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打ち込んだこと、趣味【リゾートバイト、スノーボード編①】

年齢を聞かれて答えるとまぁまぁの確率で「ええ〜!見た目若いですね」と言ってもらえるんだけど、そんな時に決まってこう返す。

「好きなことだけやって生きてますから、苦労してないんですよ」

そう、音楽以外でも俺は多趣味だ。飽きっぽいが故の多趣味とも言えるんだけど、音楽だけは何故か、ある10年間を除けば飽きずに続けている、むしろイレギュラーパターンであり今となっては「趣味」の範疇を遥かに超えているのだけど。

ある程度の年齢になれば人というものは家庭、出世や地位、名誉、金を手にしたり、しようとする。俺はそれらを獲得することをほとんど捨てて(というか興味がない)自分の好きなことに金や時間を費やしてきた。

そんな話もたまにはしながら俺の人となりも知ってもらおうと思っているんだけど、今回はその中の一つ、スノーボードとスキー場で働いた時の話をしようと思います。

なぜスノーボードを始めたのか

俺はスキーがブームだろうが、学校で希望者のみのスキー教室があろうがウインタースポーツには全く興味がなく「リフトで登って滑り降りてを繰り返して何が楽しいんだ」と思っていました。25歳くらいまでスキーもスノーボードもやったことがなかった。そんな俺がなぜスノーボードを始めたか。簡単です。

当時お付き合いしていた方がスノーボードが好きだったから。

共通の楽しみがあっても良いなと。ちょうどその頃は音楽にも飽きていた時期でもあった。まずは船橋にあったザウスというね。屋内スキー場へ行ってみました。道具はレンタルしてね。初めての時はそりゃ転倒の記憶しかないですね。笑

で、ちょっと時系列忘れたけど、ガーラ湯沢へ行った。やはり屋内じゃなくスキー場へ行ってみたいということで。そこで俺がやられたのが、素晴らしい雪山の景色でした。あぁ大自然に囲まれてこんな素晴らしい遊びがあったんだ。滑るよりもそちらに魅了されたのをよく覚えています。そこから道具を揃えて、ザウスでもレッスンを受けたりと練習を繰り返したんです。

ところがそこから数ヶ月・・・そう、交際というのは必ず別れが訪れる(あくまで経験と持論です)。その彼女はバイトが一緒だったんだけど、同じバイトの別の男に乗り換えられてしまったのだ。で、そいつがスノーボードが上手いらしかった。バイト内のグループで滑りに行ったりしていたのを横目に「俺は絶対にこいつらより上手くなってやるぜ!」と思ったのと、そのバイトはもうそんな調子だから続けたくないし、リフレッシュしたいなと。そんな思いが重なり、スキー場で住み込みで働く、所謂リゾートバイトをすることを思い立ったのです。

スキー場で働くことに

求人雑誌を買って白羽の矢が立ったのが群馬県の某スキー場。なぜそこが良かったかというと、寮が個室だったから。ああいうのは大体4人部屋みたいなのが多かったんだけど、そこは個室で、寮費がかからなかった。こんな良い条件は他にあまりないと思います。面接は新宿でした。求人のためにわざわざ東京へ出てくるんですね。無事合格!その時はもうすでに27〜28歳でした。その歳でスノーボードを本格的に始める。リゾートバイトに出る。これはもう遅咲きにも程があるのです。ただ、俺の曲げられない信念。

「人生は遅い早いじゃない。やったかやらなかったかだ」

12月の、20日ちょっと前くらいかな。まず実家の車で寮へ荷物を運び込みました。友達に手伝ってもらった。で、一旦東京へ戻り、数日後に電車でスキー場へ向かい、入寮しました。俺の働く部署は「索道」と言って、いわゆるリフト係です。リフトやロープウェイ、ゴンドラなどを引っくるめて「索道」というのです。勉強になった!男はほとんどが索道に配属となる。女性も数人いたけど、女性はチケット売り場やお土産やさんになることが多い。もちろん友達や知り合いなんて一人もいません。そのスキー場のバイトはリピート率が高いらしく、すでにコミュニティが出来上がっていたりしました。

