たとえば子供の頃ってさ。味覚が狭いというのもあるし、どこでだって気に入った好きなものを食べたがるじゃないすか。親とかに「せっかく来たんだから~」って言われても、なんかわからん名物とか別に食べたくない。「名物=うまいもの」ってそもそも知らないし思ってないし。「そんなことよりハンバーグ食べたい」つって鰻屋とかで駄々こねてね。それが正直な気持ちだった。
いや結局のところ、今でもそうなんじゃないか。
そのへんの感覚って大事だと本当に思う。「名物だから」で思考停止させるよりも「いま食べたいものは何か」のほうに敏感でいたい。食べ物に限らず、小説とか漫画とか音楽とか映画とか、そういうのもさ。サブスクで特に背景も知らず名物(=名作)であることも知らないまま「こういうのがいい」って享受できる時代なわけですし。
で、うまいなーって思うものが名物だったとあとで気付いてさ。そして「なぜ名物なのか」を調べていくと、結局は誰かがうまいと思ったものだったんだ、みたいなことに行きつく。そうやって手に入れていく歴史もまた、いいと思う。何の話だったっけ。