JAWS PANKRATION 2021 ~振り返り~: イベントキックオフから現在までやったこと
この記事はJAWS PANKRATION 2021〜振り返り〜イベントでの整理記事となります。今後、JAWS-UGや他イベントでの参考になれば良いな思い記載しています。また織田主観での記載ですので、内容・スケジュール等で間違いがある可能性がございますが、その点はご了承ください。
●自己紹介
織田 繁(Oda Shigeru)です、JAWS-UGでは以下のような活動をさせて頂いております。
・JAWS-UG 初心者支部運営(2020/01-)
-> 1-2ヶ月に1度の定例勉強会
・JAWS SONIC 2020運営(2020/07-2020/10)
-> 24時間オンライン国内イベント運営
・JAWS DAYS 2021運営(2020/10-2021/04)
-> 約4,000人規模オンラインイベント運営
・JAWS PANKRATION 2021運営(2021/06-2022/01)
-> 24時間オンライングローバルイベント運営
●大規模イベントで何をやったのか?
JAWS SOIC 2020、JAWS DAYS 2021では基本的にはWEBサイト周り、SNSでのPR対応をさせて頂いておりました。
JAWS PANKRATION 2021では
・WEBサイト周り
・SNSでのPR周り
・タイムテーブル上での登壇者の配置決め
・登壇者様との連絡
・ポケトーク周りの整理作業
・JAWS-UG事務局との連携
などを対応させて頂きました。もちろん一人で全部やったのではなく、各チームに調整してお願いするような立ち位置での作業です。
JAWS PANKRATION 2021の思い出としては「タイムテーブル上での登壇者の配置決め」ですかね、21時-23時の定例会議が終わった後に、吉江さんと採択が決まった登壇者様72名を"希望登壇スケジュールを叶えつつ"、"登壇者の登壇順を日本2:海外1となるように"パズルを組んでいました。終わったのは深夜3時ぐらいで、タイムテーブル1つでも「吉江さんの思いがあるんだなぁ」と話を聞きながら一緒に対応したのが思い出深い物です。
私がJAWS PANKRATION 2021で気にしていたのは、自分が気が付いた範囲でやれる雑務は対応するです、逆にタスクを抱えすぎて、溢れ始めてしまったのが反省点でもありました。
●このブログで何を伝えたいのか?
大きなイベントを3つ経験して、「上手く行った点」、「再検討すべき点」、など多くの経験が得ることができました。
織田視点ではありますが、
・こういうスケジュール構成であれば良かったのかも知れない。
・このタスクは意外と時間が掛かるなど
ハマりどころを整理し、次回イベント企画者にお伝え出来れば嬉しいです。
●【前提】チーム
まずはイベントをするには仲間集めが必要です。特に大規模イベントではチーム構成し、運営活動を進めています。各イベントにおいて、後述するチームが全て必要なのではなく、イベント構成によってチームの有無が変わります。注意点としてはチームが無いから作業としてないのではなく、大なり小なりの作業は発生しています。
・運営全体でタスクを捌くのか
・チームとしてタスクを捌くのか
・個人でタスクを捌くのか
の違いとなります。
・実行委員長/主催者
運営全体のタスク割り振り、スケジュール管理、メンバーからの相談事項など対応する役割です。チームに割り当たってないタスクを刈り取る、所謂、雑務係になることが多い役割でもあります。一番のタスクはイベントの方針・イメージ・思いを運営チーム内・外に強くアピールすることです。これがないとチームが稼働出来ないと強い感じます。また、タスクは山ほど振ってきますが、抱えすぎず周囲へ頼れる人が上手くイベント仕切れる方かと考えています。
・宣伝班/PR班
イベントは実施するだけでは成功しません。コミュニティ内は勿論の事、コミュニティ外についてもイベント周知が必要です。イベントの方針・思い、何を登壇者・参加者に提供できるのか、また、具体的な参加方法を伝える必要があります。SNS、WEB、メディア、など様々な媒体があると思います。これら媒体にイベントの熱意をPR出来るか、そのような企画が作れるかがPR班の面白い所だと感じます。
なお、イベント登録参加者数は「受付開始日」と「イベント開始直前」に増加します。受付開始日は過去JAWS-UGのイベントに参加された方に登録頂いています、イベント開始直前は新規メンバーとキリ番狙いなのか、JAWS-UGコアメンバーが多いです。新規メンバーを増やす為には中旬ぐらいにコンスタントにPRを行う必要があります。
・WEB班
イベントのPRを行う為にティーザーサイトを作成します。イベントのタイムテーブルや登壇者情報、プライバシーポリシー、等々。周知に必要な情報を記載します。サイトに掲載する情報はWEB班だけが記載するのではなく、各運営メンバーが情報を記載します。注意点としてはWEB班以外が更新がしづらいという仕組みを避けることです。更新のやりずらさは、PR数の減少に繋がります。
サイトの選択肢としては何点か取ることができます。
・Shifter