まずスキー場が開かれる前に訓練があります。リフトが止まってしまった際に搬器(人が座ってるやつね)から人を降ろす訓練です。これは必須ですね。まぁまぁ大変な訓練です。搬器の下まで歩いていって、長い棒を伸ばしてロープで吊ってゆっくり降ろすみたいな感じ。あとはリフトの乗降口に雪を集めて整えたりといった肉体労働をやりました。俺はそれまでせいぜいパチンコ店ぐらいしか重労働をしたことがなかったので最初はなかなかキツかった。スコッパーという、除雪したり整えたりするデカいスコップを使うんだけど、雪を扱うって本当に体力いります。

で、スキー場の営業が始まります。クリスマスちょい前あたりかな。後から思った、このスキー場を選んで良かったポイントがもう一つ、ナイター営業があったことです。昼間しかやっていないスキー場の場合、仕事がある日は仕事で1日が終わってしまい、滑れるのは休みの日だけになってしまうのだけど、ナイターがあるそのスキー場は2交代制だったから、日勤の日は仕事を終えてナイターを滑る。ナイター番の日は朝起きれば昼間に滑れる。従業員の滑走が禁止されていた土曜日と日曜の昼間以外は自由に滑れるから、ほぼ毎日練習ができたのです。

とにかく練習

まずスノーボードが上手くなるという最大の目標があります。その時はまだまだ初心者。ラッキーだったのは、早い段階でスノーボードスクールのスタッフと友達になれたこと。一緒に滑って基礎からめちゃくちゃ教えてもらうことができた。

スノーボードにも「級」というのがありまして。一般的なのはJSBA(日本スノーボード協会)が認定する「バッジテスト」と呼ばれるものを受けます。合格すると使い所のわからないピンバッジが貰えるからそういうネーミングなのかな?6級か5級からあるけど、3級くらいまでは簡単すぎるので2級から受ける人が多いです。1級は、2級を持っていないと受験できない。まずこのシーズンが終わるまでに2級を取ろうという目標を立てました。

本当に毎日毎日滑りました。日勤の日は16:30くらいに仕事が終わるんで、食事をして17時くらいから営業終了の22時まで。ナイター番の日はゆっくり寝たとしても遅くとも10時には滑り始めて16時くらいまで。本当に可能な限り滑った。ゲレンデ内でも「めちゃくちゃ練習してる男」と見られていたと思う。

達つぁんとの出会い

スキー場のバイトは本当に色々な人がやってくる。俺のような入寮組ばかりではないし、スキー、スノーボードをやりたい人ばかりでもない。例えば夏はゴルフ場やキャンプ場、川でのアクティビティに従事している人もいるし、キャベツや枝豆、いちご農家の方もいる。入寮組でも滑りが目的ではない人もいる。集まってくる地域も様々。話をしていると色々と知ることができて面白い。例えば俺のような都会っ子は、石油ストーブの給油方法などがわからないから「醤油チュルチュル」(石油ポンプのことです)の使い方などを知ることができたし、自然の中での暮らしの知恵なども興味深い話がたくさん聞けた。

地元から働きに来ている人はもちろん、入寮者も車を持っている人が多いんだけど俺は車を持っていなかったからスーパーへ買い出し等に行きたい場合は誰かに便乗するしかなかった。一番近いスーパーでも山を降りて6kmくらいかな。冬季に歩いて行くのはちょっと骨が折れる。
ある日俺は沼田(車で30分。20Kmくらいの距離)へ買い物に行きたかったのだけど、行きたいのが昼間だった。多くの人は日勤だから昼間は働いている人がほとんどなのでさてどうしよう、誰か車貸してくれないかな?というような話をロッカーか何かでしていたんだけど、その時に「シゲ、お前マニュアル運転できるか?できるなら車貸してやるよ」と声をかけてくれたのが、それまで会話もしたことがなかった「達つぁん」(たっつぁん)だった。夕方から車使うけど時間までに戻ってくるなら乗っていけと。


長くなったので続きは次回!

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