日産リーフ(初代)で千葉から能登まで走って見えたEVの限界(1)
!!この記事は2016年5月の日記をリライトしたものです!!
当時、Facebookにしつこく日産リーフの1週間試乗という広告が表示されていました。あまりに出てくるので、じゃあ申し込んでやろうじゃないかと。そんな訳で2016年5月18日から6泊7日のリーフ試乗がスタートしました。遠距離ランナーな私の使い方についてくることができるのか、家族で企画した1泊2日の旅行に的を絞って再掲します。
感想や私の知識は2016年5月当時のものなので、差分については各段落で補足します。
我が家の「フツーの使い方」でどれだけ力を発揮できるのか、知りたい
短距離の移動を旨とするクルマではありますが、室内は大人5人がくつろげるほどの空間があり、インテリアの質感も悪くありません。ラゲージルームも広く、かなりの荷物を積み込めます。だったら遠出にも使えるはずってことで、目指すは能登半島輪島です。ちょうど家族で出かけたい場所がそこだったからです。
ちなみにカタログでは24kWhモデルの航続距離は228kmと謳われていますが、アメリカでは170kmと表記しているそうです。向こうでは書いてある距離を走れないと「不良品だ金返せ」とすぐに訴訟されるせいか、実質的な走行距離で示しているようですね。
高速道路は不得手とはいえ、この日までのテストドライブで約160キロを走れることを確認しています。輪島までは約650キロ。ほぼフル充電の状態でスタートするので、途中で4回、うまくすれば3回の充電でたどり着けるのではないかと想定しました。急速充電でも30分かかるので、充電回数が増えるとそれだけ移動の所要時間が増えてしまいます。できるだけ充電したくないものです。
朝8時前、出発時のバッテリー残量は90%。見づらいと思いますが、右側のゲージに航続距離可能距離が179kmと表示されています。
充電チャンスは給油チャンスよりはるかに少ない!
出発して都内を抜け、三芳PAで1回目の充電。まずはNCSのビジター登録から始めます。パスワードは48時間有効なので、1泊2日の今回の旅行の間はこのパスワードで充電できます。
三芳PAでの充電量は16.1kWh。これでまた140キロくらいは走れます。フル充電で24kWhということを考えると、30分かけて66%しか充電できていません。ガソリン車なら数分で100%まで再充填できることを考えると、心許ない数値です。充電を待っている間にインフォメーションでSA/PA情報が掲載されている小冊子をもらってきて、充電計画を立てます。次の充電ポイントは、横川SA。
ギリギリでした……。あと10キロってところで横川SAに滑り込み、17.6kWhを充電。これが本日2回目の充電です。
次のターゲットは上信越自動車道東部湯の丸SA。今度はそれほどギリギリということもなくたどりついたのですが……ここで問題発生! これまで急速充電器では約360V/100Aで充電されていましたが、ここでは50A程度の電流量でしか充電してくれません。慌ててスマートフォンで調べたのですが、バッテリー温度(インパネ左側のグラフ)が高いと充電も出力も低容量に制限されてしまうとのこと。
30分待って、充電されたのは10.0kWh。30分で、満タンの約40%! 料金は時間で課金されるので、10kWhしか充電されなくても1500円(税抜)です。1kWhあたり150円というかなり高額な充電になってしまいました。しかも、航続可能距離は約70キロ。次に充電可能なポイントは80キロ先の妙高SAなので、たどり着けない計算です。しかたがないので、バッテリーにもお財布にも負担になりますが、追加充電することに。充電待ちの別のリーフがいたので、その充電を待ってからもう30分充電。追加で9.6kWhを補充できましたが、東部湯の丸SAには2時間近く滞在することになってしまいました。ここで2回充電したので、すでに4回充電したことになります。しかもまだ行程の半分ほどしか進んでいません。最初の目論見からすでに大きく外れて……。
東部湯の丸で1時間かけてほぼフル充電にしたので、妙高SAを飛ばして次の充電ポイントは北陸自動車道に出てからにしました。しかし、ここで痛恨のミス! 上信越自動車道から北陸自動車道に入ってからの方向を勘違いして地図を見ていたのでした。実際には上越JCTから西へ走っていく訳ですが、SAPAリストでは逆方向を見てしまい、上越JCTから東に走ったところにある米山SAを次の充電ポイントに定めてしまったのでした。
気づいてから慌てて充電ポイントを調べましたが、次に充電できるポイントがわかりません。なぜかといえば……。
リーフのカーナビではSA/PAの充電ポイント情報が表示されない