-> サーバーレスでのWordPressです。JAWS SONIC 2021、JAWS DAYS 2021で利用させてもらっています。コミュニティイベント支援プログラムがあり、無料かつサーバー管理をせずにスグに作成することがメリットです。デメリットは複数人でのメンテナンスが難しく、タイミングを取り合ったり・運営メンバー間のコミュニケーションが必要になることです。
・Note
-> このブログを記載させて頂いているサイトです。JAWS DAYS 2021で利用させてもらっています。PRしたい情報はタイムテーブルなどの静的な情報 と SNSにUpdate情報を流したいなどの動的な情報があります。 動的な情報はPR班が更新することが多いのでWEB技術など必要なくても、楽に更新出来るメリットがあります。デメリットはティザーサイトがnoteだけでは作成が難しいので、コンテンツが分かれてしまうことです。
・AWS Amplify
-> React、Angular、Vue、Next.js、Gatsby、Hugo、Jekyll などの最新のウェブフレームワークでWEBサイトをホスティングすることが可能なAWSサービスです。JAWS PANKRATION 2021で利用させてもらっています。自由に構築することが出来るのがメリットです。また記事公開をする前にプレビューする機能があるため、運営メンバーや登壇者に事前確認をしてもらうのが非常に楽なこともメリットです。一番のメリットは登壇者の情報、運営の情報をコードを組んでしまえばCSVファイル取り込みが出来ることでした。
ShifterやNoteでは登壇者毎にhtmlファイルを作成する必要があったので、レイアウト変更があった場合に全登壇者に同期対応するのが負担でした、大量データを一括処理出来たのがメリットです。(ShifterでもPHPの技能があればできた?)デメリットはAmplifyやWeb技術にある程度の知見がある人、tryしたい人がいることが前提となります。JAWS PANKRATION 2021はAmplifyやWeb技術に触れたことがない人もいましたが、AmplifyにTryすることにしました。サーバーレスHeroが運営にいらっしゃいますしね。
なお、ディザーサイトで何が見られているか?という、タイムテーブルです。タイムテーブルに記載するタイトル、登壇者、レベルが決まれば公開を早めることをオススメします。
・デザイン班/グッズ班
イベントの方針、イメージが決まった時に次に必要となるのがロゴです。イベントの方針・思いをアピールする為のツールとして、ロゴを作成することになります。ロゴはWebサイトのヘッダー画像、TwitterやFacebookのヘッダー画像、グッズのプリント画像などなど、多岐に渡ります。
グッズはTシャツ、ステッカー、タオルなどなどを作成し、運営メンバー・登壇者・スポンサーに提供します。グッズ毎にロゴデザインが変わることもあるため、デザインは一つで終わりではなく、印刷を考えたレイアウト変更・配色の調整など、デザイナーとしての技量も必要になります。
ロゴやグッズが出来るとこれまで言葉で語っていた方針や思いがカタチになるので、「イベントやっているな!」というテンションになり、モチベーションが上がります、イベント後も思い出になりますので、グッズ作成はやった方がイベントは楽しくなるかと思います。
・配信班
JAWS-UGでの通常のイベントではZoom、ChimeでのTV会議を行い、その内容をYoutubeに配信することで、視聴者に見てもらっています。しかし、Youtubeが不安定であったり、理由も分からずアカウントがBANされる可能性も否めません、分単位で動くイベントを守る為にも、JAWS-UGでは配信基盤を独自で作成しています。
また、登壇者の入れ替わり時間は5分としています、5分としている理由はそれ以上の時間は「視聴者を飽きさせてしまう。」との判断からです。飽きさせないコンテンツの配信をする為に分単位での作業を配信班は動いてくれています、詳細については、別途配信班のLT資料で補足したいと思います。
配信班はオペミスがないように、細かい手順書も作成頂いています。
・動画班
イベントに参加してくれる方々の写真や動画を収集して、幕間に流す動画にします。フリー素材のBGMを探し、ジングルでカッコよく読み上げてもらう為にjingle.jp様に発注をしています。その前に、読み上げてもらう言葉を考えるなどを行います。デザイン班もそうですが、動画班もセンスが必要と感じますが、いち早くプロの仕事を見れるのは嬉しい物です。
・サポーター班
(JAWS PANKRATION 2021では対象外です。)
JAWS DAYS 2021ではサポーター制度を設けるようにしています、スポンサー様からは幾許かのスポンサー料 または 何かしらサービス提供をご提供頂いています。JAWS-UGからはサポーター様にセッション登壇枠、グッズ、ロゴ掲載を提供しています。
サポーター班が難しいのは大きくは2点です。1点目が運営チームは基本的にイベントが終われば解散するので、スポンサー料は使い切りが原則です。このため、イベント運営の必要経費はいくら必要か、必要経費を捻出するためにスポンサー枠を何枠必要かのバランスを取る必要があります。2点目がコミュニケーションコストです、サポーターとのやりとり、情報収集、お金の管理、必要に応じて契約手続き、100以上の企業・個人とのやりとりについて、漏れのない事務作業が必要となります。スポンサー料を頂いたが、その後連絡が取れない。などコミュニケーションが中々取れないツラさもあります。光の当たる作業ではないと思いますが、重要な班です。
