転職、独立、そして離婚-7-


『スルガ銀行、不正融資の疑いか!?』


二期目も順調に終わり、会社は三期目に入ろうとしていた。


確かそんな頃だったと思う。


もうそろそろヤバいでしょ、という噂は数年続いていたが、

ついに、大手のメディアが大々的にスルガ銀行を取り上げ始めた。


ついに来たな~


ここ最近の収益不動産市場は異常だった。




地方の物件をサンタメで売りまくる業者、


足立区をかぼちゃ畑と呼ばせてしまった業者、


それを色んな手法で売りまくった業者、


そして、貸しまくった銀行。



不動産投資に関する書籍やセミナーも爆発的に増えた影響もあり、

不動産投資をやりたいという声はとても多かった。


でも正直、ほとんどは”それ”をやるべき人ではなかった。


資産状況を見てもリスクが高すぎると感じる人が多すぎた。



「そんな急いで買う必要ないですよ、焦らないで下さい」



僕はそんなお客さんに何度もこのようなことを言っていた。


お客さんの方から

「何とかうまくオーバーローンできますか?」

なんて言ってくることもあり、

この状況は異常だと思った。


その度に、


変なことは辞めた方が良いと一生懸命話したつもりなのだが、、


でもいくら言っても我慢できない人はやはり多かったようだ。



自己資金ゼロから家賃収入〇千万円!


年収500万円から資産〇億円!



そんな謳い文句に多くの人が影響を受け、

甘い営業文句に乗せられ買いまくっていた。




買うのは良いと思う。

僕だって買ってもらうのが仕事だ。


でもこの時は本当に何かがおかしかった。


初めて会った時はまだ一棟も所有していたかった人が、

数カ月後に既に複数棟買っていたなんてことはよくあった。



皆、借入額の多さを競っていた。

借入が多ければ多いほど、すごい人。



市場はそんな雰囲気だった。



そんな雰囲気を当たり前だと感じてしまっている方と、

僕は会うたびに少し悲しい気持ちになるのと同時に、

自分の無力さを痛感した。




僕の声はそんなにも届かないのか。。




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