リーフにはEV専用ナビが搭載されており、充電ポイントの検索機能があります。目的地が航続可能距離よりも遠い場合は注意を促し、充電ポイントを経由地に加えることができます。しかしここで検索可能なのはすべて一般道からアクセスできる充電ポイントのみ。SA/PAの充電設備情報は表示されないので、「ルート上」を条件にして検索しても高速道路を下りる案内しかしてくれないのです。ちなみに、SA/PA情報にガソリンスタンドの有無は表示されます。それなのに充電設備の有無は表示されないなんて。役に立たなすぎます。(註:現在はさすがに高速道路上の充電ポイントも検索できるようになっているはずです)上信越自動車道のSAで「北陸道のSA/PAがわかる地図が欲しい」と言ったら、「ここはNEXCO東日本のエリアなので、北陸道の情報も越中境PAまでしかわかりません。有磯海より先はNEXCO中日本のエリアなので、そちらに行ってから入手してください」と言われました。ばっかやろう、先に情報がないと計画立てられないじゃないか。隣接するNEXCO同士で地図くらい融通しとけよ!(本気でキレかけました)(註:これも改善されている……と期待したいです)
そんな訳で、気づいたときには色々と手遅れでして。カーナビが示す最寄りの充電ポイントを目指して北陸道を下りる羽目に。たどり着いたのは、道の駅 親不知ピアパーク。ここは充電設備が施錠されており、お店の方に言って使わせてもらう方式。その代わり、無料でした。
親不知ピアパークの急速充電器は、課金設備がついていない古いタイプの充電器でした。充電前のバッテリー残量はわずか6%。あぶなかった……。
本日5回目の充電を待つ間、日本海の景色を満喫しました。メモを残し忘れましたが、20kWhほど充電したように記憶しています。
充電を終えて改めて北陸道を進む
充電が終わった時点で16時半。8時前に家を出て8時間もかけて、たったの400キロしか進んでいません。ほぼ全行程を高速道路で移動しているのに、平均速度は50キロ。こんなにのんびりした行程になるとは予想していなかったので、ペンションには17時チェックインと伝えてありました。どう考えても無理なので、この時点で「チェックインはかなり遅くなります」と連絡しました。
北陸道に復帰して、第6回目の充電は有磯海SA。こちらの充電器には、こんな張り紙がありました。
NEXCO中日本さん、親切! NEXCO東日本のつっけんどんな対応とは大違い! 富山いいとこ!(註:現在はこういう対応が増えている……といいなと思います)
なんて言いつつも、14.5kWhを充電して出発は17時52分。またしても、30分かけて満タンの60%程度。1時間走っては30分充電して……賽の河原に石を積んでいる気分になりつつドライブを続けます。後部座席の子どもたちはもちろん、運転している私も完全に飽きていました。
能登半島に入っても、充電充電!
さていよいよ能登半島に入り、高速道路も終わり一般道へ。ルートからあまり外れない場所にイオンを見つけたので、そこで充電していくことに。イオンならお安いですからね♪ ということでイオンモール高岡にて、本日7回目の充電。
この充電後に表示された目的地までの距離と航続可能距離がほぼ一緒だったので、これで最後の充電にできるかも!という期待を抱きつつ運転を続けましたが、やはり無理がありまして。少しだけ余裕を持たせようかなと、通り沿いにあったファミリーマート七尾藤橋店で本日8回目の充電。
30分フルに充電せず、15分で切り上げ。電流量も低く、15分で4.2kWhしか充電されませんでしたが、少し余裕ができました。この時点で20時20分。
そして、宿になんとか到着。もう21時を大幅に過ぎた時刻でした。自宅を出発してから、約13時間。予想をはるかに、考えられないくらいに、大幅にオーバーしていました。
しかも、バッテリー残量が本当にギリギリで、航続可能距離が表示されない状況に! ということで先に家族と荷物を下ろしてチェックインしておいてもらい、その間に近くのファミリーマート輪島塚田町店で少し充電することに。22分で5.9kWh。22分かけて満タンの25%ですよ。やっぱり効率の悪い充電です。終盤で往生際悪く細切れに充電したことで1回増えたとは言え、本日の充電回数は結局9回に。充電だけで4時間以上かかっている訳で、そりゃ着くモノも着かない訳です。所要時間9時間で17時チェックインなんて、スケジュールが激甘すぎました。
ちなみに先週(註:2016年5月です)もほぼ同じルートを通って金沢に行きました。ガソリン車で7時間でした。
日産リーフ(初代)で千葉から能登まで走って見えたEVの限界(1)
日産リーフ(初代)で千葉から能登まで走って見えたEVの限界(2)