スポンサーの種類としては以下があります。
・企業スポンサー
-> 企業から提供頂くスポンサー料、JAWS-UGから提供する登壇枠・グッズ物によって、「セッションサポーター」、「ロゴサポーター」など種類を分けています。オフラインであれば「ブースサポーター」も出来ます。
・個人スポンサー
-> ディザーサイトにスポンサー様の情報を掲載することをしています。オフラインであれば、「優先スペーススポンサー」などもできますね。
・アプリケーション・サービススポンサー
-> 企業様が出しているサービスを無償or割引で提供頂く場合に発生するスポンサー枠です。毎回発生している物ではなく、イベントを盛り上げるサービス・効率よく運営を回すサービスがあり、タイミングが合えばスポンサー様になって頂いています。
・メディアスポンサー
-> JAWS-UG on ASCIIを始めとしたメディアの方々にイベントの告知を手伝って頂くのは非常に大きなチカラになります。これもタイミングが合えばになりますが、告知をして頂くスポンサー様になって頂いています。
・セッション/スピーカー班
24時間イベントであれば、24hで72セッションを組むことが出来ます。セッション班はこの数が埋まるように登壇者を募集する必要があります。応募依頼にあたるのがCall for Proposals(略 : CfP)です。イベント概要・方針、プライバシーポリシー、セッションで話して頂きたいテーマなどを記載して、登壇者・セッション内容を募集します。CfP応募者が予定数集まれば、セッション内容を確認し、タイムテーブルに割り当てて行きます。登壇をお願いする方にはティザーサイトに載せる情報やグッズの送り先住所の収集を行います、72セッションもあれば約100名に連絡を行うので、数的にも大変ですが、返信を忘れてしまう方・迷惑メールフォルダに入ってしまった方、など、順調にコミュニケーションが取れない場合があるので、Twitter、FaceBook、github、知人のツテなど取り得る限りの方法で応募者に連絡を仕掛けます。(海外の方になるとさらに大変。。。)こちらも光の当たる作業ではないと思いますが、重要な班です。
登壇募集要件にSlackに参加してもらう事にして、Slackでコミュニケーションを取る方が楽かなぁと感じます。
・特別班(ポケトーク班/oVice班/zendesk班/ハンズオン 班/懇談会班/etc班)
運営計画当初には予定していないですが、運営を進めていく中でやりたい企画・必要なサービスが発生します。これを班として作成しています。ポケトーク班であれば、国際イベントとして英語と日本語をリアルタイム翻訳するために、ポケトークを利用する案が立ち上がりました、この案が本当に使えるのか、調査・検討する班になります。既存運営メンバーで回すこともあれば、臨時で仲間を募集することもあります。
●【実績】スケジュール
・スケジュール規模
過去のイベントの動き始めから、イベント開催までの期間を整理してみました。Sonicは吉江さんが開始時点で叩き台が整理されていたので除きますが、おおよそゼロから開始するのであれば20週前後はイベント準備期間として必要になります。
・JAWS SONIC 2020運営(2020/07-2020/10)
・吉江さんが動き始め?東京支部Slackで会話 :2020/05/21
・キックオフ :2020/07/12
・イベント開催:2020/09/13-14 【動き始めから115日=16週】
・振り返り:2020/10/20【動き始めから152日=22週】
・JAWS DAYS 2021運営(2020/10-2021/04)
・キックオフ :2020/10/23
・イベント開催:2021/03/20【キッキオフから148日=21週】
・振り返り:2021/04/09【キッキオフから168日=24週】
・JAWS PANKRATION 2021運営(2021/06-2022/01)
・キックオフ :2021/06/19
・イベント開催:2021/11/20-21【キッキオフから154日=22週】
・振り返り:2022/01/21【キッキオフから216日=31週】
・スケジュール と タスク
PANKRATIONがどういうスケジュールで進んだのか再整理します。全タスクを記載すると膨大になるので、大きなタスクだけを記載しております。
資料の見方として
・横軸が週単位の時間軸
・縦軸がタスク
を表現しています。
01週目:キックオフ/相談会
「こういう企画やりたい。」、「イベントをこう進めたいけど、どう思う。」という相談会のようなキッキオフが実行委員長/主催者から動き始めます。この時のメンバーは過去イベントのメンバーであったり、JAWS-UGコアメンバーに周知される等、様々です。
<確定事項>
・イベント開催することが確定
・イベント開催日が確定
<宿題事項>
・イベントの思い/方針を纏めた資料作成
・宿題事項の調査など
02-06週目:下準備期間
イベント概要資料を作成します。粗々でも構いませんし、この時点では未記載の物もあると思いますが、方向性がブレない為にも、この期間で整理していた方が後戻りが少ないと感じます。
・イベントの趣旨は何か?
