オーストラリアでレンタカーを借りてみた話(4) シドニーも走ってみればなんとかなる
借りて走り出すまでは、かなりビビっていた
ウルルは周囲が広く、道路も広く、大柄のクルマでも自由に走り回ることができた。しかしシドニー市内は……初日のタクシー、ウルルから戻って乗ったUberのいずれも荒い運転だったし、道路を行き交うクルマの多くは車間距離を詰めて走っていた。こわいって。素直に。
観光しながら、シドニー ダウンタウン営業所へ
ホテルから、ハーツレンタカー シドニーダウンタウン 営業所までは、歩いて30分ほど。途中にNagoya GardenやSt. Mary's Cathedralなど見所もあるので、観光しながらのんびり歩いて行くとちょうどよかった。
ハーツレンタカー シドニー ダウンタウン営業所にて
とりあえずこれを出しておけばいいんだろ、という気分で、パスポートと国際運転免許証をカウンターに提示した。
「OK、パーフェクトね」
必要な情報があるからだろう、カウンターの向こうのお姉さんは笑顔で受付を始めた。今回はGPSオプションもそのままだし、デポジットに関する説明も聞き取れたし、これは問題ないね!
「ところで、旅行中に有料道路を使う予定はある? 一律料金で有料道路が使い放題になるオプションがあるんだけど」
オーストラリアの有料道路はわかりにくいらしいということは、事前の調査でわかっていた。日本の高速道路のような料金所がなく、ナンバープレートを読み取って課金され、スマートフォンアプリなどを使って支払う必要があるということだった。オーストラリアでクルマを所有しないので、ナンバープレートを登録してアプリで支払うしかないかなと思っていた。
「何度通っても決まった金額なの?」
「1日20ドルよ」
「じゃあ、そのオプションを使います」
ということで、iPhoneにインストールしておいたオーストラリア有料道路通行料支払いアプリの出番はなくなった。むしろ、便利になった。
シドニーでのアシはHyundai I30
ハーツレンタカー シドニー ダウンタウン営業所は、貸出カウンターがある建物と車両を置いてある駐車場が離れていた。今回も、キーと地図を持って自分でクルマをピックアップしに向かう。
シドニーでのアシに選んだのは、Hyundai I30。一番安かったから、というだけの理由で選んだモデルだ。5ドアハッチバックで、3人で移動するにはぴったりのコンパクトさ。
GPSオプションを付けてあったので、シガライターソケットから電源を取るポータブルナビを渡された。吸盤で取り付けるタイプだが、うまい具合に取り付ける場所が見つからない。なんとか、フロントウィンドウの右下に取り付けて、スタートした。
シドニーの交通の荒波に挑戦
いよいよ、シドニーの道を走り始める。そう思うと、これまでの運転経験になかったような緊張感があった。日本国内なら、あらゆる場所を運転してきた。47都道府県で運転したことのない地域はない。しかし所詮同じ国の中だ。オーストラリアの、大都会シドニーで運転できるのか。
悩んでいても仕方がないので、車両置き場から出発して近くの道路でとりあえず停車。その先が行き止まりになっている場所で、ナビの状態などを確認した。画面操作や音声案内は英語だが、個人のクセがない分わかりやすい。母が行きたいというワイナリーを目的地にセットして、出発だ。
タクシーの車内から、歩道から、その様子を見て考えていたのは、運転手同士がしのぎを削る殺伐とした交通状況だった。しかし走り出してみてすぐに、それは間違いだったと気づいた。狭い車間距離、好き好きに車線変更する車両。外からはそう見えていたが、実際は違った。車間距離は確かに狭い。しかしその中で行なわれる車線変更は、決して無理矢理ではなかった。スペースを奪い合って車線変更を繰り返しているのではなく、ちょっとずつスペースを譲り合って車線変更をしている。自分も車線変更させてもらうから、そのときには譲ってね。そんな雰囲気だ。
そうとわかると、気分がずいぶん楽になった。旅先でのドライブは地の利がないので、必然的に急な車線変更が増える。ウィンカーを出して隣の車線のクルマとコンタクトを取って、すき間にすっと入る。逆に隣の車線のクルマがウィンカーを出したら、ちょっとだけすき間を広げて「入ってきていいよ」とアクションで伝える。このやりとりのテンポがとても軽快で、慣れると心地いい。
