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【耳読note】『爆弾』呉勝浩

2022年本屋大賞で4位、第167回直木賞の候補作となったミステリー小説。
Audeiblで本を選ぶときは「本屋大賞」「月間人気TOP30」などから探しているが、この小説は、何の予備知識もなくポチして耳読した。

「スズキタゴサク」という中年で小太りの男が、酔って自販機を壊し逮捕されるのだが、取り調べの中で「爆弾の予告」をしてく。第2の爆弾、第3の爆弾…。霊感を感じるとして次々と予告通りに爆発がおきる。刑事との心理クイズ、のらりくらりとしたスズキタゴサクのうんざりするふてぶてしい話し方…。小説の半分以上が「取調室」での刑事との会話で成り立っている。

前半の心理クイズに少し退屈さを感じたが、後半からのテンポの良さと思わぬ展開に、一気に耳読してしまった。

「人の命を平等に思えるか」「社会的地位で人を判断していないか」「本音と建て前はないか」「こんな世の中なくなってしまえと思う心はないか」…。誰しもが心の中で「爆弾」を抱えているのではないか。

スズキタゴサクに一部共感してしまう自分もいたように思う。

Audeiblで耳読して思ったが、特にこの作品の星祐樹さんのナレーター。スズキタゴサクや複数の刑事のセリフの声色に聞き入ってしまった。しかも声がいい!

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