・これまでのイベントとは何が違うのか?
・イベントは何時間やるのか?
・シングルトラックかマルチトラックか?
・役割は何が必要か?
・グッズは何を作るのか?
・PRの仕組みは?
・ロゴのイメージは?
要はこの後に、各チームにタスクをお願いする内容の整理する期間だと思っています。
記載していませんが、ポケトークの下調べ等、他メンバーで動ける所は動き始めています。また運営メンバー募集も開始しています。
07週目:運営メンバーに説明
実行委員長/主催者に作成して頂いた資料をもとに運営メンバーにイベント方針を説明します。賛同してくれたメンバーにはチーム単位に役割を持って頂きます。
<確定事項>
・運営メンバーが決定
<宿題事項>
・チーム単位にタスク整理
・サブタイトルの確定
・CfPの内容整理
08週目:サブタイトル決定/告知開始
JAWS PANKRATION 2021のサブタイトルUp till downですが、運営メンバーで意見を募り投票で決まりました。意味は「一日中(世界中で)さわごうぜ。」です。サブタイトルも決まりましたので、SNSに宣伝開始です、さぁ後戻りが出来なくなったぞ!w
09-13週目:CfP準備、プライバシーポリシーの準備
CfPを作成するに当たり問題点になったのが国際対応したプライバシーポリシーとは何か?でした。参加する登壇者の国のプライバシーポリシーを調べる必要があるのか?などなど議論しましたが、他国際イベントなども参考にさせて頂き、様々な方にご協力を頂いた上でサイトに記載しているプライバシーポリシーとなりました。
さて各チームで作業をしているとは言え、本番まで9週間となりました。「あれ、間に合う?」という状況になり、ゴールまでのスケジュールを再設定しました。
・ポケトークの練習を登壇者にお願いしたいので、遅くても本番1週間前にはグッズ(ポケトーク、Tシャツ、ステッカー、アクリルスタンド)を届けたい。(W21)
・日本登壇者には届ける1週間前には発送したい(W20)
・海外登壇者には届ける2週間前には発送したい(W19)
・発送するために、登壇者の住所情報を収集したい(W19)
・発送するために、グッズが手元に欲しい(W19)
・グッズ発注から作成まで短くとも2週間は必要(W17)
・グッズ作成のために、ロゴやデザインが必要(W16)
・発送するために、登壇者の住所情報記載依頼をする(W18)
・登壇者を確定し、連絡をする(W17)
・CfPの応募申し込みを1ヶ月とする(W13-W17)
今はW13です、ギリギリであることが分かり、如実に忙しくなってきました。
14-20週目:物を送るのは大変
トラブルやスケジュールの多少の変更はあれど、概ね予定通りに進めることが出来ました。短い期間でもスケジュールを守って頂いた運営メンバー、登壇者の方々には感謝しかありません。本当にご協力ありがとうございました。
実はグッズが予定よりも遅く、海外の方に至っては前日に届く方もいらっしゃったのですが、ポケトークを関税に通す手続きなどで非常に時間を要しました。コロナで物流が細くなっていたり、そもそも関税の時間が読めない所もあるので、注意が必要です。
●【整理】こんなスケジュールなら行けるかな。
織田が考えた標準的なイベントスケジュールプランです。
●最後に
このブログを見て、「イベント運営って大変そう」と感じられた方はいらっしゃるかと思います、基本的には大変です。しかし、祭りごとが好きな人、視野を広げたい人、コミュニティでの仲間が欲しい人は是非やって頂きたいです。大変さを覆すほどのコミュニティの楽しさがそこにはあるので、私は3回も大きなイベントを運営しているのだとおもいます。