ちょっぴりインプレッション
今回もちょっぴりインプレッション。重ねて言うが、「それはあなたの感想ですよね」程度に読んでほしい。
Hyundai I30にはいくつかのバリエーションがあるようだが、私が借りたのは無印のI30、5ドアハッチバックだ。全幅 1795mm/全長 4340mm/全高 1455mmのボディに、2ℓ自然吸気ガソリンエンジンと6速AT。カタログによれば出力は120KW(163ps)とコンパクトなボディには十分すぎるパワーで、街中から高速道路まで不満のない動きを見せた。
運転している感覚としては、ごくありきたりなコンパクトカー。特に気になる動きは見られないし、逆にすごくいいと感じるところもない。あえて言うなら、CVTだらけの日本のコンパクトカーとは違い、6速ATなのでちょっと運転が楽しい。
ハイテク装備がひと通り揃っている。レーダー追尾式のクルーズコントロールとレーンキープアシストを駆使すれば、郊外の道はとても快適だった。
Tizzanaワイナリーでワイン選びを楽しむ
シドニーの街中から郊外へ、さらに高速道を走って田舎町を抜けると、ぶどう畑が目の前に広がった。のどかな景色の中を数分も走った頃に、雰囲気のある建物が見つかる。Tizzanaワイナリーだ。
中に入ると、当然だがワインが並んでいる。店員さんがワインリストを見せながら、どれをテイスティングするか聞いてくる。私はドライバーだからと断わったら、驚いたような顔をされた。
実はオーストラリアでは少しならお酒を飲んで運転してもかまわないルールになっている。それは知ってはいたが、「どのくらいまでならOKなのか」という体感値がないので、危ない橋を渡るのを避けたのだ。
いま改めて調べてみたところ、基準値は血中アルコール濃度0.05。日本の基準(呼気1ℓ中のアルコール量)と違うので直接比較はできないが、ワイン200ml程度なら問題ないとされているようだ。周囲の人たちも、運転手を含めてみんなでワインを楽しんでいた。オーストラリアではこれが当たり前の光景なのだろう。
そんな訳で母と長男がワインを試飲。私は、母の要望を英語で伝える係となった。もう少し甘めのものは? もっとボディ軽めのものある? 2005年のボトルはない? などなど。最後に何本かワインを買い、シドニーのホテルに戻った。そこで買ったワインの1本は、その夜のうちに私の胃に収まった。
ホテルの駐車場が高い
シドニー滞在期間のうち、1泊2日しかレンタカーを借りなかった理由が、これ。ホテルの駐車場がとても高いのだ。
シドニーの街中の駐車場は、高いところで1時間10〜30AUD。当時のレートは1AUDで約100円だったので、千円〜3千円程度。東京都内の高額エリアと似ている。
ところが、だ。
ホテルの駐車場が一晩85AUDもするのだ。人がひとり宿泊できるんじゃないかって金額。なんだよそれ。
日本の感覚だと、宿泊客は駐車料金を安くしてくれていいだろうと思ってしまうのだけど、むしろ周囲にあるパーキングの終夜駐車料金の2倍程度になっている。地の利がないのであまりよくわからないところに停めたくもないし、しかたなく一晩だけ停めたのだけど。なんとも腑に落ちない価格設定だった。
ショッピングを楽しんで、シドニー国際空港で返却
Hyndai I30でのドライブ2日目は、私たちのオーストラリア滞在最終日でもあった。ショッピングモールを巡ったり、IKEAに立ち寄ってみたり。
最後はハーツレンタカー シドニー空港 営業所にクルマを返却。例によって、返却ボックスにキーを放り込むだけ。給油する時間がなかったのでどうやって清算するんだろう?と思っていたけれど、ちゃんと燃料費が追加されたレシートがメールで届いた。こうして、オーストラリアでのレンタカー経験はシステマティックで味気ないままに終わったのだった。
(1) 出国前の準備
(2) シドニーでタクシーに乗ってビビる
(3) ミステリーカーでウルルを堪能
(4) シドニーも走ってみればなんとかなる
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?