興味があること

ITの情報は、大都市や大企業を例にした話題であふれています。常に最先端を追いかけ、「今はこうなっている」「次はこうなる」という話ばかりが先行しがちです。技術的なブレイクスルーがあるたびに、それにより実現できる華やかな未来像が語られます。

しかし、そんな最先端のテクノロジの恩恵を受けている人々は多くありません。地方の自治体、NPO法人、商工会議所や地域のIT協議会などでは、最新技術によるブレイクスルーよりも、人材や予算の確保、周辺住民や関連各機関の理解を得ることの方が大切だったりします。使われている技術も、最新のものではないかもしれません。まだ途上のものかもしれませんし、技術とは別のハードルにぶつかり、ブレイクスルーを模索しているところかもしれません。

でも、企業の生産性があがる、社会のエネルギー効率が上がるというまだ見えない夢物語ではなく、地に足のついた、いま住民が恩恵を受けられるITの活用例がそこにはあるのではないかと感じています。

それなのに、中央が発信するITメディアには地方におけるIT活用の話題はほとんど出てきません。理由は簡単です。経費、つまり交通費をかけて取材するほどのニュースバリューが感じられないからです。実際、同じメディアに「有名企業が最新技術を導入して営業成績向上を目指す」という記事と「地方自治体がOSSを使って基幹システムを自作」という記事が掲載されれば、前者の方がアクセス数は多いでしょう。しかもたいてい都内で取材できますから、経費も比べものになりません。

それでも、私はそんな話を聞きに行きたいのです。いつか訪れる未来の夢物語ではなく、「いま」「ここで」使われているITの話を聞きたいのです。そして、そんな話がこのノートにたくさん掲載され、離れた場所で志を同じくされる方々の交流の場を作れれば、そんな幸せなことはありません。

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