄てて、徐々に以下の濃度のEtOHに交換します。
60% EtOH
80% EtOH
90% EtOH
99.8% EtOH x2
100% EtOH x2
各30 min 〜 1 h
<前浸漬>
100% EtOHを、100% EtOH : テクノビット7100予備浸漬液=1 : 1溶液 (1ml)に交換します。
1 h
<予備浸漬>
テクノビット7100予備浸漬液に交換します。
O/N
# 3日目
<包埋>
包埋液を準備 (予備浸漬液:hardener II=15:1)
包埋液でサンプルを包埋 重合硬化、室温で O/N (1-2 hで硬化)
# エッペンの蓋など、小型の容器に包埋します
# サンプルの角度調節は根端組織の切断時等では確認しづらいので、複数の根をひとつのブロックに包埋するなどの工夫が必要です。
# 空気を遮断することが重要です。
# ぬめりが残るときは60℃ 2 hで処理をするとよいようです。
# 4日目
ヒストブロックへの固定を行います。
包埋したサンプルのトリミングを行なって、瞬間接着剤でなど木片などに固定し、ミクロトームで切断して切片を作製します。この際に自分の切りたい向きに合わせてサンプルを固定する必要があります。
カットした切片をスライドガラス表面に載せて水で展伸し、空中で空気乾燥を行います。
その後、アニリンブルーやサフラニンで染色し観察を行います。
GFPやRFPで蛍光観察を行う場合、通常の固定液 5%FAA(ホルマリン:氷酢酸:70% EtOH=1:1:18)やEtOHを用いると、蛍光が抜け落ちてしまいます。固定したい場合には、4%PFA (パラホルムアミド)溶液で固定します。
通常、GFPなどの蛍光タンパク質を植物で発現させた場合、固定化後は切片を作製せずにClearSee®️などで透明化を行い、共焦点顕微鏡などで細胞内の観察を行います。