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診断薬開発のフレームワーク【序】

なぜ診断薬開発のフレームワークが必要なのか
30年余り診断薬の事業開発や製品開発に携わってきて、今は自社開発だけでなく、いろいろな会社の開発を手伝っている。
そこで気が付いたことがある。
診断薬領域は思った以上にニッチで、事業構想から製品開発、臨床開発から薬事、そして販売までを総合的に理解している人がほとんどいない。
もちろん、診断薬を開発している会社には専門家がいるが、上流から下流までを経験している人は少ない。
自分の中の当たり前が、そうでないことに気が付いた。
ここにきて、反省しきりである。

わたし自身は、会社に入るまでは全く社会性のない理系人間だった。
40年前に大学の研究室(ゼミ)に配属され、3年間の研究生活の中で研究計画の立て方やまとめ方、議論の仕方を学んだ。
大学卒業後に入ったメーカーでは、新規事業の探索の仕方やロジックの構築方法、プレゼンの大切さ、社内外の人たちとの連携の取り方を学んだ。
30年をかけ、系統立てて「体外診断用医薬品」事業に関して包括的に学んできたおかげで、診断薬開発が生活の一部になっている。
知らず知らずのうちに、後発品はもちろん、新規であっても一般的な診断薬開発であれば、だれにでもできるものだと思うようになっていた。
聞かれれば、ヒントを渡す。あとはよしなに。

しかし、現実は違った。ようやく気が付いた。
部分的に知識や経験がない人だけでなく、何が分からないか分からない人もいるんだと。
そういう人には、ヒントを出すだけでは問題は解決されない。

であれば、開発の基礎的なフレームワークを事前に共有することで、相談時の意思疎通が容易になるのではないか。
そういった経緯で、診断薬開発のフレームワークをまとめることにした。

目的
診断薬事業におけるシード探索から大きな売り上げを上げるまでの流れをいくつかのパートに分けて解説することで、開発から販売までの全体像を具体的につかんでもらうことを目的とする。
①実行すること、②考え方、③気を付けることでまとめる。

目次
1.シード探索
2.事業戦略
3.事業計画
4.製品開発
5.製造
6.品質管理
7.薬事開発
8.臨床開発
9.販売
10.製品ライフサイクル