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ふくろうさんにお会いできなかったこと。

こんにちは アイデアエディターの重光風歌です。
#勝手にコルクラボ  という企画で、コミュニティ「コルクラボ」の中で出たお題に勝手に回答していくという企画で、このnoteを書いています。

今週のお題は「今でも悔やんでいることは?」というお題。
さてさて いってみよう。

あまり「後悔」という文字に縁がない私でありますが、たった一つだけ、今でも悔やんでいることがあります。

それは、若かりし頃、「童話屋」の名編集長、田中和雄氏にお会いするチャンスを逃してしまったこと。これだけは「後悔」の一文字が、胸の中に残って残ってしかたないのです。

当時、大学生で、出版社への就職活動を行っていた私は、童話屋へも、資料請求の葉書を送っていたのですが、しばらくしてある日、私宛に一枚の素敵な葉書が届いたのでした。

それは大きな木がのびのびと葉を広げる素晴らしい絵葉書で、その木のイラストに沿って、田中さんの直筆で、「今年は新卒採用がないことをお詫びします」と、それはそれは丁寧に返事が書かれていたのでした。

それはただの「新卒採用なし」の味気ない葉書ではなく、「どんぐりと山猫」の中で、一郎が山猫からもらうような、ファンタジックかつとても人情味あふれるものでした。私は、その葉書にものすごく胸打たれ、童話屋へお礼の電話をかけたのですが、なんと、その際、「会ってくださる」とおっしゃったのです。

私はとても楽しみにその日を待っていたのです・・・。

でも、なんとそのお会いする日に、大手出版社の面接の日が重なってしまい、そのことをお詫びしながらお伝えすると、快く「また落ち着いたらいらっしゃい」と言ってくださったのですが・・・。

若かった私は勇気がなく、もう一度電話をかけることができませんでした。

思い返してみても大馬鹿者です。

同じ電話で「別の日に・・・」とお願いしてみればよかったのですが、もういっぱいいっぱいだったのでしょう。そんな機転をきかせることができず、そのまま受話器を置いてしまいました。

お会いしていたら、どんなお話が聞けたでしょう。あのたった一枚の葉書で、私の心に火をともしてくださったこと、面と向かってお礼が言いたかった・・・。

新しいご本の出版、おめでとうございます。いつも尊敬し、応援しています。と、こっそりこっそり言ってみる。

これが、あまり過去を振り返らない私の、たった一つの後悔の話です。