伝わる文章のライティング技術(2) 自分の未来を語る「文書」
ビジネス文書の役割とは、何だと思いますか? 講師としてライティング研修をするときに、冒頭部分で尋ねる質問です。
1.情報を記録すること
2.読み手とコミュニケーションし、共有すること
そして、最も大切な役割として伝えるのが、次の3番目です。
3.読み手を説得し、次の行動に進めること
「説得」というと大げさかもしれません。「納得」と言い換えてもおいでしょう。読み手に納得してもらい、次の行動に進めることは、会議の日程調整の連絡でも、新しい企画の提案でも同じように大切です。
会議の日程調整ならば、関係者の都合のよい日程を速やかに決められるように書きます。そのためには、候補の日程をいくつか示しておけば、読み手はすぐに選ぶことができますよね。
(1)と(2)の書き方を比べてください。
(1)
来週、次回ミーティングを開きたいと思います。ご都合を教えてください。
(2)
来週、次回ミーティングを開きたいと思います。以下の日程から、
ご都合のよい日時を選んでご返信ください。
〇月〇日(月)16:00~17:00
〇月〇日(水)11:00~12:00 または15:00~16:00
〇月〇日(木)10:00~11:00 または15:30~16:30
(2)なら、自分のスケジュールと照らし合わせて、可能な日と時間を選びやすいです。
(1)のように漠然と、「ご都合を教えてください。」では、どう答えたらいいのか迷うことでしょう。
つまり、(2)の書き方なら、日程調整の返信が素早くもらえ、次の準備へと進められるというわけです。
企画の提案ならば、アイデアを提示するだけでなく、具体的にいつ頃、どこで、誰に向けて、どの程度の規模で実施したいのかを自分なりにまとめれば、「なるほど。この部分はどのように進めようか」と上司が提案にのってきてくれる可能性が高くなります。
ライティング研修の演習でも、講評として解説するのが、「読み手と一緒に、次の行動に進めるための情報を盛り込みましょう」という点です。
アイデアは優れていても、自分が関わって進めていこうとする具体的なアクションが書かれていなくては、読み手を納得させる力が弱くなります。
「相手の気持ちに配慮して、丁寧に、やんわり書くことが大事」と思っているなら、「仕事が先に進むように書こう」と視点を変えて書きましょう。その姿勢は上司やチームの仲間に伝わり、仕事がスピーディーに進みます。
冒頭の写真は海外のビジネスライティングの解説書です。情報を簡潔にまとめ、明解な言葉を使って読み手を納得させるノウハウが書かれています。それが仕事やキャリアの未来につながるからです。
未来志向で自分のアイデアを示し、次の行動につながるように書いていきましょう。
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